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「仕事を止めるバッチスタイル」と「仕事を止めないフロースタイル」

 また、DXの話。

 DXの名の下に、新しいビジネスを立ち上げたり、個別事業の中身をアップデートしたりと、様々な取り組みが行われる。いずれにしても新規性が高く、取り組みに際しては仮説検証やアジャイルといった探索的なケイパビリティが求められる。

 多くの企業で、探索のケイパビリティは不足しており、外部から補完するのが専門家の役割となる。歴然、そういう仕事は多い。もちろん、一時的に調達して凌げられれば良いわけではなく、そもそも組織に探索的能力が宿るのが狙いだ。

 ところが、実際のところ、組織が探索のケイパビリティを獲得するまでの距離は遠く遠く感じる。場合によっては絶望的とさえ言える。なぜだろうか?

 それは、仕事の基本的なスタイルが違うからだ。スポーツでたとえると、いままで野球をやってきたチームが、いきなりサッカーも行うようなもの。野球とサッカーを並行して行う場合もあり、とてつもない混乱を招く。

 これまでの仕事のスタイルとは基本的に「止める」あり方。一方、これから求められる探索のスタイルとは「止めない」あり方なのだ。前者はバッチ的、後者はフロー的と言って良い

 バッチのスタイルは、原則仕事を止めて行う。何かを依頼する、返ってくるまでしばらく待つ、返ってきたら応答する、仕事の続きを始める。リクエストを投げておいて、レスポンスを得るイメージ。1つ1つの行為には確認が入り、やってもいいかどうかについては事前の承認を得る。そういうテンポで仕事ができる。コミュニケーションはメールで良い。

バッチ
・止める
・リクエスト、レスポンス
・確認と事前承認
・メール

 一方、フローのスタイルでは、原則仕事を止めない。仕事をする場所を共有し、リアルタイムで物事を進める。相手と同じものを見ながら、その場で議論をしながら、決めていく。行為が相手側も含めて繋がっている。だから、テンポも早い。1つ1つの行為の是非を丁寧に問うというよりは間違っていても良いから試行を繰り返し、小さな判断を細かく入れていくことになる。ゆえにバッチに比べると確認と事前承認の回数は減るか、格段にレスポンスまでの時間が短い。コミュニケーションはチャット。

フロー
・止めない
・リアルタイム
・試行と自己判断
・チャット

 細部までみると、スタイルが全く異なる。いきなり、フローのスタイルを前提にされても、バッチでやってきた人やチームでは対応ができないし、大きなストレスを一気に感じることになる。

 では、どうするかって?

 もちろん練習が必要です。

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