27本目「流転の地球 太陽系脱出計画」【ネタバレあり】


※本文は全て無料です。

TOHOシネマズ錦糸町にて

映画についての基本情報

公開日:2024/3/22
監督:グオ・ファン(中国)

100年後に太陽が老化によって膨張し、300年後には太陽系が消滅するという予測が立てられた。地球連合政府は1万基のロケットエンジンを使って地球を太陽系から離脱させる壮大なプロジェクト「移山計画」を始動。各国の思惑や内紛、争いが渦巻くなか、飛行士リウは亡き妻への思いを胸に宇宙へと旅立つ。一方、量子科学研究者トゥーは禁断のデジタル技術により、事故死した娘をよみがえらせようとする。そして連合政府の中国代表ジョウは、大きな決断を迫られる。

流転の地球 太陽系脱出計画 : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

まえがき

皆さんは「三体」をご存じであろうか。
中国のSF作家、劉慈欣によるSF小説で、全世界で高い評価を受けている。
日本では2019年に早川書房から出版され、滅茶苦茶分厚いにも関わらず結構売れたらしい。

本作はその劉慈欣の短編「流浪地球」を、劉慈欣自身の製作総指揮によって映画化したシリーズの二作目である。一作目は劇場公開しなかった気がする。Netflixのみで観られる。
邦題には二作目である旨が描かれてないのだが、英題は「The Wandering Earth II」。一作目を配給しなかった負い目なのかもしれんが、ちゃんとそれとわかる邦題にしてくれ…。

SF小説もそれなりに読む私としては、劉慈欣原作というだけで観る理由がある。実際、原作が含まれる短編集「流浪地球」も読了済みである。

何もすることがなかった日曜日、Netflixで一作目を観た勢いに任せて、ペーパーは劇場に向かった。

感想など

この映画の立ち位置は非常に難しい。
前日譚であるのでここから見ても良い気もするのだが、しかし二作目としての演出が随所にあり、一作目を観てないと100%楽しむことは難しい。
そして、三作目の布石がわかりやすく打ってある。

正直なところ、前作「流転の地球」にはそんなに「謎」みたいなものは残ってなかったのに、前日端をやることでそれを拡張したのは見事というほかない。一作目終盤の違和感をそのまま三作目の脅威へと振り替えた形だ。

単体の映画としてみた場合、ド派手なディザスタームービーということができる。「太陽が老化・拡大して地球を飲み込む」という危機に際しての人類のアクションが主題なのだが、三者三様の立場を持つ三人の主人公を設定することで、観客を置いてけぼりにしない工夫をしてある。

ストーリーの各論としてはよくあるヒューマンドラマ(親子愛や自己犠牲)に落とし込んであり、壮大すぎる設定とのバランスをよくとっていると言える。

原作短編からは全く影も形もないほど逸脱しているが、それは前作からだから…。中華風SF満漢全席、「アルマゲドン」風味。そんな映画である。

ペーパーお勧め度

★4。
合わない登場人物はいるだろうが、ストーリー自体は普遍的なつくりだと思う。絵面も壮大で見ごたえがあり、ポップコーン片手に観る映画としては上等である。

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