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短編連作小説『透目町の日常』まとめ

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短編連作シリーズ『透目町の日常』をまとめました。基本的には一話完結なので、気になった作品からご覧いただければ幸いです。
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2023年10月の記事一覧

【短編小説】自称神様見習いが便利屋の「私」に捕縛され〝話し合い〟をする話

『彼岸の名づけ親』 「そこの貴方! 幸せになりたくはないですかっ?!」  八月十五日、昼過ぎ。  午前中の業務が終わり、社用車を職場の駐車場に停めてエンジンを切り、外に出て数秒。  駐車場の日陰に居た『それ』は、私と目が合うと、開口一番にそんなことを言った。  刹那、外は災害級の酷暑だというのに、ぞわりと鳥肌が立つ。  理由はふたつ。  ひとつは、人間の体温すら超える気温の屋外で、『それ』は厚手のコートとマフラーを着込んでいる不審者であるということ。  もうひとつは、『それ』

【短編小説】失声症だけど鳥の言葉でだけ喋れる「私」の話

『飛べない翡翠の歩きかた』   私は、人間である。  或いは。  私は、鳥である。  それは、どちらでもあり、どちらでもないという、実に中途半端な存在であるようにも聞こえるかもしれないが、しかし事実は事実だ。  一番最初の記憶は、今も鮮明に残っている。  あれは私が小学四年生の五月上旬――大型連休中のことだった。どこの家族もそうであるように、私の家も連休を利用して外出をしていた。雄大な自然の中にアスレチックがたくさんある施設で、当時都市部に住んでいた私は、その目新しさに大はし