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【SNS投稿和訳】訓練施設から見るロシア軍の状況(@Tatarigami_UA氏)

以下は、日本時間2023年7月31日00:23にウクライナ軍予備将校の@Tatarigami_UA氏がX(Twitter)に投稿したロシア軍分析の日本語訳になります。


ロシア軍は深刻な難題に直面し続けており、莫大な損失、兵站面での困難、士気の問題、装備不足という問題への対応にあたっている。より深く分析するため、訓練施設を幾つか検証していこうと思う。その目的は、ロシア軍の難題が、致命的なレベルにすでに達しているかどうかの検証にある。

安全保障上の懸念を踏まえると、ロシア全土の兵員及び車両集結状況に関する詳細情報を開示すべきではない。そのため、詳細に触れる代わりに、ロストフ州とヴォルゴグラード州にある二つの訓練施設の全般的な概要を提示していくつもりだ。

ロシア領ロストフ州のカダモフスキー軍演習場は、第150自動車化狙撃師団用に複数用意されている訓練施設の一つとして使われている。なお、この師団は南部軍管区に所属している。同師団隷下部隊の大多数の将兵は現在、ウクライナに展開している。

検証したところ、この施設はかなり用いられている模様で、相当な数の車両が使われている。注目すべきは、最も大きな駐車スペースであって、そこに175台のトラック及び非装甲車両を収容することができ、さらに戦車と歩兵戦闘者を含む61両の装甲車両を置くことができる。

包括的な分析と2023年2月以降の画像比較を行った結果、主訓練施設の真北に位置するテント野営地に、新兵と交代要員が継続的に居住しており、ウクライナにおける戦争に投入する準備を活発に進めている。

ほかの訓練施設も現役将兵と最近動員された兵員の両方を訓練するために活発に使われており、そのなかにプルドボーイ野営訓練施設がある。この施設は南部軍管区によって運用されることが多く、注目すべきは相当数の戦車が存在している点だ。

2023年7月の衛星画像によると、最も大きい駐車エリアに約85台のトラックとその他非装甲車両が収容されていることが確認でき、主に戦車からなる約50両の装甲車両もそのエリアに置かれていることも分かる。

SNSやその他情報源から入手した多くの写真を分析した結果、ロシア軍が依然としてかなりの数の戦車を運用可能な状態で保持していることが明らかになっている。それを踏まえると、ロシア軍は装備不足といってもよいとほのめかすような発言は、正確さに欠ける。

昨年以降、ロシア軍が主に南部でT55/54のような旧式戦車を展開しているのは事実だ。だが、このような戦車は旧式であっても、ドローンによる補正を受けて間接射撃用に用いられると、かなり大きな脅威になり、また、そのように用いることで、これら戦車を対戦車装備の射程外に置くことができる。

結論に入る前に、極めて重要な幾つか細かな点をはっきりと示しておきたい。一つは、すべての車両が屋外に駐車しているわけではないということだ。車両のなかには、屋内に置かれているものもある。また、ロシアは世界で一番長い国境線を持つため、様々な地域の各所に戦力を割り当てており、戦力をウクライナ向けだけに投入することには制約があるという点も指摘しておきたい。

ロシア国内の政治的不安定さ、それはワグネル反乱で示されたわけだが、そのことを考慮に入れると、政治的権力の崩壊とエリート層内の内部闘争が軍事的敗北によって促進され、それによって占領されている領土すべてを解放できるようになると、私は考えたい。しかし、私たちはまだその地点にいない。

体制崩壊に必要なロシアの敗北の回数を予測することは不可能に近いため、私たちは継続的なロシア軍の敗北に集中していくしかない。私たちの現在の行動が不十分であることがはっきりしつつあるなか、私たちは国内外での取り組みに優先順位をつけていかなければならない。

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