Russian Offensive Campaign Assessment, July 25, 2024, ISW ⬇️
ロシア軍、ドネツィク州西部で機械化部隊攻撃を実施
◆ 戦争研究所(ISW)報告書の一部日本語訳
7月25日にウクライナ軍はドネツィク州西部において、2023年10月以降最大規模となるロシア軍機械化部隊による地上攻撃を弱体化させることに成功した。7月24日公開の撮影地点特定可能な動画に、ウクライナ軍がコスチャンティニウカ[Kostyantynivka](ドネツィク市から南西方向)付近で1個増強大隊規模のロシア軍機械化部隊攻撃を食い止めた様子が示されている。なお、この前にロシア軍は同集落の南東側郊外にまで進んでいた。クラホヴェ[Kurakhove]方面で作戦行動中の、あるウクライナ軍旅団の報告によると、ロシア軍は7月24日の明け方に、戦車11両、装甲戦闘車両45両、まれな装甲戦闘車両である「テルミナートル」1両(2023年12月時点でロシアは同車両を23両しか製造していないと報じられている)、バイク12台、兵力約200人という戦力で、戦術的に複数の方向から、同時並行的に攻撃してきたとのことだ。このウクライナ軍旅団は、上空からの偵察によって遠方から機械化部隊の隊列を特定できたことを伝えたうえで、ウクライナ軍は火砲・ドローン・地雷原を用いて、ロシア側の地上攻撃を弱体化させたと述べた。この旅団によると、ウクライナ軍が損害を与えた、あるいは破壊したロシア軍装備は、戦車6両、装甲戦闘車両7両、バイク全12台とのことで、ウクライナ軍がロシア側車両群の第一陣を撃破したのち、ロシア軍は後退していったとのことだ。ドネツィク州においてロシア軍が1個大隊規模の機械化部隊攻撃を実行した例として、ISWが確認できる最も新しいものは2024年3月のものである。2023年10月に始まった、4カ月に渡ることになるロシア軍アウジーウカ制圧作戦の最初の数日間以後、ロシア軍はウクライナにおいて、これ以上に大規模な機械化部隊攻撃を実行してこなかった。コスチャンティニウカを掌握し、T-0524[*注:O-0532?]高速道路のヴフレダル[Vuhledar]~コスチャンティニウカ間を遮断する取り組みの一環として、ロシア軍はコスチャンティニウカ集落内に、もっと前進するつもりだった可能性が高い。ロシア側情報筋は以前から、T-0524高速道路の遮断とヴフレダルへ流れるウクライナ側GLOC(地上連絡線)の妨害を、この方面における第一義的な戦術目標として指摘していた。また、ロシア軍はこの目標を支援するためにコスチャンティニウカの南方での作戦を激化させ、ウクライナ軍をヴフレダルの周囲とその内部の陣地から撤退させようとしていると、最近、ロシア軍事ブロガーが示唆していた。だが、ロシア軍が戦術レベルで大きく前進でき、ヴフレダル周辺の陣地群からのウクライナ軍撤退を促せたとしても、ロシア軍が前線のこの地区で短期的に作戦レベルで大きく前進できる可能性は低い。なぜなら、ここの周辺地域には、作戦上重要な目標が存在せず、また、ここは開豁地とそれぞれ孤立した小集落によって構成されるエリアであって、その近くに戦術上重要な意味を高台が存在しないからだ。
※注記:ISWが示した情報源は、報告書原文の後注[1]~[4]に記載のURLからアクセスできます。
◆ 報告書原文の日本語訳箇所(英文)