本記事は、戦争研究所(ISW)の2024年3月18日付ウクライナ情勢評価報告の一部を抜粋引用したうえで、その箇所を日本語に翻訳したものである。
アウジーウカ方面におけるロシア軍攻勢の重点
報告書原文からの引用(英文)
日本語訳
3月18日にロシア軍がアウジーウカ周辺で前進したことが伝えられているが、前線での変化を裏付けるものは存在していない。ロシア側情報筋の主張によると、ロシア軍はアウジーウカから北西のベルディチとオルリウカ付近と、アウジーウカから南西方向のペルヴォマイシケ付近で、数百メートル前進したとのことだが、ISWはこの主張を裏付ける映像を確認していない。クレムリンが後援する有名ロシア軍事ブロガー・アカウントの一つは、ウクライナ軍がノヴォカリノヴェ(アウジーウカの北方)付近で陣地をいくつか占領したと主張したが、ISWはこの主張を裏付ける映像を確認していない。また、アウジーウカから北西方向のオレクサンドロピリ付近・ベルディチ付近・セメニウカ付近・オルリウカ付近、アウジーウカの西方のトネニケ付近、アウジーウカから南西方向のペルヴォマイシケ付近・ネヴェリシケ付近において、陣地を巡る攻防戦が続いた。
3月18日にウクライナ人軍事ウォッチャーのコンスタンティン・マショヴェツは、ロシア軍中央部隊集団が、トレツィク(ホルリウカから北西方向)とポクロウシク(アウジーウカから北西方向)という2つの主正面に沿って配置され、作戦行動を行っていると伝えた。中央部隊集団には、第1ドネツク人民共和国(DNR)軍団、第2諸兵科連合軍(CAA)、第41CAA、第90戦車師団(以上すべて中央軍管区[CMD]隷下)に属する部隊が含まれていることを、マショヴェツは詳細に指摘した。マショヴェツによると、その隷下に4個連隊と4個大隊を含む第1DNR軍団は現在、トレツィクに向かう方面で作戦行動中とのことだ。また、最大で23個連隊、13個大隊、4個分遣隊(シュトルム部隊[おそらくロシア軍受刑者兵突撃部隊を指していると思われる]とBARS部隊[ロシア戦闘即応予備役部隊]を含む)からなるロシア軍第2CAA・第41CAA・第90戦車師団に属する部隊と、第1DNR軍団に属する部隊が、ポクロウシクへ向かう方面で作戦行動中であると、マショヴェツは述べている。マショヴェツは、ロシア軍中央部隊集団がポクロウシク方面での攻勢作戦に、現状、優先度を高く置いてはいるものの、場合によってはトレツィク方面での攻勢遂行に重点を置くために部隊構成の再編成を行うこともありうると指摘した。