![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116592473/rectangle_large_type_2_ed8968b688fbb1ff934e6113a3617692.jpeg?width=800)
リアルというフィクション
2001年のその日、僕は前の晩から仕事をしていて朝を迎えていた。つけっぱなしだったテレビが、1機めが貿易センタービルに突っ込んだあたりで速報体制に入り、奥さんを起こして、ベッドの側のテレビをつけたとたんに2機めが突っ込んだ…最初は、たんなる航空機事故と思っていたのだけれど、どうもそうではないと思った瞬間、僕は、劇場版の2作目「機動警察パトレイバー 2 the Movie」を思い出していた。
「機動警察パトレイバー 2 the Movie」は1993年の作品。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/15762946/picture_pc_ac816196947542d69994d0e132ac83d6.jpg)
物語は、とあるテロリストが、ベイブリッジをミサイルで破壊するところからはじまるが、そうした情景的なことより、この物語に登場するテロリストたちのたくらもみ方というのか、実際、現実の9・11以後の展開も、これに似たようなところがあった。世の中のうろたえ方が、この物語に描かれているところとそっくりでもあった。まさにデジャブを見ているようだった。
作品の中で、テロリストは、人々の怯えを計算に入れ、無害なガスをまき散らして都市や自衛隊、警察を混乱させるが、今となっては、9・11直後の、あの炭疽菌騒動も、これと似たようなブラフだったのではないかと思ってしまう。
とにかく、物語の中のテロリストたち(というより、実質的にひとり=ここがまた怖いところ)は、人の心がどうあるか、組織にどういう歪みが溜まっているかを熟知し、実際にしかける攻撃は。無血、且つ最小限にして、不安感で相手側が勝手にこけていくように仕向ける…そういう戦術を用いる。
そして、その迎撃にあたる警察、自衛隊、政府は、上層部から一兵士にいたるまで、未経験なことに対して怯え、お互いが疑心暗鬼に陥って、仲間割れしながら勝手に「戦争状態」を創りだしていく…
「たったひとりの人間の妄想が、やがては現実をつくりだしてしまう恐ろしさ」を見事に描き出し、その可能性が「今という現実」に「起こりうる」ということを強く示唆してくれている。
僕は、それほどアニメに詳しくないので、この物語の創作に、企画・原案のゆうきまさみさんと、原作のヘッドギアさん、監督である押井さんが、どれほどの比重でかかわっていらっしゃるのかがわからないけれど
「機動警察パトレイバー 2 the Movie」
予言的でもあるし、人間がリアルだと思っている社会が、人間の描いたフィクションに過ぎないから、スジ読みができるのではないか、とも。
いずれにしてもサスティナブル。響き続ける作品だと。