53.蜜蜂と遠雷 連載からの加筆・修正 39

星星峡 2013年7月号 No.186 P26-31
天国と地獄
本 P299-305

 一次審査では四分の三近くが落ちてしまうとあって、コ
ンテスタントのあいだにも二次に残れば御の字、というと
ころがあった。力だめしで参加した者もいるだろうし、そ
んなに悲愴感はなく、イベントを共有しているという雰囲
気のほうが強かったような気がする。
 一次予選では四分の三近くが落ちてしまうとあっ
て、コンテスタントのあいだにも二次に残れば御の
字、というところがあった。力だめしで参加した者
もいるだろうし、そんなに悲壮感はなく、イベント
を共有しているという雰囲気のほうが強かったよう
な気がする。

 しかし、二次審査発表となると。
  しかし、二次予選発表となると。
 
 明石は選ぶ側にいる彼らを、一瞬強く憎んだ。いわば、
自分の将来の生殺与奪権を握っている彼ら、百人のコンテ
スタントの一人一人の人生など全く想像しないであろう彼
らを。
 明石は選ぶ側にいる彼らを、一瞬強く憎んだ。い
わば、自分の将来の生殺与奪権を握っている彼ら、
九十人のコンテスタントの一人一人の人生など全く
想像しないであろう彼らを。

 二次審査に残った二十四人から、三次審査に残る十
二人。
 二次予選に残った二十四人から、三次審査に残る十
二人。

 ジリジリとした緊張感ではちきれそうになった瞬間を見
計らったかのように、オリガは「では、三次審査に進んだ
コンテスタントを発表します」と宣言した。
ジリジリとした緊張感ではちきれそうになった瞬
間を見計らったかのように、オリガは「では、三次
予選に進んだコンテスタントを発表します」と宣言
した。

 ジェニファ・チャンが落ちた。
*前後に空白行

 一次審査の結果発表時のオリガの声が頭に鳴り響いてい
る。
 一次予選の結果発表時のオリガの声が頭に鳴り響
いている。

 三次審査で弾くはずだったクライスレリアーナ。
 三次予選で弾くはずだったクライスレリアーナ。

 落ちた。俺は落ちたのだ。
*前後に空白行

 全く一次審査と同じ台詞だった。
*この行削除

 フラッシュを浴びる二次審査通過者に向かってカメラを
構えて歩いていく雅美を見送り、明石はロビーの片隅でぼ
んやりと立ち尽くしていた。
 フラッシュを浴びる二次予選通過者に向かってカ
メラを構えて歩いていく雅美を見送り、明石はロビ
ーの片隅でぼんやりと立ち尽くしていた。

 終わった。俺のコンクールは終わったのだ。
*前後に空白行

 そういえば一次審査の発表の時も同じことを考えたな。 
 そういえば一次予選の発表の時も同じことを考えたな。

悲愴感、悲壮感 どうちがう?
百人が九十人、一行まるまる削除は初めてかなぁ。

こういう回はやりがいありますね。

でも、明石落ちちゃいましたね。
さて、天国と地獄 プロの演奏がみつからない。
https://www.youtube.com/watch?v=GpXFxkojyNE&list=PLgc8yoXjOW11uJhfkEXgI-YWLSIiqZWvT

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