ブレイククエスト～猫の師匠と魔法使い～（会話のみ）

師匠
とうとうこの日が来てしまいましたね…

魔法使い
はい…

師匠
あなたがこの大陸の未来のために
旅に出なければならない、と啓示を受けてから

わたしたちはこの日のために
共に修行の日々を送ってきましたね

魔法使い
……ですが、やっぱりあたし…納得できません

どうしてあたしがあんなヤツと……！

師匠
まぁ、そのような言い方はいけませんよ

魔法使い
だって、あいつ！
お師匠さまのこと…お師匠さまのことを……

コスプレしたただの猫

とか言ったんですよ！！！？？

パシュッ…ドゴーン！！

師匠
そう言われるのは仕方のないことです
見た目は本当にその通りですからね

それよりも
森に八つ当たりしたらめっ、ですよ？

魔法使い
うっ……かわいい…

ご、ごめんなさい……
でもお師匠さま……

師匠
まだ言うのですか？
…ふぅ、そうですね

あなたもいつか、弟子をとるでしょう

弟子をとるということは、
人を育てるということです

言葉は悪いですが、
彼にはその練習台になってもらいましょう

魔法使い
練習台…？

師匠
あなたには弟がいたでしょう？
あの、時々薬草を持って様子を見にきてくれる…

魔法使い
はい、いますが…？

師匠
勇者の彼を、あの子のさらに下の弟だと思うのです

魔法使い
あ、あいつが…弟…！？
優しいあの子とは似ても似つかないあいつが…！？

師匠
そうです、弟です

弟には悪いことをしたら
叱らなければならないこともありますね？

反対に、優れているところは認めて、
その才能を伸ばしてあげることも必要です

魔法使い
っ…あいつに優れたところなんて……

師匠
ないように感じますか？
それはまだ彼を知らないからかもしれませんよ？

それに、今は眠っている才能を
見つけ出して大きく育てる…

それが出来れば、あなたが弟子をとったとき
とても役に立つことでしょう

魔法使い
……たしかに、そうですね

師匠
さぁ、これで納得できましたね？

魔法使い
……でも、でも…お師匠さまと離れるの寂しいです……！

うっ…うっ……

師匠
あらあら、仕方のない子ですね……

旅立ちは明日ですから
今日はたっぷり、なでなでさせてあげましょうね
そうだ、一緒のベッドで眠りましょう！

魔法使い
お師匠さまぁ〜っ！！
大好きです〜……！！

師匠
はいはい
ほら、涙を拭いてちょうだい
わたし、あなたの笑った顔の方が好きなの

魔法使い
あたしはお師匠さまなら全部好きですぅ……うぅっ…