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【報告抄訳】ISW ロシアによる攻勢戦役評価 1950 ET 28.07.2023 “ウクライナ軍反攻状況と北部でのロシア軍の動き”

以下は、ISW(戦争研究所)2023年7月28日付ウクライナ情勢報告の一部(添付した文書画像箇所)を、抜粋して日本語に訳したものになります。


https://www.understandingwar.org/sites/default/files/Russian%20Operations%20Assessment%20July%2028%202023.pdf

7月28日、ウクライナ軍は戦線上の少なくとも3箇所で反攻作戦を実施し、伝えられた情報によると、バフムート周辺で前進できたとのことだ。ウクライナ軍当局者の声明によると、ウクライナ軍はバフムートの南北側面で攻勢作戦を続けたとのことだ。また、ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は7月27日、ウクライナ軍がバフムート南方での進撃を続けていると語った。ロシア軍事ブロガーの一人は7月28日、ウクライナ軍がクルディミウカとアンドリーウカ付近で進撃したという見解を示した。

バフムート方面

複数のロシア軍事ブロガーの主張によると、ウクライナ軍はドネツィク・ザポリージャ州境沿いのスタロマヨルシケ(ヴェリカ・ノヴォシルカ南方9km)付近とウロジャイネ(ヴェリカ・ノヴォシルカ南方9km)付近で地上攻撃を続けたとのことだ。また、軍事ブロガーのなかには、ウクライナ軍が7月27日にスタロマヨルシケを制圧したことを認めた者もいる。ウクライナ側情報筋の一つは、ウクライナ軍がベルジャンシク方向において、ロシア軍主防衛線10〜12km圏内に進んだと主張した。

ヴェリカ・ノヴォシルカ方面

複数のロシア軍事ブロガーは、ザポリージャ州西部のロボチネ(オリヒウ南方10km)、ヴェルボヴェ(オリヒウ南東17km)、ピャティハトキ(オリヒウ南西25km)の各周辺において、ロシア軍がウクライナ軍の地上攻撃を撃退したと主張した。ロシア軍「ヴォストーク」大隊指揮官アレクサンドル・ホダコフスキーの発言によると、ウクライナ軍はロシア軍防衛部隊の全縦深への攻撃実施が可能で、このような攻撃によってロシア軍指揮官は殺害され、ロシア軍指揮統制は悪化しているという。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、VDV(ロシア空挺軍)の第247親衛空中強襲連隊(第7空挺師団)が、ロシア軍の大きな損失とウクライナ軍の戦場での勝利の結果、スタロマヨルシケ付近の戦闘参加を拒否したとのことだ。

オリヒウ方面

https://www.understandingwar.org/sites/default/files/Russian%20Operations%20Assessment%20July%2028%202023.pdf

ロシア軍は7月28日、スヴァトヴェ〜クレミンナ線沿いで攻勢作戦を続け、いくつかの地区でさらに前進した。7月28日に流れた撮影場所が特定できる動画に、カルマジニウカ(スヴァトヴェ南西12km)の南西方向でジェレベツ川を渡る第21自動車化狙撃連隊(中央軍管区第2諸兵科連合軍)所属部隊が映っている。ウクライナ軍参謀本部の報告によると、ロシア軍はナディヤ(スヴァトヴェ西方15km)付近で攻撃を仕掛けたが失敗したとのことだ。ウクライナ陸軍司令官オレクサンドル・シルシキーは、ロシアの最もプロフェッショナルな部隊の一部がスヴァトヴェ〜クレミンナ線沿いのウクライナ軍陣地を継続的に攻撃しているが、ウクライナ軍はこの地区の陣地すべてを保持していると語った。ロシア国防省の主張によると、第7自動車化狙撃連隊(バルト艦隊第11軍団)隷下部隊がクゼミウカ(スヴァトヴェ北西15km)西方で攻勢作戦を続け、詳細は不明だが何らかの戦果をあげたとのことだ。ロシア国防省は、同軍第15自動車化狙撃旅団(中央軍管区第2諸兵科連合軍)がセルヒーウカ(スヴァトヴェ西方13km)付近でウクライナ軍防衛網の後方へと1.5km前進したと主張した。ロシア軍事ブロガーの一人は、ロシア軍がセルヒーウカからノヴォヴォディアネ(スヴァトヴェ南西17km)に至る12kmの戦線沿いで攻勢作戦を続け、この戦線沿いで数キロメートル前進したと主張した。あるウクライナ側情報筋の報告によると、ロシア軍は増援戦力の主力をノヴォイェホリウカ(スヴァトヴェ南西16km)付近とノヴォセリウシケ(スヴァトヴェ南西16km)付近での攻勢作戦に投入したとのことだ。だが、このウクライナ側情報筋は、ウクライナ軍が依然として陣地を保持していると述べた。

スヴァトヴェ地区(https://storymaps.arcgis.com/stories/36a7f6a6f5a9448496de641cf64bd375)

ロシア国防省はまた、第252及び第752自動車化狙撃連隊(西部軍管区第20諸兵科連合軍)の「突撃(Storm)」分遣隊が、ジトリウカ(クレミンナ北西2km)付近でウクライナ軍防衛網内に3km進入したと主張した。ロシア側情報筋の主張によると、ロシア軍はクレミンナ南方のセレブリャンシケ森林地区とディブロヴァ(クレミンナ南西6km)付近で激しい攻撃を行ったとのことだ。

クレミンナ地区(https://storymaps.arcgis.com/stories/36a7f6a6f5a9448496de641cf64bd375)

スヴァトヴェ〜クレミンナ線沿いでの広範な進撃というロシア側主張を裏付ける映像資料を、ISWは確認できておらず、ロシア国防省が他方面でのウクライナ軍反攻から注意を逸らす目的で、進撃の主張を誇大に伝えている可能性がある。

ルハンシク方面

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