【抄訳】戦争研究所「ロシアによる攻勢戦役評価」2050 ET 30.05.2024 《5月30日付報告書の要点》
Russian Offensive Campaign Assessment, May 30, 2024, ISW ⬇️
要点(Key Takeways)の日本語訳
報道によると、ハルキウ州と接する国境周辺のロシア領内を攻撃する目的で、ウクライナが米国供与の兵器を使用することを今後、許可する内容の政策変更を、米国のジョー・バイデン大統領は承認したとのことだ。なお、攻撃に用いることが許可される兵器には、GMLRS[誘導多連装ロケットシステム]弾が含まれているが、長射程型ATACMS[陸軍戦術ミサイルシステム]弾は含まれていない。
ウクライナが西側供与の兵器を用いて、ロシア領内の軍事目標を攻撃することを許可することへの支持を、西側のウクライナ支援諸国が続けて表明している。
※補足:5月29日付ポリティコ報道によると、ドイツのオラフ・ショルツ首相も今や、ウクライナが西側供与兵器でロシア領内の軍事目標を攻撃することを認めることに賛成しているとのことだ。
ウクライナ軍高官の報告によると、ロシア軍は戦線上のほかの地区から戦力を引き抜いてハルキウ州北部に移送しているとのことだ。このことは、ハルキウ州北部にウクライナ軍戦力を誘引し、そこに釘づけにすることを、ロシア軍が優先し続けていることを示している。
報道によると、フランスがウクライナに軍事教官を派遣する予定であることを、フランス当局者がまもなく発表する可能性があるとのことだ。
西側諸国はウクライナ向けの砲弾生産と調達を増やすための取り組みを続けている。
※補足:英フィナンシャル・タイムズ紙の5月30日付報道によると、チェコが主導するウクライナ向け砲弾調達イニシアティブが、困難な問題に直面しているとのことだ。チェコの砲弾調達イニシアティブは、ウクライナ支援諸国が拠出する資金によって、欧州以外の国々から砲弾を購入し、ウクライナに送るというものだ。このウクライナに送られる予定の第三国の砲弾を、西側が購入する前に、ロシアが前払いで確保している可能性があることを、チェコ当局者は指摘している。
NATOに対する全面攻撃が起こった際に、中東欧のNATO加盟国の防護に必要な防空能力を、NATO加盟国が十分に有していないことが報じられた。
ロシア政府は5月30日に、ロシア税法に関する一連の改正法案を承認した。この改正によって、2025年から累進所得税が導入されることになる。この結果、ウクライナにおけるロシアの長期戦遂行にかかる財政的負担の一部が、わずかではあるが、ロシアの富裕層にのしかかることになる。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、2024年の国内政策イニシアティブ「家族の年」の一環として、ロシア国内で続く人口動態上の危機に対処する取り組みを続けている。
ロシアが支援するモルドバのトランスニストリア[沿ドニエストル]分離共和国に駐留するロシア平和維持部隊は、自軍装甲車両への許可されていない査察を1カ月に渡って行っており、今後の数カ月間、同部隊がさらなる挑発的行動を行う可能性があることが伝えられている。
ウクライナ軍は最近、ヴォウチャンシク[Vovchansk]付近で前進した。また、チャシウ・ヤール[Chasiv Yar]付近、アウジーウカ付近、ドネツィク市付近、へルソン州東岸(左岸)でロシア軍は最近、前進した。
ロシア軍が占領下のクリミアにおいて、部隊番号や名称は不明だが、新たな空挺(VDV)連隊を編成した。この部隊は現在、ザポリッジャ方面で行動している。
要点(Key Takeaways)の原文
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