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初心者の特権 - 黒ゴマ入りミニバゲット
三連休の初日、今晩はワインを飲むからという妻の言葉を受けて、バゲットを作ることにした。賞味期限がつい一週間前に切れてしまった黒ゴマが残っていたので黒ゴマ入りに。
「バゲット」というと、普通はあの専用の紙袋に入った長いフランスパンなのだが、家庭用のオーブンレンジではそんな長いパンは焼けないので、ちょうど半分くらいのサイズにして2本焼くことにした。なので「ミニバゲット」。
いや、本当はあの長さじゃないとバゲットとは言えないので、バゲットじゃないんだけど。
振り返ってみると、パン作りを始めて今日が80回目、そのうちバゲットは今日で3回目らしい。
バゲットは、太い棒のような形に「クープ」と呼ばれる裂け目が入っているだけの素朴な形状だが、実はうまくあの形に焼き上げるには相当なコツがいる。
ねんど細工のようにパン生地をただ棒状に固めて焼けばいいというものではなく、しっかりふくらませるために表面を張らせるように特殊な成形をしたり、あの特徴的な裂け目も、単なる模様ではなくふくらみを促進させるためのもの。
レシピ通りにやっているつもりでも、きれいな棒状にならなかったり、太さが均一にならなかったり、裂け目が思ったほど広がらなかったり。
家庭用のオーブンの機能的な限界もあるが、やはりパン職人の熟練の技があのシンプルな形状でかつ味わい深いうまみを生み出す。たった3回でうまくいくわけないよね。
以前noteに書いたクロワッサンは、よくよく見てみればその形状からして工程の複雑さは想像できたりもするが、バゲットはそのシンプルさがゆえになかなかピンとくるものではないだろう。クロワッサンよりもさらに奥ゆかしいのがバゲットなのだ。
実際にパンを作っているからこそわかること。書かれている説明を読むのとは違う、やってみてうまくいったりいかなかったりする経験から体感できること。
これはパン作りをしているものの特権かな。
え?別に知らなくてもいい??
もっと経験を積んで熟練すると当たり前になってしまうようなことも、失敗を重ねてその重要さが実感できるのは初心者だからこそ。初心者って、未熟で半人前、というネガティブな意味だけじゃなくて、センシティブにさまざまなことに興味を持って知識を吸収していける、成長のために必要な時期、という意味があるんだ。
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