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路半ば

サカナクションの山口一郎さんのお父さんが小樽でやって喫茶店&バー。その店では定期的に友部正人氏のコンサートが行われていたんだそうです。お父さんは、山口さんに寺山さんや太宰や山頭火を読ませてもいたらしい。
山口さんのおじいちゃんも長くヨーロッパに暮らしていた…年代から考えてただ者じゃないなと思います。もちろん、お父上やおじいちゃんだけでなく、お母様やおばあちゃんだって、何らか、そういうお父さんやおじいちゃんを特別視しない教養や文化をお持ちだったんだろうし、つまり、何代かに渡って、父上の家系、お母様の家系ともども文化的に豊かでないとサカナクションの山口一郎は出てこないと思うんです。

小野リサさんのお父上も、ブラジル音楽が好きでサンパウロでライブ経営されていた方ですし、加藤登紀子さんの父上は加藤幸四郎さん。ハルピン交響楽団の事務局長だった人であり、伝説のロシア料理店「スンガリー」のオーナー。森山良子さんの父上は、ジャズ・トランペッターの森山久さん。お母様はジャズシンガーの浅田陽子さん。森山良子さんの息子さんは、いわずもがなの森山直太朗さんです。

あの土岐英史氏のお嬢さんが土岐麻子さんであるとか、トランペットの平原勉さんの息子さんが平原まことさんで、彼のお嬢さんが平原綾香さんであるというような、数代の継承があって、文化的な人材が生み出されているのだと思います。

たぶん表現を熟成させるっていうことは、それくらい難しいことなんでしょう。それ故にその人を「その人一代」で評価するのも難しいことなんだと思います。

誰でもが、努力と運があればアーティストになれるような幻想が現実になるように思えた時代もありました。でも、自分自身が観客の立場になれば、けっこう厳しい目をもって「数代をかけて熟成されたような表現」をこそ認める、そんな感じもあるのかなぁ、と。

だからといって、アーティストになれなかったその人を「その人一代」で評価してはいけないのだと思います。だって、その人がアーティストにならなかったとしても、その人は数代をかけてアーティストを育てている過程にいるのかもしれないからです。

それに「アーティストになれなきゃ人生終わり」みたいに頑張っちゃうこともないと思います。
まだ見ぬあしたに乾杯!! 
ただただ、自分は自分のできることにDo my bestでいいんだと思います。

萌芽はじっくりと育てるもの。だからこそ大輪の花も咲く。

焦っちゃダメだし、性急な評価はダメなんでしょう。何しろ、文化を育んでいるわけですから。