69.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 55

PONTOON  2015年1月号 No.196  P156-160
歓びの島
P400-406

 一次審査で感じた絶望とは全く異なる感
情。
 一次予選で感じた絶望とは全く異なる感情。

 こんな馬鹿なうぬぼれ女を見捨てずに、
辛抱強くつきあい、信じてくれてきた奏た
ちの人の好さときたら、本当に、馬鹿がつ
くお人好しとしか言いようがない。
 こんな馬鹿な自惚れ女を見捨てずに、辛抱強くつ
きあい、信じてくれてきた奏たちの人の好さときた
ら、本当に、馬鹿がつくお人好しとしか言いようが
ない。

 しかも、そのことに気付いたのが、もは
や第三次審査も終わり、というこの時とき
ている。
 しかも、そのことに気付いたのが、もはや第三次
予選も終わり、というこの時ときている。

 恐ろしい。あたしは、今、ステージに出
ていくことがとてつもなく恐ろしい。自分
に音楽ができるのか、自分に音楽が聴けて
いるのか、誰かに聴かせるだけのものを持
っているのかが恐ろしい。
  恐ろしい。あたしは、今、ステージに出ていくこ
とがとてつもなく恐ろしい。自分に音楽ができるの
か、自分に音楽が聴けているのか、誰かに聴かせる
だけのものを持っているのか恐ろしい。

だけどーー恐ろしいけれど、あたしはわ
くわくしている。
*前後に空白行

 あたしの音楽が、ようやく始まるのだ。
 やっと、始められるのだ。
*前後に空白行

 第三次審査最後の演奏を聴こうとホール
に流れこんでくる人々。スタンバイに緊張
する人々。あたしで最後。なんだか奇妙な
感じだ。
  第三次予選最後の演奏を聴こうとホールに流れこ
んでくる人々。スタンバイに緊張する人々。あたし
で最後。なんだか奇妙な感じだ。

 コンクールが自分の演奏で終わるのっ
て、めったに経験できないんじゃない?
 自分の演奏でコンクールが終わるっていうのも、
なかなかできない経験じゃない?

 さあ、音楽を始めよう。
*前に空白行


雨の馬でましたねぇ、ここ、映画では黒い馬が走るシーンが何度か出たと思うんですが、映画だとなんで?って感じだったんですが、ここ読んで納得。

 修正ではないんですが、ステージマネージャーさん。
亜夜の場合 
「では、栄伝さん、時間です」
なんですが、

マサルの場合、
「時間です」
田久保が穏やかに言った。
「幸運を」

塵の場合
「――風間君、時間です」
田久保は静かにそう言った。

これは、三次審査だけ、他のも明日調べてみますかね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?