89本目「ニューノーマル」【非具体的ネタバレ】
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※本稿はまれにみるズダボロ加減です。好きな人は注意。
公開日:2024/8/16
監督:チョン・ボムシク(韓国)
まえがき
うーん、まえがきに書くべきことが思いつかない。
この「まえがき」って部分、実は観終わってから思い返して書いてるのだ。
しかし、今作を観に行った理由はあんまりない。それなりに出来のいいホラー映画「コンジアム」の監督だってくらい。日本では「冬ソナ」でおなじみのチェ・ジウが出てるってセールスポイントはあんまり刺さってない。
「ニューノーマル」ってタイトルは良かったかな。
コロナ禍あたりでよく使われだした言葉で、「新しい生活様式」って訳がよく当てられてた気がする。何かのきっかけで、社会全体が、あるいは生活が大きく変わってしまうような、そんなストーリーを想像できるいいタイトルだ。
とにかく、今となっては、何故観に行ったのかも思い出せない。
前書きのルールには反するかもしれないが、その理由を教えよう。
私は多分、怒ってるのだ。
感想など
なぜ怒ってるのか。それは大きく分けて二点あると言えよう。
1.単純に面白くない
これはどうでもいい方だ。単なる好みの問題だから。
だが書く。
この映画は連作短編の形式をとってるのだが、ここの短編につながりがほとんどない。「ある短編の同じ場所に、別の登場人物がいた」程度。最終回で一気に回収されるのかと思いきや、回収されない。
これでは、何のための連作構造なのかわからない。ただのオムニバスと同じだ。
その短編それぞれもイマイチ面白くない。
人が死ぬ話、それも理不尽に嫌な死に方をする話がほとんどだ。
「こいつは死んでもしょうがない」的な登場人物が犠牲者になる話の方が少ない。「お約束通り」なら生き残る類の人を死なせるのが売りに見える。
意味なく人が死ぬだけの話に思えた。それも、すべての短編が。
「ニューノーマル」というタイトルも、上映開始すぐ流れる「6月にソウルで雪が降った、これは観測史上初」という意味深なニュースも、何の意味もない。これにはがっかりした。
こっちのポイントは好みの問題かもしれないが、面白ければ許せたかもしれないのだ…。
2.宣伝や広告が邪悪なまでに説明不足
こっちは好みの問題では済まされないと思う。
この映画の広報には、2つ、重要な点を隠した罪があると思ってる。
一つ目。この映画が連作短編であるということをどこにも書いてない。
このnoteの最初に引用した、公式のあらすじを見てもらいたい。
いや、交差しねーから。ちょっと登場人物が掠った程度のことで、それぞれ関係なく展開し、オチもバラバラ。「交差」って言わないから。
一本の映画だと思ってやってきたら、ぶつ切りで関連性の薄い、内容にバラエティがない短編集を見せられる方の身にもなって欲しい。
二つ目。この映画が、日本のテレビ番組「トリハダ」の実質的なリメイクであることを、どこにも書いてない。
この事実はエンドロールにちょっと書いてあるので知ったのだが、事前の宣伝や予告では一切触れられていない。さすがに酷い。
本国でもちゃんと広告してなかったと見えて、調べると朝鮮日報が記事にしている。
記事を読んで、「トリハダ」のwikipediaを見てみたら、もう絶句。
「トリハダ」のwikipediaには結構詳細なあらすじが載ってるのだが、ざっと読むだけで「同じ話だ!」って思う短編ばっかりなんだよ、「ニューノーマル」側に。
例えばこんな感じだ。
ニューノーマル「M」
トリハダ3の第三話「偽装された殺意の行方」
ニューノーマル「dress to kill」
トリハダ4の第六話「誰もが持つ恐ろしい人間の本性」
ニューノーマル「いま、会いに行きます」
トリハダ4の第四話「好奇心が猜疑心を超えた結末」
ニューノーマル「除き魔」
トリハダ4の第一話「恐怖は常にあなたの隣に」
ニューノーマル「ろくでもない人生」
トリハダ6の第六話「無欲で得た悲劇の主人公の座」
リストを見て、読者の方は思っただろうか?
「一体、この映画は全部で何話なのか?」と。
お答えしよう。全六話である。
全六話中、五話に元ネタあり。これはもう、リメイクだろう。
だったらそう書くべきではないのか。さすがに邪悪すぎると言わざるを得ない。
ペーパーお勧め度
★0。あるいはマイナス。
内容は面白くないし、それ以前に本国も配給も広報の仕方が邪悪すぎる。
今どき、お金を払って劇場に来る客がどれだけいると思ってるのか。
それらの人たちを騙すような真似をして、少しは恥を知るべきだろう。
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