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小田急江ノ島線 桜ヶ丘駅

近隣に「桜株」という地名があり、実際に周辺に桜の名所も点在していたから駅の名前は「桜ヶ丘」になったそう。

上の写真は今年の三月末、桜ヶ丘駅の西口ロータリーの桜。ロータリーはぐるり桜。一部は中原街道を越えて引地川方向に伸びていて、さらに500本ほどはあるという引地川沿いの桜並木につながる。
でも、ここの花見は静かです。駅前ロータリーと生活道路だから宴会ムードになるわけにもいかないし、ゴザを敷いて酒盛りというわけにもいかない。そんなところが幸いした感じ。

でも、僕の好物は「普段の桜ヶ丘駅周辺」。あのあたりが大好きで、ここのところ、しばしば訪問させいただいている。

下の写真は桜の少し前の桜ヶ丘駅東口の写真です。西口が表なら、東口は裏なのかな。でも、ご覧のように都市再開発とは無縁の、まだほのぼのとしてた時代の空気を残しているところ。空も広いし、等身大の人間が主役の街。再開発の街にあるような「空間に圧迫感」とは無縁です(西口も「ファスト風土」色は薄いですけど)。

右手に見える黄色いワゴンはコミュニティバス。「右回り」&「左回り」だそう。いい感じに小規模=等身大だということがわかる。「システマチック」ではなく、人と人の遣り取りで運営されている感じ。

写真に写っていない僕の背中には、大福や「みたらし」が美味しい、いかにも街かどな和菓子屋さんがある。おとうさんの注文のさばき方がきびきびとしていて小気味いい。それだけで気分が上がる。ちなみに、うちの奥さんは、ここの「みたらし」を大絶賛。毎回、必ずお土産にする。
やはり画角からは漏れてしまっていますが、「おもてなし」だなぁ、心尽くしだなぁというランチを食べさせてくれる喫茶店もある。
本物の冒険家さんがやってる本屋さんもある。冒険の専門書店ではなく、冒険家が街の本屋さんを目指しているという面白い本屋さん。新刊も古書も扱っていらっしゃるけれど、その古書のコンディションがとてもいい。ステキな本屋さんだなぁと思う。

でも、このあたりが大好きな最大の理由は、そんな本屋さんや、和菓子屋さんや喫茶店の、ご主人やお客さんなど、みんなで合唱してつくるっている「空気」「雰囲気」みたいなもの。

あるとき、上の写真左にみえる、水色というか、エメラルド色の看板のランチもやってるスナックさんから、おばあちゃんが出てくると、ちょうど、そのとき。隣のマッサージ店から、おじいちゃんが出てきて「あれ。もう帰っちゃうの」なんて、二言、三言、今度はおじいちゃんがスナックに吸い込まれいく。その会話の端々に滲む、棘のない感じの人間関係が、いいなぁって。

経済的には廃れた街なんでしょうし、実際にロータリー周辺以外はシャッター通り。でもね。空気はすさんでない。むしろ、暖かいし、そこに和むわけです。

イマドキは、どこにいっても冷たいファスト風土。中心市街だけでなく住宅街でもそう。豊かだった斜面緑地も、ビニールクロスを貼ったような三階建住宅の羅列。空は狭い。

小田急江ノ島線 桜ヶ丘駅周辺は「まいどどうも」「いつもありがとうございます」と再会を喜べるようなお店ばかりだし、通りすがりに、この街のみなさんお声を耳にするだけで、あたたかくなれる街。

ありがたいなぁと思っている。