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【SNS投稿和訳】ロシア軍の戦力再建状況を評価する(ウクライナ軍元将校Tatarigami氏)

以下は、ウクライナ軍元将校Tatarigami氏(ハンドル名)によるXでの連続投稿(日本時間2024年4月5日03:39投稿)を日本語に翻訳したものです。ロシア軍の戦力再建状況に関する分析を示しています。

なお、この翻訳記事で用いた画像は、Tatarigami氏のX投稿からの転載になります。

日本語訳

カート・キャンベル米国務副長官は、「ロシアは軍事的な再建・再編成をほぼ完了した」と述べた。フロンテリジェンス・インサイト[*駐:Tatarigami氏が属する戦争・紛争分析グループ]は、ロシア軍とその編制、そしてロシア軍の入手可能なリソースをたゆまずモニターしている。私たちは、いくつかの重要ポイントをここで皆さんにお伝えしたいと考えている。

第103装甲車両補修工場
51.914846, 113.649614
2023/06/21

ロシアがコンスタントに戦力再建を進めながら損失の埋め合わせを試みているのは事実であって、その取り組みには新規募兵、新規部隊及び新規軍管区の創設といったことが含まれている。だが、それにもかかわらず、本当の現実は、書類上でそうみえるものとは大きく異なっている。

フロンテリジェンス・インサイトは複数のロシア軍部隊を注意深くモニターしている。そして、2023年以降に一層明白なっているある問題を以前、指摘した。この問題は2024年に入って悪化し続けている。具体的にいうと、装甲車両の損失を民間車両で埋め合わせているという問題である。なお、民間車両というのは、バン、ピックアップトラック等々の非装甲車両のことだ。

カダモフスキー訓練施設
ロシア領ロストフ州 | 2024-03-08
位置情報:47.5206882, 40.166658
©️Frontelligence Insight

少なくとも1個の戦車部隊において、T-72戦車を、T-62及びT-55戦車の各種性能向上型で置き換えている証拠資料を、私たちは得ている。すべての部隊の状況は分からないが、さまざまな地域でT-55戦車とT-62戦車が時折動画に映っていることから、この状況が例外的なケースではないことが推察できる。

情報源:https://t.me/spartan_ngu/1298

Oryxによると、ロシアの侵攻が始まって以降、同国の各種車両等の損失数は15,000を超えており、その内訳は、戦車2,856両、ヘリコプター135機、固定翼機106機、艦艇20隻となっている。ソヴィエトから受け継いだ遺産があるとはいえ、ロシアが2年間でこの規模の損失を埋め合わせることはできない。

公平にいって、ロシアは依然として補充と代替の点でウクライナよりも優位に立ったままであり、一方でウクライナは2023年以降、最低限の補充しか受け取っておらず、国内生産は、大幅に向上しているとはいえ、今でも前線の要求を満たすに至っていない。

陸海空の各種車両・艦艇・機体を喪失しているにもかかわらず、ロシアはかなり本気でUAV[無人航空機]の備蓄を拡充してきており、世界で最大の備蓄数を誇る国の一つになっている可能性もある。この備蓄は、戦術偵察型、自爆攻撃型、爆撃型の数千機のドローンで構成されている。

そうであるとはいえ、ロシア軍の新編部隊は、編制上、相応しい数の車両を受け取っておらず、その結果、本来の自動車化部隊もしくは機械化部隊というよりも、単なる歩兵部隊のようになっている場合も散見されている。さらに、新たに編成された第25CAA[諸兵科連合軍]は、アウジーウカ戦の期間に、その装備を第2軍と第41軍に譲り渡さねばならなかった。

上述の内容を踏まえると、ロシア軍は変革を遂げ、新たなUAVとEW[電子戦]能力を、貴重な経験とともに獲得したといえる。その一方でまた、ロシア軍は万単位での車両、そして経験をもつ将校と兵士を損失している。

ロシアが自軍を再建するには、複数年かかることになるだろう。さらにいうと、ロシア軍の戦力はかつてBTG[大隊戦術群]によって構成されていたが、2022年後の戦力は、ウクライナ侵略での経験を踏まえて、それとはかなり異なったようにみえるものになるだろう。そして、将来の規模・編制は、この戦争の結果に左右されることになる。

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