59本目「クワイエット・プレイス DAY1」【ややネタバレ】


※本文は全て無料です。

TOHOシネマズ錦糸町にて

映画についての基本情報

公開日:2024/6/28
監督:マイケル・サルノスキ(アメリカ)

飼い猫のフロドとともにニューヨークに暮らすサミラ。大都会ゆえに不寛容な人もいるが、そんな街での日々も、愛する猫がいれば乗り切ることができる。そんなある日、突如として空から多数の隕石が降り注ぎ、周囲は一瞬にして阿鼻叫喚に包まれる。そして隕石とともに襲来した凶暴な“何か”が人々を無差別に襲い始める。何の前触れもなく日常は破壊され、瓦礫の山となった街の中を逃げ惑うサミラは、路地裏に身を隠して息をひそめ、同じように逃げてきたエリックという男性とともにニューヨークからの脱出を計画するが……。

https://eiga.com/movie/101230/

まえがき

映画館で映画を見る意味とはなんだろうか?

でかいスクリーンもそうなんだが、やはり「音響」という観点は外すことができないだろう。我々の自室は雑音に満ちている。窓の外からは工事の音が聞こえてくるし、上の階では誰かがDONDON!してるし、エアコンの音もする。そして大体の人の家のスピーカーはしょぼい。うちのもしょぼい。

本当に「静か」な環境というのは自分では用意しづらい。
その点で映画館というのは貴重な設備であろう。
最近はペチャクチャしゃべる不届き者もいるが。

この「クワイエット・プレイス」シリーズは、その点で言って「映画館以外では観るべきでない」映画だと思っている。
自室の電気を落としても、雑音は消せない。些細な雑音にすら気を配らねばならない登場人物たちの張りつめた感覚を共有できないのだ。

なので、シリーズに新作が出ると聞いたときには「映画館あるのみ」と決めていた。これまでの舞台(人類が静かになったあとの田舎)から離れ、ジョン・クラシンスキーからも離れ、大都会を舞台にしたDAY1に一抹の不安はあるものの、半ば義務として映画館に向かった。

感想など

過去作とは全然毛色の違う作品に仕上がっていたと思う。

これまでの二作は「音を立てたら、即死」というワンアイデアを突き詰めたエンターテインメント作品であった。音がたっちゃう局面、立てざるを得ない局面を効果的に配置し、いかに観客をビビらせたり興奮させるか、それが主眼に置かれていたと思う。

しかし、今作「DAY1」は過去作に比べるとテーマ性の強い映画に仕上がっていると思う。すなわち、女性主人公側の死出の旅路、自分で決めた死に場所に向かう旅に重きを置いており、ホラー映画としてのエンターテインメント要素は幾分薄い。

毎度おなじみの宇宙生物「クワイエット」の能力も過去作よりは弱めに設定されており、これまでより多少の物音は許してくれる。
たぶん、人類崩壊後を描いた過去作に比べると、壊すものがまだいっぱい残ってるのであろう。

今作における「クワイエット」はあくまでも「人類の崩壊」とか「死」とかの象徴に過ぎない感じが強い。ほかの人たちがその「崩壊」とか「死」に逃げ惑う中、放っておいても死んでしまう女性主人公は死に場所を目指して突き進む。他人を拒絶し、生き残ることもほとんど考えていない主人公はホラー映画としてはめちゃくちゃ異質であろう。過去作の登場人物たちは「生き残る」という強い意志や動機を持っていただけに、「DAY1」のシリーズ内の異色さが際立つ。

自分の人生で一番輝いていた時間と、その思い出、猫を他人(男性主人公)に託した女性主人公は、満足したのだろう…。

サッパリするような、しないような、何とも言えない余韻の映画であった。

ペーパーお勧め度

★3。
シリーズの基本ルールを理解してないとちょっとわかりづらいかも。
猫の登場シーンも多いけど、「にゃー」とすら鳴かないよ!無言。

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