不眠症になってわかった長男の気持ち

寝るのだけは得意で、いくらでも寝られる私が、この私が、不眠症になってしまった。人生、いくらでも予想外のことが起きるものだ。

がん患者の夫、起立性調節障害で不登校だったけど高1になった長男、自閉症スペクトラムの小2次男を支える生活で、多大なるストレスを抱えていたので、去年の秋から心療内科を受診している。

レクサプロ(抗うつ剤)も、そして3か月前からは降圧剤も飲む私だけど、まさか不眠になるなんて、思ってもいなかった。

主治医に「夜は眠れますか」って毎週のようにきかれたけど、「はい!眠れます!昼間も寝れます!」って答えてた。それが数週間前から、布団に入っても1-2時間眠れない日が続いた。

今から考えると、数か月前から予兆はあって、真夜中に人の声が聞こえて飛び起きたり、早朝にピンポンの音が聞こえて飛び起きて窓から外をのぞいたり、夜中に何回も目が覚めたり、していた。

子育て中は、赤ちゃんの頃から夜中に何度も起きていたし、次男も夜中に何回か起きる子なので、そういうもんだと思っていたのだけれど、さすがに声やピンポンの音が聞こえるのはやばいかも・・・と主治医に思い切って切り出した。


「私、幻聴が聞こえるんです」

詳細を聞いた主治医は「たぶん、眠りが浅いんですね。眠れない時だけお薬(ゾルピデム)飲んでください」と処方してくれた。そしてそれを飲んだら、あっさりと眠くなって夜眠れ、さらにぐっすり眠れた。

なんだ、今まで夜寝ていたと思っていたのは、ちゃんと眠れていなかったんだ。ストレス、おそるべし。

やれやれと思っていた矢先、ゾルピデムが切れた。受診は月に2回、処方は10錠。毎日飲んでいたら、なくなった。しかもGW中に。

私はまた、眠れなくなった。布団の中で苦しんだ。あがいた。ばたばたした。そして昼間、寝落ちした。昼間ならいくらでも眠れるのに、なぜ夜、布団の中では眠れないのだ。人体の不思議。

GWが明けた日、クリニックにすぐに電話して、受診をはやめてもらい、無事に薬をゲット。「眠れなくても薬がある」という安心感はなにものにも代えられない。

私はもともと、薬をあまり飲むのが好きではない、どちらかというと自然派よりだった。でも今は、薬ってすばらしい、と思う。もちろん飲まないに越したことはないけど、飲んで楽になるなら、ちゃんと使えば、生活の質は確実に向上する。

不眠症はつらい。眠いのに、眠れないのだ。なにゆえ、こんなに眠いのに脳は眠りに落ちてくれないのだ。そして次々と頭の中に、いろんなことが浮かんできて、寝るに寝れなくなる。

ある日その辛さを長男に話したら「俺はそういう時たくさんある」って言われた。そうか、起立性調節障害で眠れない夜、起きれない朝を2年ほどすごしているんだもんね、君は。

親からしてみると「なんで朝、起きないの?」「なんで夜、寝ないの?」「なんで20時間も寝ちゃうの?」自律神経の不調だと分かってはいても、体感として分からなかったけど、不眠症になってみて、少しだけ長男の気持ちがわかった。

不眠症になってよかった、とはまったく思わないけど、長男の気持ちが少しだけ理解できたのはよかった。

眠りたいのに眠れない、起きたいのに起きられない、一番辛いのは本人なんだよね。

そして「なんで私は不眠症になったんでしょうか?」と主治医に問うたら、「まぁこのご時世ですからね。不安もおおきくなりますよね」って言われた。そうか、ストレスでメンタル弱ってるところに、追い打ちでストレスかかったら、そりゃ私の脳も混乱するのか。

そのうち自然に眠れるようになるといいな~と思いながら、今夜も私はゾルピデムのおかげで眠りにつく。

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