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ディズニーヴィランの英語の発音

高校生のときに知って、結構衝撃を受けたことなんですが……。

ディズニーアニメーション映画のヴィラン(悪役)のほとんどが、ブリティッシュアクセントだという事実。

ショッキングでした。
それまでの私は、英語は英語でも、国や地域によって発音や単語の特徴が異なるということすら知りませんでした。

世界の人々がイギリスに対して抱くイメージって、やっぱりあんまりよろしくないのか……とも思いつつ。

そこからイギリス英語に興味を持ち始めたのですが、それと同時に、心優しく美しいプリンセスよりも、どこか憎み切れない意地悪なヴィランたちに、魅力とシンパシーを感じるようになりました。

憎み切れない馬鹿たち


彼らの目的は一貫していて、発言や行いにも迷いがありません。
富、名声、若さ、美しさ……。
私利私欲のためにあらゆる手を尽くすヴィランたちは、心優しくか弱い姫(ほぼ白人)や、ハンサムでジェントルな王子(ほぼ白人)よりも、よっぽど強い人間に見えました。

自分の欲が何なのか。

それをはっきりと自覚し、嫌われようが疎まれようが関係なし。
独自の感性でひた突っ走る彼らは、私にとって正直で、自立していて、とても強い生き物でした。

卒業旅行で行ったディズニーランドで、マレフィセントのマグカップを買ったとき、
「なんでもっと可愛いのん買わんの?」
と友人に聞かれ、
「自立してて強い女やと思うから」
と言った私に、可愛げなど一ミリもなかったでしょう。
プーさんのぬいぐるみや、プリンセスのハンカチを買って喜んでいる同級生たちよりも、ちょっと大人になれたと勘違いして、得意げだったことを覚えています。

良いもん、悪もん


プリンセスや王子、所謂「良いもん」ばかりが幸せになって迎えるハッピーエンドは、まさにおとぎ話。

そもそもヴィランたち、「悪もん」とは言い切れないと思うんです。
どうして彼らがそういう欲望を抱くようになったのかまでは、ほとんど描かれないし、たとえ描かれていたとしても、良いもんか悪いもんかの判断は、直接被害を受けた当事者にしか出来ないはずです。

暴力や権力を振るったり、魔術を行使して人を操ったり、
一見やっていることは間違っているけれど……、
思いっきり歪んでいるけれど……、
近隣住民に迷惑かけまくってんねんけど……、
彼らのそこまでの感情の火種の正体を、多くの人は理解しようとはしない。深堀しようとは、しない。
なぜなら、

複雑だから。

シンプルで分かりやすいハッピーエンドは、「幸せ」を押し付けているようにしか見えないときがあります。

「幸福」ってこうだよ。
結婚こそがゴールなんだよ。
女は綺麗で細いが、美。
ゼッタイに、欲張っちゃダメ。
いい子にしてれば、誰かが助けに来てくれるから。etc.

本質がかすむ物語


メジャーコードの音楽で、アドレナリンぶわぁ~ってなる結末の方が、作品としてはそりゃウケるんだろうけどさ、
そのファンタジーを信じたまま大人になったら……、
なったから、苦しむこともあるんでないの……?


シェイクスピアの物語が、やっぱり私は好きです。
不条理だし、登場人物も情けない奴多いし、だらしないし、
複雑すぎて、もうどうしたらいいのこの気持ち、ってなるのですが、
でも、
「本質ってこうかも」
って思えるから、”ちゃんと”人間書いたんだね~ウィリアム~。
って感じます。

そんなわけで、
もちろん、それだけが理由じゃないけど、
私は今でも、イギリスに惹かれています。


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