ザポリージャ州西部ロボチネ周辺でのウクライナ軍の進撃を中心とした反攻作戦の進展に関する記述を、ISW報告(8月21日付)から引用し、その日本語訳を示していく。
日本語訳:
8月20日から21日にかけて、ウクライナ軍はザポリージャ州西部のロボチネ内とその東方で戦術的に重要な戦果をあげ、それと並行して、ドネツィク・ザポリージャ州境地域とウクライナ東部で反攻作戦を続けた。8月20日と21日に投稿された撮影地点の特定が可能な動画により、ウクライナ軍がロボチネ(オリヒウ南方10km)中心部に到達したことと、マラ・トクマチカ(オリヒウ南東9km)南方にあるロシア軍防御網の一部の突破に成功したことが分かった。ウクライナのハンナ・マリャル国防次官は、ウクライナ軍がロボチネの南東方向とマラ・トクマチカ南方方向で成果をあげたことを伝え、また、ロシア軍がロボチネ東方で反撃に失敗したことも伝えた。また、ロボチネで交戦が続いていることを、マリャルとロシア側情報筋が言及した。クレムリン寄り軍事ブロガーの一人は、ウクライナ軍がロボチネ〜ヴェルボヴェ(オリヒウ南東21km)線での攻撃を激化させたのち、ヴェルボヴェ付近の陣地を一部占拠したと主張した。一部のロシア側情報筋の主張によると、ロシア軍は弾力的防御の一環としてヴェルボヴェ付近の幾つかの陣地から撤退したとのことで、マラ・トクマチカ南方でのウクライナ軍の前進に対応した可能性が高いとのことだ。ISWは以前、次の評価分析を示した。ロボチネへのウクライナ軍の攻撃は戦術的に重要であって、それは、この地域でウクライナ軍が前進することによって、最も高密度なロシア地雷原から抜け出して、作戦を進めることができるようになる可能性がウクライナ軍に生じるからだ。これがISWの評価内容である。この地域においてウクライナ軍が野外で前進していることは、上述の評価を裏付けている可能性が高い。さらにロボチネでの継続的なウクライナ軍の前進は、ロボチネ周辺の陣地を保持するために相当注力し、かなりのリソースと兵力を投入してきたロシア軍戦力の低下を意図したウクライナ軍の行動である可能性が高い。
ウクライナ軍はまた、ここ1週間でバフムート方面とクレミンナ方面において前進することができ、ドネツィク州西部〜ザポリージャ州東部地域のヴェリカ・ノヴォシルカ南方及び南東で反攻作戦を続けている模様だ。マリャルのコメントによると、ウクライナ軍はこの1週間でバフムート周辺において3平方kmの領土を奪還し、2023年5月のワグネル・グループによるバフムート占領以降だと、全体で43平方kmの領土を奪還したとのことだ。ウクライナ側シェヴェロドネツィク市長アンドリー・ヴラセンコは、ウクライナ軍がクレミンナ南方で活発な機動防御を実施した間に、詳細は不明だが何らかの成功をおさめたと報告した。
参考ウェブサイト:
ISW(戦争研究所)| ロシアによるウクライナ侵略 インタラクティブ・マップ