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第106回 全国高校野球選手権大会

AIの予言と募金活動

SNSの炎上は、瞬く間に広がる。和歌山県立凹凸高校の野球部の熱狂的なファンである私は、その渦中にいた。事の発端は、ある日、私がAIに高校野球の優勝予想を依頼したことだった。

高度なAIに凹凸高校の優勝を期待し、データを打ち込んだ。しかし、AIは「情報不足」と表示し、処理を拒否した。私の心は焦り、ある考えが浮かんだ。「嘘のデータを教え込めばいいんだ!」

凹凸高校の過去の成績を捏造し、全国屈指の強豪校に仕立て上げた。AIは、私の捏造されたデータに基づき、凹凸高校が甲子園で優勝すると予測した。

私はこの結果に興奮し、SNSに投稿した。「AIが予言!凹凸高校、甲子園優勝なるか!?」

投稿は瞬く間に拡散され、凹凸高校の野球部への注目は一気に高まった。そして、信じられないことに、凹凸高校は本当に甲子園への切符を掴んだのだ。

しかし、喜びも束の間、現実問題が突きつけられた。甲子園への遠征には多額の費用がかかる。予想が的中したことで、学校や地域住民からは、私への募金依頼が殺到した。「AIが予言したんだから、あなたにも責任があるでしょう」そう言われ、私は多額の募金をすることになった。

当初の興奮は、いつの間にか罪悪感に変わっていた。私は嘘のデータをAIに与え、多くの人を巻き込んでしまったのだ。SNSでの私の投稿は、単なる悪ふざけではなく、人々の期待や不安を煽り、結果的に多大な迷惑をかけてしまった。

この経験を通して、私はAIの予測が万能ではないこと、そして、自分の行動が周囲に与える影響の大きさを痛感した。AIはあくまでツールであり、その結果を鵜呑みにすることは危険だ。そして、嘘はどんなに小さなものであっても、いつか必ずバレる。

私はこの出来事を教訓とし、二度と同じような過ちを繰り返さないように心に誓った。同時に、凹凸高校の野球部を応援する気持ちは、ますます深まった。嘘によって得た勝利ではなく、真摯に野球に取り組む彼らの姿に、私は感動し、これからも彼らの活躍を心から願っている。

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