29.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 15
星星峡 2011年2月号 No.157 P2-11
この子は必ず世に出てくると子供の頃に確信した自分の
直感が証明されるのを見届けられたら、あたしは安心して
ヴィオラに行ける。
*前後に空白行
スターというのはね、以前から知っていたような気がす
るものなんだよ。
*前後に空白行
昔聞いた声が脳裏に蘇る。確か、この声は。
*前後に空白行
ああ、これは綿貫先生の声だ。亜夜は小さく領いた。
ピアノの手ほどきをしてくれたのはママだけれど、音楽
を愛することを教えてくれたのは綿貫先生だった。
前に空白行
ああ、これは綿貫先生の声だ。亜夜は小さく領い
た。
ピアノの手ほどきをしてくれたのはお母さんだけ
れど、音楽を愛することを教えてくれたのは綿貫先
生だった。
なんてチャーミングなんだろう。
*前後に空白行
一音一音が深く、豊かで剥き出しではなく、びろうどで
包んだかのよう。なのにちゃんと、シンプルでちょっとシ
ニカルなバロックの響きがする。
一音一音が深く、豊かで剥き出しではなく、ビロ
ードで包んだかのよう。なのにちゃんと、シンプル
でちょっとシニカルなバロックの響きがする。
そう思った時、また綿貫先生の声が聞こえてきた。
*前後に空白行
身体の中に大きな音楽を持ってて、その音楽が強くて明
るくて、狭いところに決して押しこめられない――
*前後に空白行
そう、まさにそんな感じ。い′つだったか先生はそんなこ
とを言ったっけ。
*前後に空白行
三枝子も審査員席でマサルに見入っていた。
*前に空白行
審査員席は二階席ぜんぶを使い、十数人の審査員がゆっ
たり間を置いて二段に座っている。
審査員席は二階席ぜんぶを使い、十三人の審査員が
ゆったり間を置いて二段に座っている。
ハイブリッド・チャイルド。あの時も思い浮かべた言葉。
*前後に空白行
ナサニエルは、マサルこそが先生の衣鉢を継ぐ者だとい
う自負があるのではないか。
*前後に空白行
確かに、それだけの期待ができる弟子には違いない。
*前後に空白行
三枝子は、二曲目を弾き終えたマサルをじっと見つめた。
*前に空白行
鳴る、鳴る。凄い。
*前後に空白行
この「メフィスト・ワルツ」が基準になるなんて。この
子は、自分に不利になるとは思わないのかしら。
*前後に空白行
確かに、凄い。あたしが将来を予想するまでもなく、あ
の「王子」はホンモノだ。
*前後に空白行
本P129-140
今日もページの割にはすくないですかね。
ママが母さんに、ビロード、十数人が十三人に
図書館からはまだこない。下手すると1週間ぐらい空いちゃうかも
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