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美容と健康にもってこいなしゃけ(鮭)の話 粕汁レシピ付き

鮭は不思議な魚

北海道ではしゃけって言う人もいる、鮭。秋鮭ともいいますね。鮭は川で産卵・孵化し、海で数年(1-6年)すごしたのち、生まれた川に遡上してくる珍しい魚、、っと言うのはもちろん皆様ご存知の通りです。鮭の生態についてはわからないことが多く、なぜ海に出るのか、なぜ生まれた川がわかるのかなどは、諸説様々有りますが、まだほとんどが解明されていません。

私が育った北海道の田舎では、鮭やマスの遡上はこの時期の風物詩です。海に近い大きな川では、あっちこっちで鮭がはねている光景がみられます。私が住んでいた田舎の小さな川にも鮭やマスが上がってきます。めちゃくちゃ上がってきます。それはもう手づかみで簡単に捕れるぐらい大量に上がってきます。足を川に入れるとぬるぬるあたって気持ちわるいぐらい上がってくるんですが、禁止されている場所では捕ってはいけません。

鮭の産卵は命がけ

鮭は生まれた川を上って産卵します。そのあいだ一切食べ物を口にしません。上流の産卵に適した場所に着いたらつがいになり、川底を尾びれで深く掘り穴を作ってその中に産卵します。そしてその後、息絶えます。この一連の映像を北海道で育った方は学校で一度は見せられたことがあるのではないでしょうか。

北海道の山間の川では、時期になるとヒレが白くぼろぼろになった鮭がたくさん浮いています。それらは熊や鳥たちの大雪な蛋白源になります。北海道では産卵後の鮭を「ほっちゃれ」と言います。絶食と、命を失う程の運動のため、脂肪は抜けきっていて、あまりおいしいとは言えませんが、アイヌではこのほっちゃれを選んで捕っていたという話も聞きます。保存がしやすかったと言われていますが、限りある自然を護る意味もあったのではないかと思います。

食べておいしいのはやはり遡上したてか、海にいる白子や筋子が入っている鮭です。ちなみに筋子は鮭の卵巣膜に入ったそのままのもので、つながった状態の卵のこと。イクラはそれをバラバラにしたものです。ちなみに「イクラ」はロシア語で「魚卵」を指す言葉です。

捨てるところがない鮭

鮭の身や筋子はもちろんおいしいですが、珍しい料理として頭の軟骨をスライスした「氷頭なます(ひずなます)」という食べ方もあります。鮭の頭部を薄く切って塩でもんで、酢で洗い、また酢につけてたものです。祝い事に食べられます。こりこりとした食感がおいしいらしいですが、両親が関西人という似非道産子の私の家の食卓には出てきたことは有りませんでした。鮭は捨てるところがないと言われます。鮭の皮は、アイヌでは装飾として、布の代わりに使われ、服や靴などもつくれられていたようです。

鮭を中医学的に見てみると

温性で、主に胃腸を温めてくれます。体内の水はけを良くして、むくみを改善したり、「血」を増やし流れを良くして冷えを改善する力があり、冬場にはおすすめの食材です。コラーゲンが大好きなご婦人方には鮭の皮も一緒に食べることをお勧めします。

鮭の身は赤いですが、実際には白身魚に分類されます。あの赤い色はエサの甲殻類の色素が要因のようで、フラミンゴと同じ原理です。卵が赤いのも同じ理由です。この色素はアスタキサンチンと呼ばれ、抗酸化作用が高く、最近注目されている成分の一つです。さらに鮭にはDHAやEPAが多く含まれています。これらの脂肪酸は動脈硬化、心筋梗塞・脳梗塞、糖尿病などに予防効果が高いと言われ、生活習慣病予防にはぴったりの食材です。

【鮭】

【性味/帰経】 温、甘/脾、胃
【働き】
1.健脾温胃和中:胃腸の調子を整えて、食欲不振や腹部の冷えを良くする
2.補益気血:気や血を補い、疲れをとる。眩暈や浮腫、下痢などを癒やす


鮭をつかったおすすめ健康メニュー 

【粕汁】

鮭はそのままでも体を温め、元気にしてくれる食材ですが、ここではその効果を更に高めるために、おなくじ体を中から温めてくれる酒粕と一緒に粕汁にしてみましょう。イメージ的には豚汁の代わりに鮭を入れて酒粕を足すだけで、とっても簡単です。是非お試しください。

【材料】


・ 鮭(生でも甘塩でも) 大きい2切れ
・ 酒粕         150~200g
・ みそ          大さじ3
・ 大根          1/2本
・ 人参           1本
・ 竹輪           3本
・ こんにゃく        1/2枚
・ ごぼう         好きなだけ
・ 薄揚げ          1枚
・ ねぎ            適量


【作り方】

1. さけは食べやすい大きさに切って、熱湯をかけて臭みを抜きます。生のものは塩をかけて10分ぐらい置いてから。
2. たわしでこすって皮をとった牛蒡を3mmぐらいの小口にするか、袈裟斬りにして水にさらしてアクを抜きます。葱は小口に切って、熱湯で油を切った薄揚げは1cm幅の短冊に。大根、人参は細めの拍子木切りか銀杏切りでこんにゃくはひと口大に。竹輪も4mmぐらいの輪切りに。
3. 鍋にだし汁(水1100ccにだしの素小さじ2)を準備し、沸騰させます。もちろん昆布で出汁をとっても良いです。
4. 具材を全部加えて、10分ほどアクを取りながら煮ます。
5. 酒粕、みそをボウルに入れ溶かし、鍋に入れて軽く煮る。
6. 薄揚げを加えてさっと煮る。
7. 器に盛り、ねぎをのせる。
以上です。

【酒粕】

【性味/帰経】 温、辛甘/脾
【働き】補気活血:血を補い、体を中から温め、血のめぐりを良くする。

外からも内からも温めよう

鮭と言えば、日本人の朝食の定番ですが、確かに胃腸を元気にして、血流を良くしてくれ、良質なたんぱく質を補給してくれる鮭は朝食にぴったりの食材です。実家にいたころは、年末になると鮭の解体が一家の行事でした。子供ながらに出刃包丁で大きな鮭をさばく父や祖父がかっこよく見えたものです。今ではそんなこともなくなってしまいましたが、いつか自分の子供たちの前でやりたいものです

いくら防寒に気を使って、いつもよりたくさん服を着て、家の中でも靴下を穿いていても冷えは体に忍び寄ります。そんな時は自然の力を借りて、身体を中から温め、寒さに備えることが大切です。自然は、その季節季節の厳しさを緩和してくれる食材をいつも提供してくれています。冬は寒さと乾燥に気をつけなくてはいけないので、食材を選ぶ基準は、温めてくれるもの、潤いを補ってくれるものを中心として、冷やすものはできるだけ取らないようにしましょう。


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