民意

【※2019年5月17日にFacebookノートに投稿した内容を再掲】


先日の大阪での「クアトロ」選挙,すなわち,大阪府知事選・大阪市長選・大阪府議会選,大阪市議会選の四つの選挙で,大阪維新の会が「圧勝」した。また,それに続く,大阪12区衆議院補欠選挙でも日本維新の会の候補が当選した。

国政では安定多数を占める強さがある自民党が,他党と協力体制を組みながらも,これらの選挙ではすべて負けたことになるのだが,なぜか。大阪という地域の特異性があるためか。それもあるであろう。でも,今までの「大阪ポピュリズム」的なものに負けたという印象は,今回は感じない。では,何か。一言で言えば,大阪維新の会は「政党政治」が機能している,すなわち,政党としての政策理念とその実行実績がはっきりしてるし分かりやすいからだと考える。大阪府市民は「現場」でそれを肌で感じていたのだと思う。「大阪野党」は,「都構想反対!打倒,大阪維新の会!」という政策理念でもなんでもない掛け声の下で,ただただ票集めに必死で,これといった打ち手・政策転換を訴えることもできず,結果,政党として何をしたいのかわからず。。。これでは,まるで「国政野党」がただだた「安倍政権反対!打倒,自民党!」と言動しているのと同じ構図と映ったのに違いない。

一連の選挙結果を受けて,「国政与党」である自民党大阪府連,公明党大阪府本部が大阪都構想住民投票の実施に賛成する意向を示したが,その理由として大阪府市民の「民意」に従うためとしている。でも,両党とも「民意」を誤解してないだろうか。一連の選挙結果は,大阪府市民の「多数」民意であって「全体」民意ではない。選挙民は,大阪維新の会にも大阪野党にも,個々人の「民意」を持って投票したのであり,多数を取った大阪維新の会が勝者として「自分たちへの民意」を反映・実行するのである。一方,選挙に負けた大阪野党は,勝者の民意に従う必然はなく「自分たちへの民意」を大事にし,政党としての政策理念は変えるべきでない。これが,政党政治たるところであると考える。もし,両党が大阪都構想住民投票賛成に転じるのであれば,「民意」と言わず「両党の意思」を示す,すなわち,「選挙前はこう考えていたが,選挙で負けた民意を分析・再考した結果,こう考えを改めるべきであることに気づき,よって賛成することにする」といった丁寧な説明が必要である。現に,早速,自民党大阪市議団は同党大阪府連の「賛成意向」に反対しているが,「自分たちへの民意」を現場で直接感じた選挙戦を展開してきたゆえ当然のことであろう。

選挙民が望むのは信用のおける「政党政治」であり,そこに「民意」を示すのである。「多数」が「全体」の民意とするような「ポピュリズム政治」は,選挙民の信用を失うだけであると考える。

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