自分の限界を知る
”ミニヒーターの、加熱が、終わりました”
いつもいい声だなって思います。
たぶん頭もよくて、きっと美人で、私みたいに鍋から直接うどん食べたりしない、上品な人の声なんだろうな、と思います。
声って、第一印象の中でも最も重要なポイントのうちのひとつだと思っています。
姿勢や表情、言葉遣いももちろん強烈な印象を与えるけど、
”品”は、声に最も顕著に表れるのではと思っています。個人的に。
たとえば、うちのIHコンロ。
『が』がめちゃくちゃ上品な鼻濁音なんです。
耳にザラっとひっかからない、アナウンサーみたいな滑らかな音。
『が』
ではなく、よく聞くとちゃんと
『んが』
って言ってます。
お風呂が沸いたことを知らせてくれる声も良い。
あと、今年に入ってすぐに冷蔵庫が壊れて新しいのを購入したんですが、驚くことに、うちの冷蔵庫も喋ります。
「おかえりなさい」
とか
「おはようございます」
とか言う。
その機能いる?って思ってたけど、ただの冷蔵庫でも言葉が通じると愛着が湧くものですね。
購入して最初の頃は
「ただいま!」
って返事もしてたけど、夜中にトイレに起きたときもセンサーに反応して話しかけてくるのが怖すぎたから、もう話せない設定にしました。
家電にも出来るのに…
平日は基本的に毎晩夕食を作っています。
今日は、大根と手羽元の甘辛煮です。
今朝、起きた瞬間に
『ぜったい今日はそれ作る』
と決めてました。
”拭きこぼれ、を、探知しました”
そう言って彼女、勝手に火を消しました。
うん、今日もいい声。賢いし。
感心しました。
それで思い出したんです。
舞台の本番前日のリハーサルで、過呼吸になった挙句ぶっ倒れた日のことを。
もちろん稽古は中断され、完全に『わたし待ち』の状況に。
意識はすぐに戻ったのですが、全スタッフさんに申し訳なくて、
「大丈夫だよ、お前頑張ってるもん」
と背中を摩ってくれる同期の言葉に救われもし、さらに悔しさが増しました。
――死ぬ気で頑張ってみろ。死なないから。
だからって、自分の体調・精神管理も出来ないようじゃあ、まぁ演者失格ですわな。
「自分の限界値を知って認めるのも大事だからね」
疲労回復の点滴を打ってもらい、なんとか本番も乗り切りました。
そう言えば、脳の血管腫が発覚したときもそうでした。
「あなたは気付かなくても、からだは正直に疲労や苦痛の信号を送ってるものだよ」
”信号”
私は気付けなかったな。
というか、気付かないふりをしてました。
ゲームオーバーになっちゃうのが、怖かったから。
その結果、コンセントから引っこ抜かれて、ゲーム強制終了みたいになっちゃったけど…。
自分の状態を知る
”お風呂が、湧きました”
そろそろ毎日お風呂浸かりたくなる時期です。
家電から学ぶことなんてあるんですね。
ちゃんと自分の状態を分かってて、出来ないときは無理せず諦めてくれるし、危険を察知したらビービー警報鳴らせてくれるし、
なんか…、ちゃんとしてるね。日本の家電。
“ワタシ、今日ちょっと、しんどいです”
とか、教えてくれると助かるのですが……。
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