56.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 42


星星峡 2013年11月号 No.190 P2-10
謝肉祭
本 P320-330

二日間の第三次審査が始まった。
二日間の第三次予選が始まった。

 小さく深呼吸し、思い切って弾き始めたものの、一次審
査、二次審査とこれまでのびのび弾いていたのが嘘のよう
に、まるで別人のような萎縮した演奏になってしまってい
る。
  小さく深呼吸し、思い切って弾き始めたものの、
一次予選、二次予選とこれまでのびのび弾いていた
のが嘘のように、まるで別人のような萎縮した演奏
になってしまっている。

 伝え聞いた話では、弟子が三次審査に残ったと聞いて、
急遽師匠が来日し、昨日はレッスンに明け暮れたらしい。
伝え聞いた話では、弟子が三次予選に残ったと聞
いて、急遽師匠が来日し、昨日はレッスンに明け暮
れたらしい。

 また、教えてみて初めて分かることというのはものすご
くたくさんある。
 また、教えてみて初めて分かることというのはも
凄くたくさんある。

 すっかり観客に戻って三次審査の客席に陣取った高島明
石は、三人目の韓国人コンテスタントの演奏を聴きながら
しきりに感心していた。
  すっかり観客に戻って三次予選の客席に陣取った
高島明石は、三人目の韓国人コンテスタントの演奏
を聴きながらしきりに感心していた。
 
 二次審査までに気に入った演奏が幾つかあり、絶対に残
るだろうと思ったコンテスタントが何人か落ちてしまっ
た。どうしても納得できなかったので、演奏CDを入手し
て聴いてみた。
 二次予選までに気に入った演奏が幾つかあり、絶
対に残るだろうと思ったコンテスタントが何人か落
ちてしまった。どうしても納得できなかったので、
演奏CDを入手して聴いてみた。

 うぬぼれていたわけではないが、自分だってかなり多く
の演奏を聴いてきたという自負があった。
 自惚れていたわけではないが、自分だってかなり
多くの演奏を聴いてきたという自負があった。

  明石は、「ラ・ヴァルス」を弾き終えたコンテスタント
に万雷の拍手を浴びせながらも、次に登場するマサル・カ
ルロスの姿をじっと思い浮かべていた。
  明石は、「ラ・ヴァルス」を弾き終えたコンテス
タントに惜しみない拍手を浴びせながらも、次に登
場するマサル・カルロスの姿をじっと思い浮かべて
いた。


星星峡での連載は今回で終わりです。休刊だったようです。
次回からは『PONTOON(ポンツーン)』の連載です。

謝肉祭
https://www.youtube.com/watch?v=gO_4qPI01OE

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