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劇的で憂鬱な同点弾 第2節 鹿児島対今治

鹿児島県民160万人の鹿児島ユナイテッドサポーターの皆さん、こんにちは仙太郎です。2週連続で厳しい戦いになりましたが、最後の最後本当のラストプレーで追いつくギリギリの試合となりました。スコアは1−1の引き分けでしたが、内容的には今治に圧倒された試合を振り返りましょう

https://youtu.be/c_6fYpKr2yE

まずは先発メンバーです。開幕戦から三人が変わりました。
右SBが星選手、トップ下に端戸選手、右ウィングに五領選手が入ります。
先週、絶好調だった渡邉選手がベンチ外なのは怪我なのか、なにかの間違いなのか。

長いシーズンを考えて選手を入れ替えて戦うのはありですが、それだけコンビネーションを作るのに時間がかかるようになります。今回は比較的昨年のメンバー中心でした。

鹿児島対今治のスターティングメンバー

実は我らのホームスタジアム 白波で全勝の今治。昨年の悪夢が思い出されます。そして、そのジンクス通り前半から今治の攻勢に押されていまいます。

鹿児島が積極的にボールを奪いに行くのですが、今治のパス回しがワンタッチ、ツータッチで早いので、プレスの掛けどころがなく、鹿児島はまったくプレスがかからない状態です。何度も何度も鹿児島ゴールに迫られますが、なぜか彼らはそこから崩そうとはせず、謎のミドルシュートを連発してくれます。しかもそのほとんどが枠に飛ばないので、鹿児島としては攻められているけど失点はしない状況でした。今治がミドルシュートを打たないで、そのまま崩しに来たほうが鹿児島は嫌だったんですけどね。これは助かりました。というか崩しに来られたら前半だけで2、3点取られていてもおかしくなかったです。

(昨年同様)鹿児島が途中4−4−2でブロックを作って前プレスしない時は、安定して守れていましたが、それでも時々思い出したように五領選手とかが前プレスに行き、あっさりかわされていました。前プレスでボールが奪えないときに、守備戦術をどうするかは昨年同様チームで統一されていません。

鹿児島の攻撃は繋ごうとするのですが、今治の前プレスと素早いスライドでなかなかサイドからも前進ができていませんでした。鹿児島の初シュートは14分で、攻撃は順調とは言い難かったですね。

前半の20分位から鹿児島がロングボールを入れ始めます。今治は前からプレスを掛けるので、ロングボールを入れると今治のDFラインは後ろに下がり前線とDFライン間の距離が開きスペースができるので、ヘディングでクリアしたボールがそのスペースに落ち、鹿児島はそのボールを拾って相手陣内で侵入できていました。そして相手陣内に入ればサイドチェンジから五領選手がフリーでボールを受ける場面も出てきて、今治ゴールに迫り始めます。前半24分に中原選手の絶妙のパスから鈴木選手へ渡り、それを中で有田選手が合わせられませんでしたが、これも決定機でした。そして40分には五領選手のセンタリングを有田選手がヘディングでゴールに入れましたが、惜しくもオフサイド。しかしこれも決定的なチャンスでした。こうして鹿児島も前半の後半は有効な攻めができるようになり、前半は終了します。

サイドにいた今治の選手が鹿児島のゾーンの間のスペースに移動して縦パスを受ける。動いてできたサイドのスペースにSBが上がってきて、ボールを受けて縦パスを出し大きく前進。今治の選手一人で鹿児島の選手四人を引きつけているのでサイドにも中央にも大きなスペースがある

ところが後半になると完全な今治ペースになります。鹿児島は後半開始直後に、岡本選手のヘディングでの折返しのこぼれ球を端戸選手がバーに当てるシュートがありましたが、今治に脅威与えることができていませんでした。

ロングボールも後半は今治に拾われることが多く、鹿児島は時々今治のビルドアップからボールを奪いカウンターしたいところなのですが、戻るスピードや選手の数が圧倒的に今治のほうが多く攻撃は単純なセンタリングくらいしかありませんでした。これはつまり後ろからの押し上げが遅いということです。それには気温も高いことも影響していたと思いますが、ホームの鹿児島が先にバテてどうすんねん?という話です。

しかも鹿児島はキャンプからシーズン終盤まで走りきれるように、走り込んだと言われていたのに2試合目でもうバテていては、厳しいですよね。あきらかに今治のほうがフィジカル的にはフィットしていましたね。これには試合を通じて今治が自分たちでボールを保持して攻撃していたので体力消費が抑えられていたとか、鹿児島が何度もDFラインを突破されていて走らされていたので疲れたとは思いますが、ボールは持てないし走れないでは勝てる要素がありませんよね。ただDFラインの押し上げが遅いとクリアボールを今治に拾われてカウンターをされるので、さらに疲れるという悪循環でした。

68分の今治の攻撃。昨年同様、鹿児島の選手がボールに寄りすぎて、もっとも危険なゴール前のスペースをがら空きにしている。この時はゴールネットを揺らされたがオフサイドで難を逃れる。

一方、鹿児島のプレスをかいくぐった今治は、何度も鹿児島のゴール近くにボールを持ち込みますが、ところがそこから前半同様の謎のミドルシュート連発で、自ら攻撃権を手放してくれて、鹿児島は助かります。なので鹿児島は選手交代をして劣勢を挽回しようとしますが、これもうまくいかず今治主導でゲームは進んでいきます。

そして後半73分、今治に先制点が生まれます。この失点には複数の要因が絡んでいます。まず最初にボールにアプローチに行った河辺選手ですが、後ろからプレスに行っています。しかし、これはプレスの方向を間違えています。通常プレスは後ろではなく、ゴール方向から掛けなければいけないのでここがまず最初のミスになります。

次のミスですが、河辺選手のプレスをかわして山田選手がドリブルで中に入ってくるのですが。この時岡本選手がアプローチしています。それを見た山田選手はヴィニシウス選手にパスして裏へ抜けてワンツーパスを受けます。この時リターンパスを受けた山田選手へアプローチしているのはSBの薩川選手になりますが、これ本来、岡本選手が付いていかなければならないのですが、マークを離しています。なので仕方なく外から絞って薩川がアプローチしているわけですが、本来薩川選手が埋めていたスペースにボールがこぼれて、三門選手がゴールします。この時、岡本選手が山田選手へついていけていれば、薩川選手はそのスペースにいたので、ボールがこぼれても対応できたと思います。

そして三番目のミスですが、それは大内選手のスタンスになります。彼はシュートに対して準備体勢を取るときに脚を開く癖があります。GKは基本肩幅くらいの歩幅で立つのがセオリーになります。理由は脚を開いた状態から閉じると、逆の場合より時間がかかるからですし、股を抜かれるとGKはノーチャンスなので。この時、大内選手は慌てて脚を閉じようとしていますが、間に合わず失点しています。それに脚幅が小さい方が横や前に出るときも素早く動けます。

昨年の選手がほとんど残った中で、唯一GKの白坂選手だけがレンタルバックして不在となり、大西選手も移籍となり、GKのポジションが唯一の不安ポイントだったんですけど、大内選手は素晴らしいGKですね。白坂選手の穴を感じさせないプレーを見せてくれています。ポジショニングもいいし、キャッチングもうまいと思います。

さらに白坂選手は積極的に飛び出してセーブするタイプではなかったのですが、大内選手は前にも出てきます。ただ前に出てくるということは失敗して失点することもありますが、それ以上にピンチを防ぐこともできるでしょう。この試合もCKに飛び出して触れず、あわや失点という場面もありましたが、今後はその判断の精度を上げていってほしいと思います。またロングキックの精度もよく、今後ビルドアップでも活躍が期待できそうです。そして背も高くて飛んだときも体が一直線になっていてより遠くまで届きます。彼は今後楽しみしかないですね。

ヴィニシウス選手のシュートを飛んで止める大内選手。完全に体が一直線に伸びているので遠くまで届く。このときもニアポストに近いポジションから一度ステップしてから飛んでいるのも素晴らしい。このシュートは枠を外れているのですが、余裕で届いているとこに彼の素晴らしい能力を見られます。

先程失点の原因のひとつが岡本選手にあると述べましたが、彼はとても高い能力を持つ選手です。この日もなんども素晴らしい守備をしてヴィニシウス選手を止めていました。

彼の将来性は疑いがありません。ただ若いので当然ながらまだまだ学ぶべき部分もあります。前半からヴィニシウスとやり合ったり、裏のスペースをカバーするために何回も全力疾走したりしたので、後半途中には疲れていたと思います。失点したときも彼だけが膝に手をやっていましたから。

ただそれでもあそこはマーク外してはいけません。開幕戦も相手CBから縦パス一本で裏取られましたが、あれも事前に予測できていれば裏取られてシュート打たれることもありません。その辺りのほんのちょっとしたことが、最後の砦であるCBにとっては重要になります。そのあたりを是非身につけて成長して、鹿児島の勝利に貢献し、それで(残念ではありますが)新潟に戻れればいいかと思います。

小さなミスが積み重なって鹿児島が失点しますが、それまでも決定的なピンチを何回も作られていたので、失点自体は仕方ないと思います。問題は昨年同様、後半にリードされてからの戦い方になります。昨年を覚えている方もいると思いますが、昨年後半戦、試合後半にリードされて本来攻撃的に行かなければいけないのに、ボールは前進できないわ、崩せないは、いい形でシュートは打てないはで負けた試合たくさんありましたよね。

72分の失点シーン。岡本選手がマークを外し薩川選手がカバーに行っている(赤点線矢印)のがわかる。そして薩川選手のいたスペースに三門選手が走り込みゴール。

この日も選手交代しているのですが、どれも有効ではなく、本来攻めなければならないのに簡単にボールロストして、今治にボールに渡していました。73分にリードしたので今治はボールをポゼッションしながら時間を消費し、無理な攻撃をしてカウンターをもらうようなことはありませんでした。ビルドアップの仕方といい、時間の使い方の巧みさなど正直鹿児島より数段上に感じました。それに今治には、鹿児島の天敵のヴィニシウスがいて、彼がボールを持つとボール奪えないですし、キープしてためも作れるし、パスもできるし、最後にシュートもできるということで、かなり苦戦しました。だから本来彼さえ抑えれば今治の攻撃力は半減するのですが、できなかったですね。

なので本来鹿児島が最後に怒涛の攻撃をしなければいけないので、攻撃は散発的で決定的な場面は作れませんでした。最終的にはロスタイムに相手のオウンゴールで追いつたのですが、これはかなり偶発的な要因もあり、素直には喜べません。昨年後半戦同様、攻撃がうまくいかない、選手交代しても状況変わらないので、これ解決しないと、そのうちに負けが来て、連敗もありえます。そして昨年のデジャヴです。

鹿児島は選手一人一人の能力は高いので、それをチームとしてまとめていってほしいと思います。

選手交代も先週活躍した渡邉選手をベンチ外にしたり、後半に有田、鈴木選手を下げて高さを強さを持つ選手がFWからいなくなりました。リードされた後にボールを放り込まない選択肢もありだと思います。でもそうでなければ得点への道筋を監督が見せてあげるべきだと思うんですよね。崩して点取るならサイドで突破できる圓道選手とかもベンチ外ですしね。

武選手も野嶽選手もいいプレーヤーなんですけど、武選手は高校卒業したばかりでフィジカル的にはプロのCBとやり合うには物足りないですし、後半89分に投入される野嶽選手もかわいそうですよね。若手にはできればリードしている後半とか、余裕のある状況で経験を積ませたいですよね。

選手個人個人は頑張っているんですけど、チームとして機能していないと特に試合後半は感じました。だから劇的な同点劇なんですけど、素直には喜べないんですよね。2試合で勝ち点4なんでいいスタートだと思うんですけど、正直今後かなり不安です。

それでは次の週末はアウェーでの岐阜戦になります。
「チェストー!鹿児島ユナイテッド!」

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