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【SNS投稿和訳】ウクライナ戦況分析:ドネツィク州ニウ・ヨルクでのロシア軍の迅速な前進(Emil Kastehelmi氏)

フィンランドの軍事史家でOSINTアナリストであるエミール・カステヘルミ氏が、X(上記リンク)に、ウクライナ領ドネツィク州ニウ・ヨルク~トレツィク地区に関する戦況分析を投稿しています(日本時間2024年7月8日04:50投稿)。

以下は、この連続投稿の日本語訳になります。なお、記事中の画像は、カステヘルミ氏の投稿に添付されているものを使用しています。

日本語訳

ニウ・ヨルク[Niu York]~トレツィク[Toretsk]方面において、ロシア軍は例外的に迅速な前進ができている。なお、この地区は2022年以降、ほとんど動きがない方面だった。

ここでウクライナ軍防衛網が破られたことと並行して、ロシアはまた、オチェレティネ[Ocheretyne]周辺の村落群においても戦果を重ねている。

このような迅速な進展が生じた主な理由の一つに、ウクライナ軍の部隊配置転換が関係している模様だ。

6月末、ウクライナ軍は第24機械化旅団をトレツィク~ニウ・ヨルク地区からチャシウ・ヤール[Chasiv Yar]へと配置転換した。そして、チャシウ・ヤールから送られてきた第41機械化旅団がトレツィク~ニウ・ヨルク地区の展開地点を引き継いだ。

何かが上手くいかず、ロシア軍はこの状況につけ込むことができた。なお、部隊配置転換の期間にこのような展開が生じてしまったのは、初めてのことではない。

[ウクライナ軍の]第95空中強襲旅団と第32機械化旅団が現在、情勢を安定化させるためにこの地区へと送り込まれているところだ。

今年の春と夏は、ロシア軍にとって楽な時期ではない。激しく攻撃を行い、甚大な損失を出しているにもかかわらず、やや大きな意味をもつ進展がみられたのは、アウジーウカ[Avdiivka]の西方と北方に位置する小村落群でのみだ。そのほかの方面では、[ロシア軍の]勢いはほとんど失われてしまっている。

ロシア軍は成功をさらに重ねていきたいと考えており、重点は、ほかの方面からトレツィクとポクロウシク[Pikrovsk]の両方面へと移っていくかもしれない。ウクライナ軍の増援の存在にもかかわらず、ロシアが[攻撃を]続けていくことができれば、トレツィクの戦いは今年の夏、主要な取り組みの一つになっていく可能性がある。

ウクライナ軍が砲弾不足の底からすでに抜け出している可能性は高いとはいえ、ロシア軍に開いたチャンスの窓はまだ閉まっていない。ウクライナ軍旅団の一部は疲弊しており、マンパワー問題は依然として解決されていない。

極端に迅速な進展を、予測するつもりはない。しかし、これからの数週間、前線で変化が起きていくだろう。重点地区がシフトする可能性もある。そして、ロシア軍はいまだに未投入の予備戦力をもっている。

「ブラック・バード・グループ」の私たちのチームは、これらの出来事に応じた地図の更新を続けている。

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