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初心者でも分かる契約書のみかた③機密保持契約

前回からかなり時間が経ってしまいました💦 コロナで自宅待機だった方も多かったのではないかと思います。法務だとリモートで仕事になってもあまり影響はないだろうと言われる方が多いのですが、残念ながらそうではないです。契約書の確認は依頼者からの情報が無いと全くすすみません。契約に関する全てのデータがメールに記されているならリモートは可能ですが、殆どはMTGやそれ以外のメモが発生しているものです。ZOOMですと、法務からの問いに即答できない場合その場を誤魔化そうとする担当者が圧倒的に多いので、通常1日で終わらせる事案件が「データ待ち」の為に数日を要してしまう事が多く、効率がとても悪いです😭それも含めて「仕事」なのでしょうがない事ではありますが😓
 今回は「機密保持契約」について言及してみたいと思います。おそらくですが、自分でビジネスを起こした方々、就職して研修終了後に配属先で最初に取扱う「契約書」が機密保持契約(会社によっては「秘密保持契約」とするところもありますが、内容は同じだと思っていただいて大丈夫です😋〕なのではないかと思います。
 前回、契約は「経済的利益の合意」だと言及したのですが、この機密保持契約を結ぶ目的に金銭の支払い等の約束を記す内容は無いものの方が圧倒的に多いと思います。ごく稀に、題名が「機密保持契約」となってはいますが、内容が「業務委託」だったり、情報提供行為事態が「経済的利益の目的」であるものである事もあります。それ以外の「機密保持契約書」は、情報の取り扱いについての相互の合意を記すものなので「機密保持契約書」では金銭の授受は発生しないと覚えていただいて良いと思います。
 ここで、最初に言った「経済的利益の合意」(参照: https://note.com/pantachan_0810/n/n96d7086d895b) を目的としない「情報の取り扱いの合意」を契約書にするのか、という疑問に思う方もいるのではないかと思います。これが、とても重要な事なのです。機密保持契約書をむすぶ目的は「機密保持契約を結ぶ相手と、これから先経済的利益のためのビジネスをするか」について、お互いの会社が持つ自分達だけが知っている情報を提供する場合がございます。残念な事にビジネスに至らなかった場合、受け取った情報は返してもらうか、情報を処分しなければなりません。何故なら、受け取った情報が「これはビジネスになるネタだ」である場合、違う会社との間でその情報を使われるかもしれません。そんな事が無いようにするための「ビジネスをする事を目的としてやり取りをした相互の情報の取り扱い方法の合意」として、機密保持契約書を取り交わす必要があるのです。
 これは法務業務をしている担当者の中でも以外に知られていない事なのですが、この機密保持契約書の中で一番大事なのは「「機密保持の対象となる情報の特定とその取り扱い手順及び特定」です。いわゆる「雛形契約書の「頭書き」にある部分、フォーマットによっては第1条(目的)の箇所に書かれる内容です。取り扱い方法の不手際で情報が漏洩した等というケースもこの「受け取った情報の取り扱い手順」通りに出来ていたか否かによって「軽過失」「重過失」を決定する基準になります。
 取り扱い手順も各々の会社の規模により管理のレベルが異なる場合がございます。仮に、機密保持契約を結ぶことを検討している相手方がISMS、プライバシーマーク等を取得しており、その基準に従った情報管理を求められた場合、自社にはそこまでの体制(情報管理責任者の存在等)、社内規定、その他明らかに対応不能な内容が記されている場合もあります。そういった時には素直に自社の情報管理体制に、何をプラスしたら良いかを聞くのも有効な方法だと思います。
 契約書を嫌にならず、ビジネスをスムーズに進めるためのtoolとして使いこなしてください😋

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