64本目「日本で一番恐くない間取り」【ネタバレなし】


※本文は全て無料です。

シネマート新宿にて

映画についての基本情報

公開日:2024/7/5
監督:鳴瀬聖人(日本)

少し先の未来の日本。不景気が続いたことにより死亡率は上昇し、それにともなって事故物件の数は増加した。その結果、国内の物件はすべてが事故物件となり、「普通の物件」は一件を残すのみとなっていた。そこに住むフリーターの山田は、その価値にまったく無頓着に暮らしていた。そんな山田を家から追い出すため、幽霊アレルギーの富豪・富良野は管理会社の根津と手を組みさまざまな計画を企てるが、山田は一向に部屋から退去することはなかった。富良野と根津の計画は、霊能力者や殺し屋までをも巻き込み、さらにエスカレートしていくのだが……。

日本で一番恐くない間取り : 作品情報 - 映画.com (eiga.com)

まえがき

皆さんは「家系」をご存じだろうか。
横浜駅付近の「吉村家」を始祖とする、豚骨醤油ベースのこってりしたラーメンである。チャーシューの他、ホウレンソウや海苔がトッピングされていることが多く、概して太ちぢれ麺である。米が欲しくなる。

……というのがラーメンにおける「家系」だが、実は最近、もう一つ「家系」の流行が来ているそうな。ホラー映画における「家系」である。

土地から土地に伝播する呪いを描いた「残穢」。
「事故物件住みます芸人」を扱った「事故物件 恐い間取り」。
とある物件の間取りから、その家にまつわる因習・事件を探る「変な家」。
このような「家」をネタにしたホラーを「家系ホラー」と呼称するらしい。

※ちなみに、「事故物件 恐い間取り」は間取りの話を一切しない。変な霊が出てくる。「変な家」は間取りの話しかしない。お前ら名前入れ替えろよ…。

そんな「家系」ブームの成立に一役買ったのが「事故物件」という言葉の定着だろう。「人がなくなった事のある物件」でしかない事故物件への恐怖心と、高齢化で人がなくなりやすくなっているであろう現代社会を組み合わせたのがこの「日本で一番恐くない間取り」である。

ちなみに、間取りの話はしてない映画である。

感想など

寒いギャグ、痛いギャグも一本やり通せば見られる映画になる。
そういう映画だった。

「日本で一部屋以外は全て誰かの死んだ事故物件となった」という一発ネタを弄れるだけ弄りまわした、そういう映画である。

設定からしてギャグ以外の何物でもない映画で、展開も凡そはそのあらすじから予測できる範囲。なのだが、それを終始貫き通し、天丼に次ぐ天丼。ここまで一貫されると、もう何も言うことはない。めっちゃ純度が高い。

ただし、ギャグ一本というにはビターなオチが待っている。
言ってることはギャグだし、行動も筋道通りに考えたらそうなるはずの行動でしかないのだが、その表情が滅茶苦茶いい味出している。
主演の大坂健太氏は本当に「演技ができない素人」の演技が良いと思った。

ほぼ完全なネタ映画だが、ホームレスの靴裏がちゃんとボロボロだったりと画はちゃんと作ってある。ただし、食べ物で遊ぶのは好きじゃない…。


※今回観た会は舞台挨拶の会であった。
おそらく、日本で一番気の抜ける舞台挨拶であろう。
進行役の芸人(出演者)はカンペ読んでるのを隠そうともしないし、みんなTシャツにサンダルだし…。わざとだろうけど。

凄まじく気の抜ける舞台挨拶


ペーパーお勧め度

★3。
よくある日本製のギャグが嫌いでないなら、観て損はない。
そういう描写が大っ嫌いなら、行かない方が良い。
ワンアイデア勝負の一本なので、結局はそのアイデアに惹かれるかどうかで評価が分かれる一作である…。

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