本記事は、戦争研究所(ISW)の2024年5月19日付ウクライナ情勢評価報告の一部を、日本語に翻訳したものである。
ウクライナ戦況:ハルキウ州北部&チャシウ・ヤール
報告書の一部日本語訳
ハルキウ州北部リプツィ方面
5月19日、ロシア軍はリプツィ[Lyptsi](ハルキウ[Kharkiv]市から北西方向)周辺で攻勢作戦を続けたが、裏付けのとれた前進はなかった。5月19日にロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、リプツィ方向のどこかの地点でロシア軍が5月18日に最大800メートル分ウクライナ側戦線後方へと前進したと主張したが、この主張を裏付ける映像・画像情報をISWは確認していない。ウクライナ参謀本部によると、ウクライナ軍はフリボケ[Hlyboke](リプツィの北方)とルキャンツィ[Lukyantsi](リプツィから北東方向)の南方でロシア軍の攻撃を撃退したとのことで、ゼレネ[Zelene]方面でロシア軍の攻撃が続いているとのことだ。ロシア国防省とほかのロシア軍事ブロガーらは、リプツィ付近でのウクライナ軍の反撃をロシア軍が撃退したと主張した。
ハルキウ州北部ヴォウチャンシク方面
ここ最近、ロシア軍がヴォウチャンシク[Vovchansk]市内で前進していることが確認されており、ロシア軍は5月19日もこの地区で攻勢作戦を続けた。5月19日公開の撮影地点特定可能な動画によって、ロシア軍が最近、ヴォウチャンシク市内北部で前進したことが分かる。また、5月19日公開の撮影地点特定可能な動画によって、ロシア軍がヴォウチャンシク市内北部をハハリナ[Haharina]通りに沿って前進したことと、ロシア軍が最近、ハハリナ通りに架かる、現在は破壊されている橋の下を通って、ヴォウチャ[Vovcha]川南岸(左岸)に進んだことが分かる。ヴォウチャ川南岸でロシア軍が車両を運用している様子や、南岸にある一個の小さな拠点以上のものをロシア軍が維持している様子も、ISWは現状、確認していない。ロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はスタリツァ[Starytsya]とブフルヴァトカ[Buhruvatka](ともにヴォウチャンシクから南西方向)を奪取したとのことだが、この主張を裏付ける映像・画像情報をISWは確認できていない。ロシア軍はまた、スタリツァ周辺、プリリプカ[Prylipka]方向、ティへ[Tykhe](ヴォウチャンシクの東方)周辺で地上攻撃を続けた。
ドネツィク州チャシウ・ヤール方面(バフムートの西方)
ロシア軍はチャシウ・ヤール[Chasiv Yar]周辺で戦闘を続けているが、ここ最近、機械化部隊による攻撃を行った際に、同軍が5月19日に前進できたことが確認されている。5月18日公開の撮影地点特定可能な動画によって、5月17日から18日にかけてロシア軍が機械化部隊による攻撃を行った際に、同軍が運河地区[Kanal Microraion]の内部とそこから南東方向の地点で前進したことが分かる。また、ロシア軍事ブロガーの主張によると、ロシア軍はノヴィー地区[Novyi Microraion](チャシウ・ヤール市内東部)付近で前進し、イヴァニウシケ[Ivanivske](チャシウ・ヤールの東方)からも前進したとのことだ。しかし、これらの主張を裏付ける映像・画像情報をISWは確認していない。戦闘が続いているのは、チャシウ・ヤールの北方のヴァシリウカ[Vasylivka]付近とカリニウカ[Kalynivka]付近、ノヴィー地区付近と運河地区付近(ともにチャシウ・ヤール市内東部)、チャシウ・ヤールの東方のイヴァニウシケ付近、チャシウ・ヤールから南東方向のクリシチーウカ[Klischiivka]付近とアンドリーウカ[Andriivka]付近とクルディウミウカ[Kurdyumivka]付近、チャシウ・ヤールの南方のシュミー[Shumy]付近である。ロシア軍第58スペツナズ大隊(第1ドネツク人民共和国軍団[1st DNR AC])隷下部隊と第17砲兵旅団(第3軍団)隷下部隊がチャシウ・ヤール周辺で行動中である模様だ。また、ロシア軍第4自動車化狙撃旅団(第2ルハンスク人民共和国[LNR]軍団)とチェチェン・アフマト・スペツナズ部隊がチャシウ・ヤールの南方で行動中であることが伝えられている。
参考ウェブサイト
領土支配状況の詳細は、以下の「インタラクティブ地図:ロシアによるウクライナ侵略(戦争研究所)」で確認できます。⬇️
報告書原文(英文)の日本語訳箇所