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自分たちの居る場所を、自分たちの好きな場所に変えていこう。

 数年前、「デジタルトランスフォーメーション」を入り口にして始めたこの活動は、確実にその所在地を「アジャイル」に移してきている。開発に留まらず、組織そのものにアジャイルを宿していく。いわゆる組織変革。

 組織変革といえば、組織内の言葉を変えることだ。それはいわゆる「文化、風土を変える」ということに繋がっていく。そのことは、前提であり、目指す先であり、最初にして、最後の最大のハードルと言える。

 この手の文脈には学習する組織、組織開発、近年で言えばパーパス経営といったキーワードがある。これらとの理念的、プラクティス的、繋がりは得ながらも、私がイメージしている「変革」は少しルートが違う。業務、事業を入り口として置く

 それは、デジタルトランスフォーメーションやソフトウェア〜プロダクト開発からの流れから変革を語るからであろう。理念の重要性は前提としつつ、手元における変化の動きは、日々の営みである業務、既存の事業の質的向上、そして新たな価値創出、に軸足を置く。

 理念は必要だが、理念だけで日々が動いていくわけではない。良きと思うイメージを手元で再現するためにはどうしたらいいのか。誰とどうやって、何に臨むのか。その考え方とやりようの両面における手がかりを「アジャイル」に求める

 アジャイルによる組織変革への流れは、ごく自然なこととして捉えていた。当然のように行き着く先として考えていた。だが、この数年の進展を見るに(また、今年のアジャイルジャパンを見るに)、確実に裾野を広げているものの、まだ段階としてはアーリーアダプター側にあたるように感じる。

 自分の役割をいつ終えようかと日々を数えながら、段階としてはまだ全く熟していないのではないか。そんな思いに駆られ始めている。裾野が広がっていると書いたが、僭越なことながら、その前線こそ自分の目の前のことではないか、と。

 先日も、変革を担う管理職の方と会話した。伝統ある組織でありながら、そのチーム自体は若く、リーダーも30代である。彼、彼女たちが、「理念」を掲げて、アジャイルに取り組んでいく考えを共有してくれた。やはり、とっとと身を引くべきだなと思いながら、同時に、若者たちがこれから切り開く道の険しさついて先回りして語れるところは多分にあり、偉そうに語らせて頂いた。

 そこで、何を語るのか。この先にある絶望的な無理ゲーや、ドロドロとした人と人とのせめぎ合いの話か? そんなことで、気を挫いてどうする。もちろん、語るべきは「希望」ですよ。

 私が5年かけて切り開いたことは、これから臨む人は3ヶ月で出来る。それが「肩に乗る」ということだ。もっと速く、遠くに行くことができる。そして、当事者にしか辿り着けない先にまで。いまから走り始める人には、常に可能性という希望がある。自分たちの居る場所を、自分たちの好きな場所に変えていこう。私もそれをもう少し見届けたいと思っている。

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