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お互いの世界を探って導かれたそれぞれの場所が、同じ東村山だった【コタ珈琲】さんとわたし。

東村山編集室 地域ライターのオキタリホです。
本日もわたしの【休日をたのしむらやま】な、とある1日をお伝えしたいと思います。
お付き合いのほどよろしくお願いいたします。


西武新宿線東村山駅から徒歩9分。
古民家を改装した複合スペースの百才(ももとせ)。
店舗を持たない珈琲店、【コタ珈琲】の今日の店舗だ。

百才 母屋

母屋の右奥がこぢんまりとしたコーヒースタンドスペースになっている。
入り口から声をかけると、満面の笑顔で迎えてくれるおふたりのの姿があった。
齊藤志穂さん・秀和さんご夫婦だ。

齋藤志穂さん

ナチュラルなワンピースとスカーフ姿の志穂さん
この姿の彼女に会いに行くのは5回目ほどになるだろうか。

実は私たちは同じ会社の元社員同士だ。
わたしが初めて志穂さんに会った時、彼女はオフィスレディな服装で出張なんかもバリバリしていてとても忙しそうにしていた。
わたしはわたしで店舗を任され、毎日コーヒーまみれになる勢いで働いていた。
部署は違ったが時折話す機会があり、その時も志穂さんと話すとほっとして肩の力が抜けるのをいつも感じていたのを思い出す。
そして仕事の話はほとんどしていなかったような気もする。笑
志穂さんと話すのがとってもだいすきな時間だった。

そんな彼女が退職し、コーヒー焙煎を始め、様々な場所でコーヒーを淹れるようになった経緯を今回改めて教えてもらった。


11年ほど勤めた会社を辞めたのはコロナ禍の2021年3月。
当時の部署は忙しくて、朝6時半に家を出て夜は0時過ぎたり、出張で家を2〜3日空けることも多かったそうだ。
志穂さん自身も禍中で自宅待機状態になった際に、朝起きて、家事をしたり、昼間の外出をしてみて
「気持ちいいなぁー。これが自然体の生活なのかな」
と感じ、非日常の中で日常を感じることができたそうだ。
「このままじゃ人生もったいない!」
と感じて退職を決めた。

わたし自身もその半年ほど後に、やはり退職をした。が、退職を決めたのは志穂さんと同じ頃だったと思う。
同じくコロナ禍を過ごしていく中で、やりたいと思っていた自分のお店に挑戦するタイミングはもう今しかない!と、停滞気味の心に急に生きる力みたいなものがぶわぁーっと湧いてきたのだ。
色々な理由で少し遅れたが無事にフリーな生活になり、今はお店をオープンさせるところまでこれた。


志穂さんは辞めた時点ではどうしていこうかも考えていなかったため、家の周辺で仕事を探していたところ、現在、月・水で間借りしているヤナカフェ(西東京市)を秀和さんが見つけてきてくれた。
「試しに行ってみたらご飯がおいしくて!コーヒーももっと美味しくなったらいいのに、、ってなって。笑」
コーヒーなら自分が力になれる!と思い、面接の時点で今後自分で焙煎をした豆を販売できるお店をしたいという思いを伝えた。
1ヶ月で慣れて2ヶ月で仕事を全部覚えるから3ヶ月目には間借りさせて欲しい!とオーナーに直談判!
週4日しかない営業日のうち4日必死に働いて仕事を覚え、見事3ヶ月目から間借り営業をスタートさせた。
志穂さんが間借りしている月曜と水曜の8:30〜15:00は通常のヤナカフェの営業している日時ではないのに、今では常連さんでにぎわっているそうだ。

いつものようにコーヒーを淹れてもらう。
丁寧にハンドドリップ。

志穂さんがもう一つの間借り店舗として定期的に出店している場所が、ここ百才。
百才には2021年11月が初出店。
百才へ出店するようになったきっかけは、ヤナカフェでの取り扱いがきっかけでご縁がつながった米粉のおやつまるこさんが、東村山市のシェアキッチン“木づつみのえん”に出店することになり遊びに百才を訪れたことから。
その日、母屋で初出店されていたみぢかな珈琲さんとお話をしているうちに、百才を運営しているハチコク社さんとも意気投合。
「ここでコーヒー淹れてくださいよー」と遊びに来たその日に出店が決まったそうだ。
母屋は一般貸出をしていないにも関わらず、市民ではない【コタ珈琲】がその枠をゲットとは、、!
ヤナカフェオーナーへの直談判といい、志穂さんはしっかりと思いを言葉に変えて、相手を引き寄せる魅力的なチカラがあると思う。
今では月に2回ほど、金曜日に百才へ行けば志穂さんのコーヒーが飲めるようになった。

志穂さんがコタ珈琲の名で活動するようになったのも百才出店の時から。
以前ヤナカフェを訪ねた際に、
「この屋号で活動していきたいんです」
と見せてくれたのが【コタ珈琲】だった。

コタはフィンランド語〝小屋〟という意味。
「休憩小屋のような感覚でコーヒーを飲みつつゆっくりしてもらえたらと思って。」
と志穂さん。
響きもとっても可愛い!
実はコタはフィンランドでは〝サウナコタ〟サウナ小屋という意味でも使われるらしく、ご夫婦でサウナにハマっている志穂さんならではの名前なのだ。

齊藤さんご夫婦
百才出店の日は秀和さんがお手伝い出勤。


日々のブレンド ¥500 
ブラジル、エチオピア、パプアニューギニアをブレンド

コタ珈琲のコーヒーには
【日々のブレンド】という名がついている。
「シングルオリジンのような特徴があるコーヒーも楽しいけど、もう少し落ち着いてエッジのきいてないまろっとしたブレンドの方が飲んでいて疲れないなと思って。」
“飲んでいて疲れない”コーヒーがコンセプトだそう。
本当に、濃すぎず浅すぎずちょうど良い、身体にすーっと入り込んでくるような感覚になる。
自然と肩の力が抜ける。
志穂さんと話しているときみたいだ。

そんな志穂さんこだわりのブレンドは、現在焙煎のお仕事をしている秀和さんの協力によって生み出された。
元々知識のなかった志穂さんに焙煎の基礎知識、火加減、焼き加減、ブレンドの仕方などのアドバイスをしてくれていて、日々自宅会議を重ねているそうだ。
なるほど、ふたりの空気感にも似たほっこりとした気持ちになる。

母屋の縁側に座ると、
きんようびのきりん館さんが駄菓子を広げていた。
周りには子どもたちが楽しそうにはしゃぐ姿も。


なぜ間借り店舗という営業スタイルを選んだのか聞いてみると、最初は、すぐ提供できる場としてヤナカフェで間借りを選んだけど、ゆくゆくは物件探しをはじめて店舗を持つイメージもあったそう。
「実際に間借り営業をしていくうちに、間借りは燃費が良いと思ったんです。
リスクが小さいし。その分リターンも少ないけど、手軽さ、フットワークの軽さがいいなぁと気に入ってます。
最近は色んなイベントに呼んでもらえるようになったんですけど、どれも自分から営業はしていなく、たまたま繋がった縁で動いている、場所が増えているって感じですね。」
今年は東村山のイベントにも参加。菖蒲まつり、おとのわを通じて地域の人たちとたくさんの交流があったそう。
私よりも東村山に馴染んでる、、すごい、、!
ENCOUNTERも地域のイベントに参加できるよう目下準備中です!

会社員の時より枠にハマらなくなったと感じているという志穂さん。
当時多くの人と関わっていた反動でもう少し狭い世界になると思っていたが思っていたよりも関わってくる人が増えたそう。
きっかけは百才。
志穂さんの百才へのイメージは
「コミュニティ(団体)というより縁という感じ。
会う人会う人どこかで繋がっている心地よい縁で、浸かり過ぎない関係性が気に入ってます。
その中にいることで自分の世界がだんだん広がっていってるし、広げていいんだなぁーと思えるんです。
百才は新しい出会いや初見の方、繋がりで来てくれる人が多いのもうれしい!」
間借りでいろんな場所で活動してるからこそ、色んな立地と客層に出会えるのも確かにすてき!

ドリップバッグ ¥200
米粉のまるこさんの焼き菓子も運が良ければあります!
カフェインレス変更もできるのがうれしい。
お子さま用のジュースもあります。

もし店舗があったら色んな場所に出店できてなかったなぁと、現在のスタイルの身軽さが気に入っている志穂さんだが、
「色々呼んでもらえたり、卸しをさせてもらっている分、製造も増えているので拠点として加工や焙煎の研究ができる焙煎所は欲しいなぁーとはちょっと思ってます。外へ出るための自分の基地的な。」
是非!東村山に作ってくれたらいいのになぁー。と期待してしまう。

「コーヒーって、主役にはなり得ないけど邪魔にはならない。
そこがすきなんです。
使える。繋ぎになるなぁって。
例えば、待ち合わせの時に喫茶店で意識せずに頼むブレンドという立ち位置が心地いい。
色んな場所で活動している拠点がないスタイルが嫌じゃないのもそれなのかなって今思っています。
100円で買える時代に私が出す意味、、と思っていたけど、このコーヒー!って目指してくる人はコタ珈琲ではターゲットにしていないって。
1年経て、どこでも入り込めるのがコーヒーなのかな!と思えるようになりました!」

この1年半で志穂さんがいる場所は、彼女の人柄で繋ぎ合わせてきた縁が作り出した場所なんだなと、話を聞いて改めて感じる。
すきなことには逆らわず、流れに乗ることを楽しみながら身軽に生きている志穂さんの笑顔はキラキラと輝いている。
彼女らしくコーヒーで繋がった縁で更にその世界は広がっていくんだろうなぁとワクワクする!

わたし自身は今年の5月にENCOUNTERというハンバーガーカフェをスタートさせた。
地元である東村山にお店を構えることになったのは、たまたまちょうどいい物件がみつかったからなのだが、せっかく地元でお店をやることになったのだから、久米川ならここ!と言われるような、地元を盛り上げる場所になりたいなぁと思い
〝いつもここにいますよ〟
というスタイルで日々営業している。
毎日お店の窓から常連さんと挨拶を交わしたり、初めましてのお客様と会話するのがとても楽しいと感じている。
大きくはないカウンターに囲まれたわたしの場所もわたしが実際にやってみて会いに来てくれたお客様と作り出した世界。これもわたしにはベストチョイスなのだ。

どちらが良い悪いはなく、お互いがお互いの世界を探って導かれていったそれぞれの場所が、たまたま同じ東村山だったことが、個人的にはとってもうれしいと思っている。

同じ場所を巣立ち、また別の同じ場所で再会できた志穂さん。
スタイルは違えど勝手に同志のような気持ちでいます。
またパワーもらいにコーヒー飲みに行きますね。
またひでっちとハイボール飲みに来てね!

皆さまもぜひ、百才へ行ってコタ珈琲さんのブレンドに日常を感じてみてください。

【コタ珈琲】
毎週月・水 8:30-15:00 ヤナカフェ西東京(@yanacafe.nishitokyo)で間借り営業中。
月2回ペースで東村山市百才出店中。
出店日程はコタ珈琲(@kota_kahvia)または百才(@momotose100)のInstagramよりご確認お願いします。


コーヒースタンドの入り口
かわいい!

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