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【Twitter スレッド和訳】 ロシア軍“強襲部隊”に関する考察 (@Tatarigami_UA氏)

先の分析で、私は強襲部隊の武装と役割を詳細に調べた。だが、この部隊の実際の効果とその組織構造は、マニュアルに書かれているものと異なっていることが多い。より現実的な視野を提供するために、強襲部隊についての最終考察を公にしたいと思う。

まず、一時的な強襲部隊と恒久的な強襲部隊を区別することが極めて重要だ。大隊・連隊もしくは旅団といった部隊序列の中に組み込まれた強襲部隊は、「突進」部隊と呼ばれている。この種の部隊の規模は、中隊から増強大隊まで幅広い規模がありうる。

ある特定の攻撃任務のために、連隊内もしくは大隊内で集められた一時的な強襲用部隊やグループも存在するが、これらには部隊番号や名称はなく、規定された組織構造・固有の指揮官もしくは決まった装備もない。だが、その一方で各任務に特化した要求に合わせて編成されている。

一時的な強襲部隊は特定の任務に応じてつくられるが、そのための追加訓練は与えられず、部隊内協調を築くための時間も与えられない。一旦、任務が完了すると、この部隊は解散し、将兵は次に任務まで、原隊であるそれぞれの小隊・中隊に戻る。

例えば、陣地に籠るウクライナ守備隊は10名に過ぎず、問題となるような対戦車火器もないことを敵軍[=露軍]が突き止めると、ありうる可能性として、敵は5対1の兵力比になるような強襲部隊を編成し、そこに数両の戦車を支援目的で配置することで、成功の可能性を上げようとする。

前線の各所から集まってくる個人レベルの発言を踏まえると、一時的な強襲部隊の質には疑問が残る。これらの部隊は損害を被るや否や退却する傾向を持ち、適切な通信連絡に欠いていることが多く、結果的に部隊内での協同行動を困難にしている。

さらに、これらの部隊は欺瞞に対して常に脆弱である。それに伴い、ウクライナ軍陣地は砲撃で破壊されている見込みだというような事実ではない理由に基づいて、これら部隊の多くが早まった攻撃を仕掛けるという過ちを犯している。

「突進」と呼ばれる恒久的な強襲部隊は、部隊組織構造内に組み込まれており、正式な指揮官が存在する。それら部隊の練度は「突進」部隊を構成する部隊次第で大きく異なる模様で、未訓練状態から厳格かつ厳しい訓練まで幅広い状態だと考えられる。

強襲部隊は主に強襲中隊を軸に構成され、そこに1〜2両の戦車と数量のAPC[装甲兵員輸送車]が随伴する。APCは前線まで歩兵を輸送するために使われる。また、この部隊が徒歩で展開する可能性や戦車に跨乗する可能性もあるが、いずれにせよ状況次第である。

ロシア軍統帥部は、おそらくワグネルに影響されて、突破強襲任務用に「突進」部隊を設立することに決めたようだ。その結果、これらの部隊が戦果をあげるかどうかは、元になる旅団が持つリソースとその旅団の優秀さに、大きく左右されることになるだろう。

徹底した訓練を受け、チームワークを醸成するために必要な経験豊富な教官を持った突進部隊もあれば、命令を達成するために不適当な兵士から人員を集め、取り急ぎ編成した部隊もあり、その結果、質的水準は様々である。

述べておく必要があることとして、一部の突進部隊は「懲罰部隊」へと変質してしまったということがあり、将校はそのような部隊に問題のある、従順でない兵士を配置する。少なくとも2点の文書化された事例が存在しているのだが、それによると、将校は兵士を恫喝する手段の一つとして、突進部隊に配属させるという脅しを使っていた。

瑕疵がないわけではないが、突進部隊は強襲任務において、手強い相手であることを証明しつつある。この部隊の適応能力と柔軟性が、固定配置され、機動力の乏しい防衛網の弱点を見抜き、その弱点を攻めるということをうまくこなせるようにしている。

私の評価分析によると、クレムリンは課題に適応するための大規模な実験を継続的に実施していると思われる。野戦指揮官は上官からの指示の実行を試みており、そこには完全な実行からただの実行したふりに至る、幅広い程度での成果が示されている。

軍・師団から大隊・中隊といったより小さな編制に焦点を合わせるという敵軍の軍事戦略上の移行は、能力が限られてきたことを示唆している可能性がある、強襲グループの設立は、以前よりも規模が小さくなっても、過酷で消耗を伴う攻勢作戦を継続させたいという意志を示している。

今後、私は突進強襲の実例をさらに示していくつもりで、その長所と短所を明確に示すつもりです。最新投稿をチェックするためには、忘れずにフォロー[@Tatarigami_UA]してください。なぜなら、ツイッターのアルゴリズムは戦争関連コンテンツの優先度が高くない可能性があり、結果、皆さんが見過ごしてしまうかもしれないからです。

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