36本目「またヴィンセントは襲われる」【ネタバレあり】


※本文は全て無料です。

ヒューマントラストシネマ有楽町にて

映画についての基本情報

公開日:2024/5/10
監督:ステファン・カスタン(フランス)

ある日突然、職場のインターン生から暴行を受けたヴィンセント。怪我から回復する間もなく別の同僚にも襲われるが、加害者たちはいずれも襲撃時の記憶を失っていた。その後もヴィンセントに殺意を向けて襲いかかってくる者は後を絶たず、ついには見ず知らずの他人からも命を狙われるようになってしまう。やがて「自分と目線が合った瞬間に人々が襲いかかってくる」という法則に気づいたヴィンセントは、生き残るための自衛を始めるが……。

またヴィンセントは襲われる : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

まえがき

「目が合った」というだけで人に殴られた経験、皆さんはあるだろうか?
私はある。

中学生時代のある日、通学路で目が合った高校生から「何見てるんじゃ」とぶん殴られたのだ。眼鏡のレンズが外れたのを覚えている。
相手は「目つきが気に入らなかった」と言ってたという。

この映画のあらすじを観たときに思い出したのは上記の事件であるが、まさか「目つきが悪い」だけで襲われる映画ではあるまい。
もしそうだとすると、私もたいがいヤバいのではないか。

一抹の不安を抱えつつ、私は劇場に向かった…。

感想など

当たり前だが、「目つきの悪さ」は全く原因ではなかったね。

あらすじでは「目線があった瞬間に襲われる」みたいな書き方されてるが、実際には「全員が襲ってくるわけではない」「目線をじっと合わせると反応が起きることがある」くらい。

最初にヴィンセントを殴ったインターンは、ヴィンセントにイヤミなジョークを言われていたり、職場での人間関係もあまりよく見えなかったので、最初はヴィンセントの被害妄想を描いた映画化と思ったくらいだ。

ところが、物語はとんでもない方向にぶっ飛んでいく。
劇中でたまにかかるラジオが仄めかしていたのだが、ヴィンセントと同じ病気?の人たちは何人もいて、「原因不明の暴力事件」として扱っていた。
最終版ではその病気が爆発的に拡大して、フランスが崩壊するような事態になってしまうのだった。

この「個人の問題で始まって、大規模な社会の崩壊に向かう」ストーリーラインとか、ラストシーンの「船で去る」余韻とか、黒沢清の「回路」を彷彿とさせるものがあった。

総じて、実験的な色合いの強い作品で、粗は目立った。

ペーパーお勧め度

★3。
みんなに襲われても意外と余裕なヴィンセント君。
中盤はなんかほのぼのできるよ。

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が参加している募集

#映画感想文

66,387件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?