【短編小説】自称神様見習いが便利屋の「私」に捕縛され〝話し合い〟をする話
『彼岸の名づけ親』
「そこの貴方! 幸せになりたくはないですかっ?!」
八月十五日、昼過ぎ。
午前中の業務が終わり、社用車を職場の駐車場に停めてエンジンを切り、外に出て数秒。
駐車場の日陰に居た『それ』は、私と目が合うと、開口一番にそんなことを言った。
刹那、外は災害級の酷暑だというのに、ぞわりと鳥肌が立つ。
理由はふたつ。
ひとつは、人間の体温すら超える気温の屋外で、『それ』は厚手のコートとマフラーを着込んでいる不審者であるということ。
もうひとつは、『それ』