ISW Russian Offensive Campaign Assessment 25.05.2024 ⬇️
ドネツィク州戦線のウクライナ側弱点を探るロシア軍
戦争研究所(ISW)報告書の一部日本語訳
ロシア軍は最近、縮小中隊規模の、あるいはそれより小規模の機械化部隊による地上攻撃を4回、ドネツィク州内の複数の攻勢軸上で行ったが、大きな前進はみられらなかった。これらの攻撃の目的が、ハルキウ州北部におけるロシア軍第一波攻勢実施後のウクライナ側の反応を試すものであった可能性は高い。5月27日と28日に公開された撮影地点特定可能な動画で、ロシア軍の遂行した攻撃がいくつか確認できる。具体的には、チャシウ・ヤール[Chasiv Yar]の東方及びノヴォポクロウシケ[Novopokrovske](アウジーウカ[Avdiivka]から北西方向)の東方における増強小隊規模の機械化部隊による攻撃、ノヴォミハイリウカ[Novomykhailivka](ドネツィク市から南西方向)周辺及びスタロマヨルシケ[Staromayorske](ヴェリカ・ノヴォシルカ[Velyka Novosilka]の南方)における中隊相当規模の機械化部隊による攻撃である。ロシア軍はノヴォポクロウシケの東方とスタロマヨルシケでわずかに前進できたのみで、チャシウ・ヤール周辺もしくはノヴォミハイリウカ周辺のいずれかの地点において、裏付けのとれた前進は確認されていない。ここ最近の数日間、ロシア軍はハルキウ州北部での攻撃と前進のペースを落としており、その一方でポクロウシク[Pokrovsk]方面(アウジーウカ方面)での攻撃のテンポを上げている。ロシア軍のこれらの機械化攻撃は、ロシアが現在、作戦を進めている4軸で、それぞれ一回行われたものだが、熱心な攻勢遂行を始めた際の、または、熱心に攻撃を進めていた期間において、ロシア軍が過去に行った機械化攻撃と比べて、限定的な規模に収まっている。5月27日と28日の攻撃は、ドネツィク州内のウクライナ軍の反応と防衛能力を探る意図でなされた可能性が高い。ハルキウ州北部における最近のロシア軍の攻勢遂行は、予想される西側軍事支援の前線到着の前に、ウクライナ側のマンパワー不足・物資不足につけ込むことと、ほかの地点でロシア軍にとっての好機をつくり出すことを目的としていた可能性が高い。また、ロシア軍は、このようなつけ込める何らかの機会がドネツィク州戦線上に存在する可能性があるのか、あるとしたらどこにあるのかを調べることを目的としていた可能性も高い。
報告書原文の日本語訳箇所(英文)