見出し画像

【Twitterスレッド和訳】地雷が及ぼす影響と課題(@Tatarigami_UA氏)

※以下の記事は、ウクライナ軍予備役将校の@Tatarigami_UA氏による地雷に関する上記のTwitter投稿(日本時間2023年7月16日)を日本語に訳したものになります。

ヴフレダルの新たな衛星画像により、冬にロシア軍が経験した壊滅的な出来事(これは現在進行中の反転攻勢においても同様であるが)の程度を明らかにしていることを踏まえると、地雷原の役割と攻撃作戦を形成する際の任務計画策定に関して探求することは、極めて重要だ。

地雷原の目標は、損害を与えること以上の範囲をもつ。つまり、地雷原設置の意図には、敵側を特定の心理状態に陥らせることと、その戦術的アプローチを狭めることも含まれており、地雷原によって、地雷設置側が最も有利になるように相手側は行動せざるを得なくなる。地雷原の存在は、敵側の機動上の選択肢を制限する。

機械化部隊が投入される目的は、機動、強襲の実施、敵側陣地の迂回、敵側面への迂回機動の実施ということにある。機械化部隊の火力と路外機動速度は、このような任務にうってつけである。だが、地雷原が移動速度を制限し、強襲攻撃のテンポを乱して遅らせる。

地雷原に遭遇すると、敵側は地雷除去のために余計なリソースを割り当てねばならなくなり、それには工兵用車両も含まれる。だが、地雷を除去したあとであっても、通行可能な経路は依然として狭く、大部隊は予想可能な限られたルートを進むしかなくなる。

戦況を観察している人々がしばしば誤って考えていることに、ロシア・ウクライナ両軍とも、経路を開くためにプラウ式地雷除去戦車を活用していないというものがある。だが、これは不正確であって、両軍はこの種の地雷除去戦車を投入している。しかし、重要なこととして、プラウ式地雷除去戦車は、あらゆる課題に対する万能の解決策でないことに触れておかなければならない。

広く使われている戦術ではないが、TM-83のような路外設置地雷の活用も珍しいことではない。この種の地雷は、地雷のセンサーが探知することによって、側面からの戦車攻撃を可能にする。これは戦車の重量による圧力で起動する地雷とは異なる。

他の手法として、地雷除去用の鋤に対抗するように考案された改良型地雷の設置という地雷使用法がある。この場合、地雷は鋤に接触したのち、そこから約1.5〜2m地点で爆発するように調整されている。

地雷除去済みの狭いルートを部隊が通るとき、もし地雷除去戦車が移動不能になったら、部隊の移動は深刻なほどに妨げられ、もしくは縦隊の移動が阻止されることさえある。この状況は、移動不能な、もしくは速度の低下した部隊に砲兵が狙いを定めて攻撃し、その部隊に損害を与える完璧なチャンスを提供する。

地雷の爆発後や除去されてしまったあとに、再度地雷を設置することは、極めて重要なことだ。これによって複雑な問題の上に新たな複雑さが加わる。それへの備えと対抗措置を攻撃側は計画しなければならない。

不十分な準備が、攻撃部隊の機械化火力の優位性を減じさせる。その結果、戦場の流動的な動向は砲兵戦と歩兵強襲の組み合わせにシフトする。こうなると、攻撃側の機動力は制限され、それは困難になる。

要するに、敵軍の機動力を制限し、機械化部隊による突破成功を阻止するという点における地雷原と対戦車措置の役割が極めて重要だということが、はっきりしている。だが、このような状況に陥る根本的な理由は、適切な訓練の欠如と情報収集・分析が不適切であるところにある。

地雷原は問題をさらに厄介にするが、有効な計画策定によって、地雷原の存在は決定的なものではなくなる。攻撃側の計画立案者が適切なリソース配分ができず、ひどい情報分析に基づいた間違った決定をする、またはリソースが不十分なのに攻撃命令を出すということを行った場合、きっとその攻撃は失敗する。

読んでくださった皆さんが、今回の内容が有益だと判断されたなら、”いいね、RT、フォロー”でサポートしてください。皆さんが関わってくださることで、より多くの、より良質な資料を提供できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?