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ハヌカ-光の祭

目次
◆ハヌカとは?
◆スフガニやと言うドーナツ
◆スフガニヤ戦争


ハヌカとは?

 ハヌカ祭(ハグ・ハヌカ)、光の祭り

◆時期:
毎年12月頃(ユダヤ暦キスレブ月の25日から8日間) 2019年は、12月22日日没から29日まで。
旧約聖書に出てくるお祭りではない。教育機関は約1週間お休みとなる。公共機関、交通機関、会社などは普通に営業している。

◆由来:
紀元前2世紀イスラエルの地はギリシャの支配下にあった。ギリシャはヘレニズム文明政策を進めていたので、占領地区は当然ユダヤ教の教えや習慣を禁じた。
経典であるトーラーの学びを禁じられ、割礼や安息日を守ることも禁じられる。
紀元前167年からアンティオコス4世のユダヤ教弾圧が強まり、ついにモディインのハスモン家のマタティヤを中心に反乱が起こり、ユダヤ側が勝利
紀元前164年、エルサレム並びに第二神殿を開放し神殿で勝利の奉納を行う。ちなみにユダヤとギリシャの戦いはその後20年近く続く。
この時にタルムードのハヌカに関する章で「神殿を占拠したギリシア軍は、神殿の燭台(メノラー) を点す油の壷をみな汚した。しかし神殿解放の日、やっと1つの油壼が大祭司の封印のまま見つかった。 油はわずか1日分しか無かったのに、つけてみると何と8日間も燃え続けた
このお祭りは上記の出来事を奇跡として記念した祭日。
伝承では紀元前138年にお祭りとして祝う事が決まったという。 

◆名前の由来:
ハヌカット・ハミズベアハ」奉納などの意で、勝利の後に行われた宮清めが由来。祭りは一般に「ハヌカ」と呼ばれるが、「ハグ・ハオリーム」(光の祭り)とも言う。

◆近代イスラエルでの習慣:
神殿の油という繋がりで、スフガニヤ(穴の無いドーナツ)やレビボット(ジャガイモだけのかき揚げ)と言う油で揚げた物を食べる。
教育機関ではお休みに入る数日前にお祭りを祝いをする。当然スフガニヤを食べる。
ハヌキヤと呼ばれる9枝の燭台に毎日1本づつ火を灯す。

会社でも祭り初日のローソクを点火し、お祭りの歌を歌い、スフガニヤを頬張る。超正統派ユダヤ教徒の住宅街は家の外にハヌキヤを設置する場所があり、連日灯される明かりを見ることが出来る。

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写真:ハヌカのシンボル、独楽セビボン

◆小話:
ハヌカではセビボンと遊ばれる独楽(こま)で遊ぶ。(イスラエル外ではハヌカ・ドレイル)ユダヤ教では当然なぜ独楽なのかと議論される。
「独楽は回す部分が上にあるだろう。これは神の手がユダヤ民族の運命を独楽のように上から回されたからだ」と教えるラビ(ユダヤ教教師)さん。
独楽は4面体で各面にヘブライ文字でネス・ガドール・ハヤー・ポー(偉大な奇跡がここで起きた)」の頭文字となる** נ(ヌン)、 ג(ギメル)、 ה(ヘー)、 פ(ペー)**という字が刻まれている。
ちなみにイスラエル国外ではネス・ガドール・ハヤー・シャム(偉大な奇跡があそこで起きた)」の頭 文字となる נ(ヌン)、 ג(ギメル)、 ה(ヘー)、 ש(シン)という字が刻まれている。

ホワイトハウスでも2001年からジョージ・W・ブッシュ大統領がハヌカのレセプションを行って以来、公式行事となっている。

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写真:老舗Roladinのコレクション

スフガニヤと言うドーナツ
スフガニヤとはドーナツと同義語。
ただ一般的な穴の開いたものでない。ミスドにも少しあるが穴の空いてないタイプのものがスフガニヤの主流だ。
上述したように、油に由来する故事にちなんで油で揚げた物でお祝いするのだ。そして、子供たちが大好きな物となるとこう言うことになったんだと思われる。

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写真:伝統的な赤いジャムのスフガニヤ

わたしがイスラエルに来た20数年前は、スフガニヤと言えば油ぎった生地、赤いジャムの入ったおいしくない物だった。
しかし近年は、スフガニヤ戦争に突入し、目にも楽しい商品が増えている。
これでもかとデコられたスフガニヤたちに驚愕。
見ていると当然食べたくなり買ってしまうのが常。
子供に喜ばれて妻に怒られるパターン(それを8日間続ける愚かさ)。

相場はクラシックな赤いジャムの入ってる物で4~6シェケル位で買える。
ブティック・スフガニヤは9~15シェケル(300~600円)となる。

わたしがいつも朝パンを買うベーカリーでも11月初旬から販売が始まった。
わたし「ちょっとハヌカに早くない?」
店主「いや、欲しいって言われてね、実際に売れるし」
と言う感じで最近はハヌカ1ヶ月前から販売するところも増えてきた。店によっては1日で4000個も売り上げるという。

イスラエル人は自分行きつけの店を自慢したがる。当然自分の店のスフガニヤを語り、言葉で論破出来ないときは実物を食べさせてくれる。 この時期は会社でもスフガニヤが振舞われる。評価は厳しく、マズいと文句を言う。

ハヌカ時期、イスラエル人は平均で8個のスフガニヤを食べるという(あくまでも統計)。一個あたり400~600のカロリーだ。イスラエル人は「祭りだからしょうがないね」と毎日スフガニヤを頬張る。

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写真:ROLADINのコレクションより

スフガニヤ戦争
前述したようにスフガニヤの進化が止まらない。
イスラエル人は食べることにはうるさくて有名だ。
最たるものが結婚式の食事。詳しくは別の機会に投稿するが、食事の善し悪しが結婚式の善し悪しを左右する。
スフガニヤも味も見た目も発展してきている。もはや芸術の域に達している物もある。
イスラエルが豊かになるにつれ嗜好品、レストランのレベルは上がっている。スフガニヤも成長するとマーケティング戦略も伸びるのだ。
今回は老舗でその戦略でも素晴らしい評価を出しているROLADINのポスターを紹介したい。
2016年頃から始まったシリーズでディレクションは単純にブティック・スフガニヤに合わせたファッション誌のようなビジュアルを演出している。

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Advertising Agency: M&C Saatchi, Tel Aviv, Israel
Art Director: Ben Keil
Photographer: Miri Davidovitz
Production Company: Meyuhas
ここからプロダクションの流れが見れる。
http://miridavidovitz.blogspot.com/2018/01/inspired-by-sufganiot.html

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上に並べた4枚は2017年に話題と言うか問題になったポスター。
イスラエルのアイスクリームメーカーがROLADINと同じポスターを作ったという。同じ食品なのでインスピレーション?パクリと言われてもしょうがないだろう。
どちらにしてもイスラエル人はおいしい物を選んで食べていくだけだと言う。

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写真:アニメ スフギーとモシック

最後に、2年前に流行ったイスラエルのスフガニヤにまつわるアニメを紹介する。
作品はニールとガリーというベツァレルアートアカデミー出身の二人が作っている。会社でのハヌカ祭の一部始終が舞台。
お祭りだからスフガニヤの一個くらい大丈夫だよと言ってついつい一杯食べてしまうイスラエル人をイジッたアニメだ。
おなかの中のモシックという新陳代謝キャラがスフガニヤのスフギーとやり取りする。

https://www.youtube.com/watch?v=Q4j65GbP4Lw


日本とイスラエルにおけるビジネスマッチングの架け橋に。ブログの内容やベンチャーマッチングのご相談はパンラエル株式会社まで

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