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映画やドラマ 少し音楽

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素敵な作品たちと出会ってきた。そんな作品たちとの問わず語り。
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#おすすめ名作映画

リアルというフィクション

2001年のその日、僕は前の晩から仕事をしていて朝を迎えていた。つけっぱなしだったテレビが、1機めが貿易センタービルに突っ込んだあたりで速報体制に入り、奥さんを起こして、ベッドの側のテレビをつけたとたんに2機めが突っ込んだ…最初は、たんなる航空機事故と思っていたのだけれど、どうもそうではないと思った瞬間、僕は、劇場版の2作目「機動警察パトレイバー 2 the Movie」を思い出していた。 「機動警察パトレイバー 2 the Movie」は1993年の作品。 物語は、とあ

YEN-TOWN

1996年の公開だから、もう軽く四半世紀も前の映画になる。いわずもがなの岩井ワールド。岩井俊二監督の「スワロウテイル」。 バブルはとっくにはじけていて「空白の90年代」のまっただ中(その後、「空白の30年」になると思っていた人はいなかったろうけれど)、すでに「円」という通貨にかつてほどの迫力がなかった時代。だから「円」の強さに、内外から人々が引き寄せられてくるという設定に、ちょっと違和感があったんだけれど、岩井監督が言いたかったことは、そんなことじゃなかったんだと思っている

キューポラのある街

この作品は浦山桐郎監督の監督デビュー作。主演の吉永小百合さんは当時16歳か17歳。その吉永さんが、この作品でブルーリボン賞など主演女優賞を総なめにし、今日に至る大女優への道を歩み始めたという作品。 「キューポラ」とは溶解炉のこと。つまり「キューポラのある街」というのは、当時、鋳物の街として知られていた埼玉県川口市のこと。吉永さん演じるジュンは中学3年生。典型的な「貧乏人の子だくさん」家庭で物語は弟が生まれたとたん、お父さんが失業してしまうところからはじまる。 僕がこの作品

大阪ハムレット

世間のいうところの道徳… そういうものに従わないからといって、ただただ「わがままな」というわけではなく、世間が求める水準より、はるかにやさしい人だということもある。世間の常識に縛られるのではなく、自らの「公」を自らデザインし、実践している… この映画を見ながらそんなことを考えた。 「大阪ハムレット」 三兄弟のお兄ちゃんは、一昔前の言い方で言えば「オジン臭い少年」で、中学生なのに大学生で充分通用してしまうほど。で、間違えられて、はるかに歳上の女性と恋愛関係になる。次男坊