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【SNS投稿和訳】ロシア軍は72時間以内にハルキウ市への砲撃射程圏内まで進撃できたのか?(Tatarigami氏)
ロシア軍が72時間以内にハルキウ市を砲撃できる地点まで進出する計画をもっていたことと、部分的にでも同市を囲むことができるかどうかを判断しようと探りを入れていたことを指摘した記事を、英誌『エコノミスト』が2024年5月20日に公開しています。
ウクライナ軍元将校のTatarigami氏(ハンドル名)は、この見解に懐疑的です。そして、その理由をXに連増投稿しています(日本時間2024年5月21日17:17投稿)。Tatarigami氏のX連続投稿の最初の投稿が以下のリンク先になります。
Yesterday, The Economist published an article stating that, according to military plans shared with them, Russian forces aimed to get within artillery range of Kharkiv within 72 hours and were probing to see if they could partially encircle the city. Here is why I am skeptical: pic.twitter.com/3nq8c20nFy
— Tatarigami_UA (@Tatarigami_UA) May 21, 2024
このnote記事は、上記リンク先から始まる連続投稿の日本語訳になります。なお、当翻訳記事で使用した画像は、Tatarigami氏の投稿から転載して使用しています。
日本語訳
昨日[2024年5月20日]、英誌『エコノミスト』が一本の記事を公開した。同誌が知りえた軍事計画によると、ロシア軍は72時間以内にハルキウ市を砲撃射程範囲内に収めるつもりでいたとのことで、この都市を部分的に囲むことができるかどうかを判断するために探りを入れていたとのことだ。この見解に対して、私が懐疑的な理由を以下に記していく。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141390828/picture_pc_2c954e0d8b83aad58f26f3ea78c1e720.png?width=800)
https://www.economist.com/europe/2024/05/20/ukraines-desperate-struggle-to-defend-kharkiv
まず最初に、ロシア軍がこの方面で用いている戦力の構成をしっかり調べると、進撃戦力の中心は自動車化狙撃連隊で構成されていて、車両の存在は限られていたことが分かる。これらの部隊は、分散した小規模戦術グループの形態で前進しており、その移動手段はほとんどの場合、徒歩であった。
縦深への迅速な進撃はどんな場合でも、防衛網の啓開を利用する用意の整った機械化部隊が必要となる。『エコノミスト』に記された任務に関して、ロシア軍がこれを完遂する時間が72時間だったという同誌の主張を考えると、このような攻撃を仕掛けることが可能な戦力が存在していなかったことは、かなり不可解なことだ。
ボルシチョヴァ[Borshchova]は72時間以内にロシア軍が占領できた可能性はあるが、ペチェニヒー[Pechenihy]はヴォウチャンシク[Vovchansk]の境界から直線距離で30kmを越えた地点にある。ロシア軍は徒歩で一日に10km前進できることを想定していたのだろうか?
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/141390904/picture_pc_d629a6b5df4a47ea471f4e52f6df3ae0.png?width=800)
この地域でロシア軍が利用可能なリソースを考えると、上述した距離を越えて進む部隊のための兵站を組織化するのは、極端に難しい任務になるだろう。現在、ロシア軍はフリボケ[Hlyboke]地区での補給線設定に苦労しているのだが、フリボケは国境から10km未満の地点だ。
全般的にいって、2022年初期段階の痛々しい経験以降、ロシア軍は作戦レベルにおける迅速な縦深進撃を試みるのではなく、漸進的なゆるやかな前進、戦線を横に広げること、戦術規模での敵側面への機動を重視してきた。
このようなことを、「3日間でキーウに」と似た、統帥部の単純な誤計算として軽視したい誘惑にかられるかもしれないが、ロシア軍の計画や同軍の文書資料を調査してきた私の個人的な経験から推察できるのは、ロシア軍は自らの限界を知っており、以前よりもずっと優れた計画を立案しているということだ。
戦力構成とその行動を踏まえると、ロシア軍攻勢は、ウクライナ軍をドンバス地方から引き離そうという目標(ロシア軍はこれに成功した)を有した威力偵察的攻撃であったようにみえるというのが、私の考えだ。攻撃初期の成功の結果、ロシア軍はハルキウ地域での自信を深めることになった。
一方で、ここでの攻撃が威力偵察的攻撃や陽動攻撃から主攻撃に移行する可能性は依然として存在する。とはいえ、これまで述べてきた要素を考えると、72時間以内にハルキウ市を部分的に囲むのに十分な戦力が展開されていると本気で考えた人がいるという見解に対して、私はやはり懐疑的である。
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