コロナショックで閉店を考えている全ての飲食店の方へ(後編)
はじめましての方もそうでない方もこんにちは。
カフェと囲碁ひだまりのMayuです。
東京にある囲碁カフェの店主です。
コロナショックで打撃を受けたので閉店を考えていました。
でも辞めました。
閉店の手続きが大変すぎるのと、応援してくれる人や協力してくれる人がたくさんいたから、思いとどまることができました。
物件解約の申し出もして、
閉店にむかっていった日記を掲載します。
今回は後編で閉店日記6話~10話(完結)です。
前編はこちらから。閉店日記1話~5話です。
お店を閉めようと思っている方。本当にそれでいいですか?
私の言葉が少しでも刺さったら、もう一度考えてみて欲しい。
活路はあります。
1.閉店日記⑥ 5月20日 食洗器のリースはやめよう
始めましての方もそうでない方もこんにちは。
Mayuです。
閉店というか移転するので、
今後お店をやりたい、閉める機会がある方に向けて書いています。
今日は食洗器のリース解約の電話をしました。
これからお店を始める方に、声を大にして言いたい。
高額商品のリース契約はやめましょう!!
元々、オープン時に手元の運転資金を残したい思いで、
食洗器だけリースにしました。
その時購入していれば50万円でした。
しかし、今回解約にあたり提示された金額は、、、
32か月×1.1万+手数料40,000=392,000!!!
今まで支払った金額は、1万円×38カ月×消費税=約41万
つまり、一括で支払っていれば50万円でしたが、
リースで支払うと、80万円するわけです。
そして恐ろしいことに、残額は分割ができません。
お金がない!そういっても、「解約するときは全額返済の決まりですので」の一点張り。
私「移転する予定なんです」
リ「移転先にもっていって頂ければ、そのまま継続してお支払いいただけます」
私「移転先がまだ決まっていないんです」
リ「そうなると解約ですので一括返済です」
私「払うお金がないので分割にしたいのですが」
リ「それはできません」
私「なぜでしょうか?」
リ「そういう規約です」
私「でも移転が、、、」
リ「では解約ですね」
これからお店をやる方で食洗器が必要なお店もあることでしょう。
しかし、リースを組むときはよく考えて組んだ方がいいです。
コロナウィルスのように想定外のことが起きて、
お店を閉めなきゃいけないこともあります。
胃がキリキリしますが、
なんとか乗り越えて新しいお店をオープンできるように頑張ります。
先日お客さまからいただいた言葉を最後に書きます。
「まだ準備ができてないから、新しいところが見つからないんだよ。
準備ができてれば、ちゃんと見つかるからね。」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
いつかどこかでお会いできる日を楽しみにしております。
2.閉店日記⑦ 5月23日 最後の周年祭
はじめましての方もそうでない方もこんにちは。
Mayuです。
閉店への道のりを書いています。
いつか誰か閉店するときのためのものです。
今日でひだまりは3周年を迎えました。
3年前は希望に満ち溢れていて、たくさんのお客さんが来てくれて、
キラキラしていた。
しかし、これがここで迎える最後の周年だと思うと、
正直心の底から喜べない。
でも自分で選択したのだから仕方がない。
それでも、常連さんが「おめでとう」と言ってお花やプレゼントを買ってきてくれた。こういうのは続ける人に贈られるべきものであって、
辞める選択をした自分には受け取る資格はないと思う。
しかし、まだ辞めることは言っていないので「ありがとうございます。」と素直に受け取る。
お店を閉めて一人ブログを更新する。
3年間であったことをかいつまんでnoteに書く。
その時の記事はこちら。
夜に軽く飲みに行く。一人でしっぽり。
飲んでると香港に住むナイスガイ:カールからラインが来る。
カールとはひだまりのお客さんで、ひだまりに来るために日本に来るという、ひだまりに愛にあふれた青年である。
訳:
こんにちはまゆ。
ひだまりの過去3年間についての文章読みました。
それは良い読み物だった。
僕はGoogle翻訳を使用して読むことしかできません😂
でも、そこからあなたの誠意と積極性を感じることができました。
去年、この日に東京に行ってひだまりの記念日を祝うことができたのを覚えています。残念ながら、今年はそれができません。
挑戦する前に失敗する心配について書いていたところが良かった。
「失敗したらやり直せばいいや」の考え方が、
ひだまりを特別かつ魅力的にできている理由だと思います。
そして、ひだまりに行って、あなた、つからさん(ひだまりスタッフ)、三田さん(お客さん)、他にもたくさんの素敵な人たちと出会うことで、囲碁を楽しむだけでなく、このコミュニティから、より良い人になる方法について多くのことを学んだと思います。
あなたとひだまりが良くなることを願っています。
また会えるのをを楽しみにしています。
お酒はさほど飲んでいなかったけれど、
人に涙を見せたくないので家に帰る。
こんなメッセージを送ってもらえる嬉しさと同時に
ふがいなくて出た涙だった。
こんなに想ってくれているのに、頑張れなくてごめんね。
いつもありがとう、Karl。
3.閉店日記⑧ 5月25日 初めての内見
はじめましての方もそうでない方もこんにちは。
Mayuです。閉店に向かって日記を書いています。
最近起きて鏡をみると自分にげんなりする。
心が整ってないせいか、肌つやがよくない。
なんかぶつぶつが顔にいっぱいできている。
マスクがあることがありがたいなと思う。
まてよ、マスクで荒れてるのでは?口回りに多いし。
今日は休みなので内見の予約をいれており、一軒見にいく。
箱は汚いが、二階建てでスタッフルームもあり魅力的だった。
1階はバーで2階は囲碁。
人の同線とオペレーションだけ考えればイメージの沸く店舗だった。
しかし、気になったのが周りに商店街がないこと。
両隣のお店の外観がいけてないこと。
隣のお店の看板は割れたまま放置されている。
治安が悪くみえる。
でも内装と家賃は最高である。どうしよう。
まだ時間はある。考えよう。
すごく久しぶりに大事な人と電話で話す。
「カフェと囲碁」というネーミングを一緒に考えてくれた人。もう全然会ってない。
事情を話すと、大変だね。と。
「でもカフェと囲碁っていう名前にしたから、囲碁屋のなかでうちのお店だけ営業できてるんだよ。
あの時これがいいよって言ってくれてありがとうね。」どうしてもそれだけ伝えたかった。
家に帰ってパソコンを開くと、アメリカ人の友人から、本の翻訳が終わったよ!と連絡。
本を読みながら、手紙を書きたくなったからと、
長いメールを書いてくれた。
まゆへ
滝に打たれたことはありますか?
変な質問だよね(苦笑)。おそらくほとんどの人は経験ないと思う。
でもね、僕にとって、まゆの本物語を読むことは、滝に打たれている感覚だったよ。
自分にとって読んでて辛かったという意味ではなく、自分の人生を考えるきっかけになったという意味。
まゆが壁に直面し、そこから悩みながら行動してベストを尽くしたこと。
それは僕が自分の目標についてより深く考えるのに役立ったよ。
本の中で、まゆは性格が弱いと言ってたよね?
そうかもしれないけれど、僕にはそれが信じられない。
僕だけでなく、きっとあなたに会ったことのある人は、あなたは自分を持っててしんがある、と思っているんじゃないかな。
前にも言ったかもしれないけど、
僕にはスペシャルなスキルがある。
特別な「光」を持っている人に会うとわかること。
出会った瞬間に光をもっている人かどうかわかる。
まゆにはその光があったよ。
僕は自信がなくて、人生がうまくいかなかった過去ことを引きずってしまう。
目標を達成するために努力しているけれど、
今は自分が成功するとは思っていない。
こんなこと言うのは恥ずかしいけれど、うまくいくイメージがない。
まゆが持っている光が、僕にもあればいいのに。
まゆの本は、
まゆ自身だけでなく、成功してほしいと願っている人が周りにたくさんいることがわかる本だと思った。
周りの人は、まゆの中に希望を感じて、ひだまりに集まるのだと思う。
僕は、この英語の翻訳を通じて、
誰かが本を読んでひだまりがさらに成功できるように手助けしたいと思った。そして、それは僕が逆に助けられるものなのかもしれない。
僕の夢を叶えるには、日本に戻らなきゃいけない(以前日本に住んでいた)。今年の後半に戻れたらいいな。そしてもちろん、ひだまりにも行くからね。
あなたの友人より
香港のカールもこの友人もなんて感動する文章を送ってくれるのだろう。
一昨日泣いたばっかりなのに、メールを読んで涙ができてきた。閉めると決めてから泣いてばっかり。
「仕事が忙しい。だから翻訳の手伝いは先になるよ。」
そう言ってたのに1週間足らずで翻訳してくれた。
しかも、今のひだまりの物語である。
期待に応えられなくてごめん。不甲斐ない。
ひだまり閉めるよ。そういうメールをおくると、
彼は日本語で「塞翁が馬なんでしょうね」と送ってきた。
私の本の章のなかに「塞翁が馬」という言葉を書いていた。
まさにその通りだよね。
必ずいい物件を見つけるからね。
いつもありがとう。
4.閉店日記⑨ 5月26日 良き相談相手
はじめましての方もそうでない方もこんにちは。
Mayuです。閉店までの道のりをつづっています。
こうして文章を書くことでぎりぎりのモチベーションを保っている。
自分のために閉めると思うと頑張れない。
だけど、いつか閉店を考える誰かのためと思えば頑張れる。
昨夜、レドモンド先生のYoutubeの翻訳をしている友人から
「翻訳できたよー!」と連絡があった。連絡があったのは1:00すぎ。
平日仕事あるのに、ひだまりのために一生懸命やってくれてありがとう。
この動画はマイケルレドモンド先生というアメリカ人のプロ棋士の先生の動画で、日本語版をアップしたところ、外国人から「英語版プリーズ」と10人くらいから連絡があった動画。世界的にファンが多い。
きっとTranceで例えるとしたら、Arminのような存在なのだろう。
さっそく日中に完成した動画をUPすると、
色んな国の人から
「うらやましい!いいな!」とか
「ありがとう!」とたくさんの連絡をもらった。
それと同時に、囲碁の対局サイトも載せていたので、私と対局したい!と申し込んでくる変わった人も2,3人いた。
(私は囲碁は強くないので申し込んでもあまり勉強にはならないと思っている)
そしてその動画のコメント欄には
「コロナが終わったらひだまりに絶対行くよ!」
「日本に行くときは必くからね!」
「ひだまりは世界で有名な囲碁カフェになったね」
というようなありがたい言葉がずらり。
しかしその一方で思うこと。
「コロナが終わったら」
みんなのその言葉には希望が含まれている。
しかし、私の「コロナが終わったら」は「今のひだまりはもうない」。
ひだまりの終わりを意味している。
それを誰にいうでもなく、自分の心にそっとしまう。決めたことだけど、3か月後にはもうないなんて信じられない。
全然現実味がない。
今日はお客様で物件選びに詳しい人(Aさんとする)と会う。
昨日の物件の情報を送ったところ、今日見れるかな?との連絡ためである。
急遽夕方に来て外観だけでもと見てもらえることに。ありがたい。
Aさんは物件選びのプロである。
詳しくは割愛しますが、興味があるかたはこちらの本を読んでみてください。
小雨降るなか、お客様は先に物件の前に来ていて、
雨宿りしながらこの場所についての意見を交わした。
M「私は何となくいいと思っているんですけど、、、」
Aさん「Mayuさんは惚れっぽいかなぁ~ハハッ」と笑って
「ここまMayuさんの雰囲気ではない」そう言った。
今、ひだまりのある物件を見つけるときは、
アドバイスをくれる人は一人だけだった。
いまはこうして信頼できて意見を言ってくれる人が近くにいて、
本当に恵まれているなと感じる。
その後お茶を飲みに行こうという話になり、
別の目星をつけているお店へ。
そこは退去するしないと以前から話題に上っていると聞いているお店。
内装もなかなか良く1階である。
Aさんは商店街を歩きながら、「ここはMayuさんの街だねー」と言う。
確かにこの街には馴染みがあり、知人もたくさんいいる。5分ほど歩いて喫茶店に着いて中に入ろうとすると、
「今日はもう閉店です」と。
外の看板にはオープンと書いてあったけど、、、
ケーキだけテイクアウトをして、場所を移動してAさんと話をすることに。
移動している最中に最も会いたくない人に偶然会う。
根ほり葉ほりきいてくるので、致し方なく事情を話した。
胸にもやもやを抱えながら、
気分をを切り替えてAさんと近所のソバ屋に立ち寄る。
「メールを見て焦ってるんだろうなと思った」
「いつかはこれという物件に出会える。なぜかというと見つかるまで諦めないから」
「物件に惚れてはいけない」
「今日見たところはMayuさんの雰囲気ではない」
Aさんは、思っていることを正直に話してくれた。
久しぶりの外食でおいしいものを頂いた。
元気がでた。人間は案外単純だ。
おいしいものを食べて良く寝て良く笑い良く働く。
それしか元気になる方法はない。
焦らずに行こう。明日は自分のお店の内見がある。
4.閉店日記⑨ 5月27日 持つべきものは友
今日の予定:解体工事の見積/厨房設備見積/ひだまり内見
まず厨房設備の買い取り業者の見積りをしてもらう。
こんなにお金をかけて作っても、買い取り金額は5分の1以下。
がっかり。
解体工事の見積り
え!こんなに?!
仕方ない。自分で決めたことなんだから。
その後内見。
不動産屋さんも初めての方なので挨拶をして、紹介者の方をつれてきて貰う。
内見の方の顔を見てすぐにびびっときた。
とある飲食店のオーナーさんだった。
会話もしたことないのになぜわかったかというと、
その方のお店にランチをしにいったことがあるからだ。
その人はその時接客をしてくれたわけではなく、
隣の席で不動産屋さんとなにやら話をしているのを見た。
その時の記憶が蘇ったからだった。
あいにく私の物件は重飲食ができないのでそもそもNGなのだが、
物件の見方のようなものを、短時間でその方から学んだ。
何からでも学ぶことはできる。
その後、お店を作った金額の5分の1以下で提示していた造作の金額でも、
高いから安くしてくれという話になった。
私にとってはお金をかけて作って、3年間愛情を注いだ愛着のあるお店。
でも他人から見たら、今はコロナで売り上げのないただの中古物件。
厳しいけれどこれが現実である。
紹介してくれた不動産屋さんと話をする。
「いまは買い手市場のため、都心の一等地でも厳しいです。長原だとなおのこと。。。」
閉店するのにお金がどれだけかかるのか?
同時に新しいお店にかかるお金はいくらなのか?
いくらお店を縮小すると言ったって、
初期投資が100万円なんて、飲食物件ではありえない。
かといって、マンションの一室みたいなところでひだまりをやるのは価値がない。私がやりたいことではない。
閉店は思っていたよりもずっとずっと大変で心が折れる。
こういう日に限ってお客様が15:00まで一人も来ない。
誰にも相談できなくて、めっちゃつらい。
誰にも、、、誰にも?
ふと思い立って、お店を経営している中学校の同級生にラインしてみた。
その子はBarを経営している。
いつもは朝まで営業なのでお店は休業していると言っていた。
緊急事態宣言もあけたので、どうしているのかな?
と思って連絡したら、昨日からあけてるよーと。
彼とは不思議な縁で、人生の節目節目に街中で偶然会うことが多かった。
同じクラスではなかったけれど、大人になってから仲良くなった。
というのも、お互いバーテンダーだったから。
彼は五反田で私は目黒。一駅違い。
共通の知人がいるのも後から知ることとなり、
お店を持ってから特に仲良くしている。
彼のお店は目黒にあって、
彼の前のオーナーの時に毎日のように通っていたお店だった。
(当時は職場の近所である目黒に住んでいた。)
そこのマスターがバーを辞めちゃって、
そのあとに入ったのが偶然にも同級生である彼だった。
目黒なんて長原の数倍は家賃が高い。
しかも3店舗も経営している。すごすぎる。
閉めるよ。とだけ言うと「子供でもできた?」と彼らしい返答。
そのあとに電話がかかってきた。
本当に苦しい。家賃が高い。辛い。未来が見えない。
囲碁は高齢者が多いから、コロナで一気にだめになる店が増える。
というと。彼は私に明言した。
「え、なに?移転するの?そんなのやめなよ。お金かかるよ。俺ならそこやめない。絶対。解約言っちゃったの?取り消しなよ。」
長原駅は私たちの中学校がある場所なので、彼は土地勘がある。
そのうえで「その立地でその作りでその家賃はありがたいと思わないと」と言った。
「俺らもういい年だよ?新しく店作るの大変だよ!しかもこんな時に。
”お金が借りられなかった。もう財政的に今年持たない”ならわかるよ。
でもそうじゃないじゃん。なら頑張らないと!
大丈夫だよ。たかだか金だよ。命まで取られないから頑張ろうぜ!
お前ならできるよ!」
不思議と元気がでた。
すっごく胸に刺さった。
誰かにそう言ってもらいたかったのかもしれない。
私も若かりしころイケイケだったけど、
彼はもっとイケイケで大変な目にもあっている。
そういうバックグラウンドを知っているので、
修羅場を潜り抜けまくってきたこの人が言うなら頑張れるかも。
そう思ってきた。
1ミリ希望が見えたところで解約の書類を出してしまっている。
それくらい決意して決めた閉店。
実際に買い取ってもらうような手配もしているし、
荷物を置いてもらえる場所の手配、次の場所探し、もろもろの解約手続きも進み、全て段取りを組んでいる。
世の中の人はこういう時どうしているのだろう?
こういうときは誰もが検索するでしょう。
出てきた回答には、
次に借りる人が決まっている場合は取り消せません。しかし、貸主が同意した場合は可能がある。
と書かれていた。
もう一度よく考えてみよう。
帰ってからも一晩中そのことを考えて朝を迎える。
続けるべきか辞めるべきか。
辞めるにしても今はそのタイミングではないのか?
どうすればいい?
5.閉店日記⑩ 最終章 おかえりMayu
今日の予定:解約の取り消し
「物件を解約します。」
と不動産屋に届けを出し、大家さんの了解も得てしまったので、取り消せるかわからない。
昨日グーグル先生で調べても、
次が決まっている場合はだめだと書いてある。
大家さんの立場に立っても、なんで?となるだろう。
しかし、こういうのは早い方がいい。
心のわだかまりは早く取らないと。
朝一番で不動産屋さんに行く。緊張する。
こういう時にいつも思い出すのは、何かの映画か本で見た
「勇気を出すのはたったの20秒」という言葉。
大概勇気が要ることは20秒らしい。
たしかにDJにしてもプレゼンにしても、
緊張するのはたった20秒がマックスで、
それ以降は緊張はほぐれ、むしろ快感に変わってくる。
この言葉を知って以来、
気まずい時にもおまじないのように20秒…と唱えている。
不動産屋さんの扉を勇気を出して開ける。
「こんにちは。今少しいいですか?」
「どうぞ。」
「解約を取り消したいのですが。こういう理由があって…」
「もちろんできますよ。その方が家主さんもいいと思います。
でも確認するので時間もらえますか?」
「ありがとうございます。わかりました。」
20秒の勇気を出してよかった。
お店に戻って扉をあけると、不思議だけど、
お店に笑顔で「おかえり」と言われたように感じた。
まだわからないけど、なんだか大丈夫な気がしてきた。
ここは私にしか作れなかった空間。
手放そうとしちゃってごめんね。
もうちょっと頑張るからね。
だから、どうかもう一度チャンスをください。
夜に同級生のBarに飲みに行く。
閉店を辞めるきっかけをくれたお礼を兼ねて。
「おー。久しぶり!店どうしたよ?」
「昨日はありがとね。あそこまで言われたら続けるしかないよ。なんかK君に言われたらできる気になった。」
「だろ?笑。お前ならできるよ。3年間やってきたんだから。」
本当に恵まれた人生だと思う。
いつもピンチになると、誰かが必ずサポートをしてくれる。
誰よりもいい人たちに出会えて来たのだから、
これからもお店は続けられる。
自分を信じて、周りの人を信じて前に進もう!
100年企業になるにはまだまだ道のりは長い。
6.エピローグ
長い長い文章をここまで読んでくれた皆さま、
ありがとうございました。
ここに書いたことは全て事実です。
フィクションではありません。
5月9日に解約届を出し、
5月28日までそこに向かって20日間進んでいました。
辞めるという話をしたのは、
スタッフ、商店街関係の方、不動産関係の方、一部のお客さま、
撤去時に助けてもらわなければならなかった方。
店を続けることを伝えた方は皆、口をそろえてこう言いました。
「そう決めてくれてよかった。続けて欲しいと思ってたよ。」
その一言で、今までの大変さが嘘のように楽になりました。
辞めることを伝えていなかった人たちは、意外だと思うことでしょう。
でもこれが現実です。
その厳しい状況を知らなくても、香港のカールやアメリカ人の友人は信じられないタイミングで私を励ますメッセージを送ってくれました。
あのメッセージがなければ頑張れなかったかもしれない。言葉には力がある。そう感じました。
とはいえ、閉店すると決めたときと状況はなんら変わっていません。
空から大金が降ってくるわけでもないし、宝くじに当たったわけでもない。玉の輿に乗れるわけもなく、努力でなんとかするしかありません。
しかし、先のことは誰にもわからない。
前より大変になるかもしれない。でもそれは推測の域をでない話です。
飲食店を経営している人は、だれしも私のように悩み、考え、行動していることでしょう。もしかして辞める決断をした人もいるかもしれません。
でもまだ悩んでいる。
そういう人がいるならば、あと一カ月だけ頑張ってみませんか?
その一カ月で光が見えるかもしれません。
このnoteで具体的に〇〇したら効率があがりますよ!とか
〇〇したらいいよ。という話は、個人によって異なるためできません。
私は不器用な人間なので、よくいるブロガーの人たちのように、ためになるアドバイスはできません。
ですが、助けてほしいと言ってくれた人の話を聞いたり、自分の持っているものから、これがいいんじゃない?ということは言えます。あと私にできることは、助成金のアドバイスとか(助成金受給率は100%です)、クラウドファンディングのお手伝いとかです。
辞めるかどうしようか悩んでいる人は、周りの人に相談しましょう。
周りに誰もいないひとはよかったら私に連絡をください。
簡単に夢を諦めないでください。
諦めたらそこで終わってしまいます。
この文章は出そうか出すまいか悩みました。
囲碁のカフェは「遊び場」です。
だからあくまでもお客さまが楽しいと感じる場所であってほしい。
この文章を読んでしまったら、お客さまはプレッシャーに感じて、
心から楽しんでくれなくなるかもしれない。
そう思いました。
ですが、やっぱり私は誰かに元気になってもらいたくてお店を始めたので、
今回は書いて世に出すことにしました。
自分勝手ですが、お客さまがこれを読んだとしても、プレッシャーに感じずに気軽に遊びにきてほしいことを結びとさせていただきます。
ここまでやって来れたのも、お客さまや周りの人のおかげです。
これからもどうか見守って頂けたら嬉しいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
ひだまりでお会いできる日を楽しみにしています。
Mayu
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