18本目「ARGYLLE/アーガイル」【おまけ部分にのみネタバレあり】


※本文は全て無料です。
※注意!「ペーパーお勧め度」より下にのみ、ラストシーンのネタバレを踏まえたおまけ情報が書かれています。

TOHOシネマズ錦糸町にて

映画についての基本情報

公開日:2024/3/1
監督:マシュー・ヴォーン(イギリス・アメリカ合作)

謎のスパイ組織の正体に迫る凄腕エージェント・アーガイルの活躍を描いたベストセラー小説「アーガイル」の作者エリー・コンウェイは、愛猫アルフィーと一緒にのんびり過ごす時間を愛する平和主義者。新作の準備を進めている彼女は、アルフィーを連れて列車で移動中に謎の男たちに命を狙われ、エイダンと名乗るスパイに助けられる。やがて、エリーの小説が偶然にも現実のスパイ組織の行動を言い当てていたことが判明。エリーの空想のはずだった世界と、命を狙われる現実との境界線が曖昧になっていくなか、敵の一歩先を行くべく世界中を駆け巡るエリーだったが……。

ARGYLLE アーガイル : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

まえがき

今作を観に行くことは初報を見た段階から決めていた。

マシュー・ヴォーン。私が「名前だけで観ることを即決する」映画監督の一人である。フィルモグラフィには、X-MENシリーズ随一の傑作「X-MEN ファースト・ジェネレーション」、マーク・ミラー原作の「KICK-ASS」シリーズや「キングスマン」シリーズが並ぶ、過激なアクションやジョークでおなじみの男。

これまでは原作や原案がある映画が多い印象だったが、今作「アーガイル」はそんな感じには見えない。オリジナル作品をヴォーンはどんなふうに料理するのか、お手並み拝見のつもりで観に行った今作である。
監督の愛猫演ずる猫もクローズアップされていたので、そちらも楽しみであった…。

感想など

まずまずの出来であった。

「作家の書いたことが現実に」プロットはアーロン・ニー監督の「ザ・ロストシティ」という先行事例があった。今作はそれと似た初期設定ながら、話は結構捻ってきている。話の展開としては予想がつく範囲ではあるのだが、主演のブライス・ダラス・ハワードのビジュアルが巧みにごまかしている?

話を整理していくと、かなりシンプルな話であることは分かる。
似た先行事例を挙げるとネタバレになるので控えるが、目新しい話ではない。

猫は期待してた割にはうーん、そこまで出番が多かっただろうか。
「舞台道具の1つ」くらいかな。

マシュー・ヴォーンお馴染みの、悪趣味に脚色されたアクションシーンは健在。予告にもあったカラフルなスモークなど、心象風景と実際の光景を切り替えながら見せるアクションは見ごたえがある。
なお、「実際の光景」といいつつもリアリティラインはガタっと下がる。
私の好むところである「頭の悪い」アクションの連続。

絵面も結構悪趣味、というかスパイものパロディを意識してる味が強い。
「キングスマン」とは別の方向で。ブライス・ダラス・ハワードにキンキラドレスを着せるのはやりすぎじゃないか?

それにしてもヘンリー・カヴィルはどんどん007をやり辛くなる仕事選びをしてるなぁ。年齢的にも、見事な胸毛を持ってる点でも次期ボンドにぴったりなのに…

ペーパーお勧め度

★3.5。
期待しすぎは禁物だが、全体的に手堅くまとまっている。
深いこと考えずにアクション映画を愉しむなら、あり。




【ネタバレ前提!】今後の展開について?

さて、ネタバレを含んだ話をしよう。

今作を観た方なら知っての通り、エンドロール中のシーンにおいて「キングスマン」とのクロスオーバーが示唆される。
主人公の記憶から作られただけの「架空のスパイ」であったはずのアーガイルが実際に存在しており、「キングスマン」のメンバー?であったという展開だ。

マシュー・ヴォーンが手掛けた映画「キングスマン」シリーズは今後の展開も予想されており、そこに絡んでくるのは間違いないだろう。

その上で、もう一点考えておきたい点がある。
まえがきにもチラッと書いたが、そもそも「キングスマン」シリーズはヴォーンの完全オリジナルではない。アメコミライター、マーク・ミラーの原作コミックあっての作品である。(尤も、映画2作目以降はヴォーンのオリジナルといえるが)

マーク・ミラーの執筆したコミックのうち、彼のオリジナル作品は「ミラーワールド」という独自のユニバースを形成していることになっている。
めぼしいところでは、下記のような作品群だ。
日本語版が出ている作品もあるので、手に取ってみるものアリ。

  • 「ウォンテッド」(2005年~)

    • ヴィラン(悪党)だと知らずに生きてきた冴えない男の逆襲劇。

    • 2008年に原作を木っ端微塵に粉砕して映画化。

  • 「キック・アス」(2008年~)

    • スーパーヒーローに憧れてスーツを着たオタクの物語。

    • 2008年にマシュー・ヴォーン監督で映画化。概ね原作通り。

    • 映画・コミックともにシリーズ化した。

    • リブートした新三部作をヴォーン監督で製作中。

  • 「ネメシス」(2010年~)

    • イカれたバットマンみたいな悪党の話。

    • 映画化するはずだったが、続報なし。

  • 「スーパークルックス」(2012年~)

    • 典型的なアメコミ世界での、小悪党たちのコン・ゲーム

    • 2021年にNetflixでアニメ化。

  • 「キングスマン」(2012年~)

    • テーラーに偽装したスパイ組織に入った少年の物語。

    • 2014年にマシュー・ヴォーン監督で映画化。

    • 映画独自のシリーズ展開あり。

    • 「アーガイル」との係わりが示された。

  • 「ジュピターズ・レガシー」(2013年~)

    • ヒーロー一家の複雑な人間関係のごたごた。

    • 2021年にNetflixでアニメ化。


私が何を言いたいのか、お分かりいただけただろうか。
「アーガイル」は「キングスマン」シリーズと同じ世界にあることが明らかにされた。ということは、ざっと↑に挙げた作品群とも同じ世界に連なる可能性があるのだ。

原作を完全破壊した「ウォンテッド」、Netflix組の「スーパークルックス」や「ジュピターズ・レガシー」は置いておくとして、注目するべきは同じくヴォーンが監督した実写映画があり、また新作を作成中である「キック・アス」シリーズであろう。

実際、「原作」であるマーク・ミラーのユニバースでは、2023年に「Big Game」と称した超大型クロスオーバーを実現している。
「キック・アス」や「キングスマン」の共演を行っているのだ。

こうなるともう、クロスオーバーは必然といっても良いだろう。
「キック・アス」、「キングスマン」、そして「アーガイル」…。
MCU(マーク・ミラーorマシュー・ヴォーン シネマティック ユニバース)の到来を、私は待ち望むばかりだ…。


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