37本目「猿の惑星 キングダム」【ネタバレなし】
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映画についての基本情報
公開日:2024/5/10
監督:ウェス・ボール(アメリカ)
まえがき
多少映画を観てる人なら、「猿の惑星」と聞いた時に出てくる感想は以下のような感じではなかろうか。
「またか」「何本やるのか」「前のシリーズきれいに終わったじゃん」
誰あろう私もその一人である。
しかも、二週間前(4/26)には「猿の惑星」みたいな映画、つまり「ゴジラ×コング 新たなる帝国」を観てるので、「もう猿はいいかな…」と思ってたのだ。
ところが、松竹さんはそんな私を逃がしちゃくれない。
観に行く都度もらえる1400円チケットの期限が迫っており、「もったいないお化け」という名の強迫観念に取りつかれた私はそのチケットの使い道として、この映画を選んだのであった…。
感想など
全然期待してなかったのだが、ふたを開けてみれば非常に面白い映画に仕上がっている。
とかく、劇場予告では明かされていない部分が多く残されているのが好印象。ヒロインの正体は?人間の生き残りとは?プロキシマスは単なる暴君なのか?そういった作品の核心部分を、うまく隠して本番視聴まで誘導できているのは素晴らしい。昨今では、「予告で観たシーンしか見せ場がない映画」も多いからなぁ。
全クールの「猿の惑星」三部作は猿のリーダーであるシーザーを主役に据えていたが、今作ではシーザーの存在すら知らない、人間についても無知な若猿を主人公に据えてるのも素晴らしい。
シーザーの教えとは何か?人間とはどういう存在か?いったい何を、誰を信じてよいのか?主人公の成長や知識の獲得が、観客に自然とシンクロするようになっている。
また、悪役猿、プロキシマスの造形も良かった。
彼はやってることだけ見れば単なる暴君のようにも見えるが、実際にはかなり猿社会のことを考えているのがわかる。シーザーの教えたる「猿は集まると強い」を実現する手段として、武力による糾合を行っているだけだ。
能力ある猿を評価し、仲間に迎え入れようとする姿勢も見せる。
しかも、実際に彼の不安、危惧は的中している。彼は正しかったが、手段が主人公たちの気にそぐわなかっただけなのだ。この猿物造形には脱帽。
もう一人の悪役(だと私は感じた)の人物造形もかなり良かったが、それについて書くと作品の驚きどころを失うことになるので、今回は割愛する。
総じて、主人公の善悪感や立ち位置、信じるべき相手や教えの解釈をゆさゆさ揺さぶるいい脚本だった。次回作以降のプロローグとして、十分にその役割を全うしたと思う。
ペーパーお勧め度
★4.5。
さすがにシリーズを観てないと厳しいか。
シリーズファンなら必見。これから始まるであろう最終戦争に備えろ。
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