【和訳】英国国防省 ウクライナ情報 02.06.2024
日本語訳
2024年5月21日のロシアからの報道によると、ロシア軍第58CAA(諸兵科連合軍)の元司令官イワン・ポポフ少将が、軍用建築資材の販売に関係する詐欺と汚職の容疑で逮捕されていたとのことだ。ポポフは2023年7月に第58CAA(ウクライナ領ザポリッジャ地区に展開)司令官の地位から外された人物だ。解任される前にポポフは、戦争指導に関するロシア国防省指導部の能力に関する個人的な批判を公にしていた。その後もポポフは自身の解任を決めたことを公に批判し、この解任劇のことを、「我らの上官による背後からの一撃であり、最も困難かつ緊迫した時期に不誠実で卑劣な首切りを行った」と語った。
汚職が常態化している組織において、汚職に関する懲罰は、ガバナンスをより良くしていく試みの一環というよりも、政治的な道具として頻繁に用いられる。体制内批判者を粛清したり罰したりする目的で、もしくは、もっと権力を有するエリート層の逆鱗に触れた人物を粛清したり罰したりする目的で、事実かでっちあげかどうかに関係なく、汚職の容疑を使う伝統がロシアの体制には長く存在している。ポポフの逮捕が、上官に対する忠誠心の無さとみなされることに対する見せしめ的懲罰である可能性は高い。
ポポフは軍司令官としてかなり有能であると一般にみなされていた。また、ロシアの軍事評論家によると、ポポフは将兵の間で人気があったとのことだ。彼の逮捕は、ロシア軍将兵をさらに失望させることになる可能性が高い。さらにポポフの逮捕は、能力やカリスマ性よりも体制や上官に対する忠誠と服従のほうがはるかに価値の高いものだという考えを、高位の司令官職についている彼の同輩に対して強めることになる可能性も高い。