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発達障害と薬

発達障害の子供に薬を飲ませるのは、抵抗がある親が大多数なのではないかと思う。私もそうだった。

我が家の次男は、自閉症スペクトラムと診断された小1の6月から、エビリファイを服用している。脳に直接働きかけるような薬を、こんな6歳の子が飲んで大丈夫なの?性格変わっちゃわないの?と、診察室で少しだけ思った。

でも「死にたい」って道路に飛び出しちゃったり、癇癪を日に何度も起こす次男を少しでも楽にするには、薬を飲むしかないんだろうと思って、あまり深く考えず、医師に言われるままにエビリファイ1㎎を服用しはじめた。

医師は「合わなければやめればいいから」って言ってくれたし、とりあえず少ない量から様子を見るらしかったし。薬で少しでも良くなるなら、と藁にもすがる思いもあった。

数日服用したら、癇癪が10分の1くらいに減った(私の体感で)

薬ってこんなに効いちゃうの?とちょっとびっくりした。後から知ったのは、それはたまたまエビリファイが次男に合っていただけのことで、副作用も目立つものはなかった。

他の自閉症スペクトラムの子に同じように効くとは限らないので、その辺は個人差があるのだろうけれど、結果から言えば、服用して本当に良かったと思っている。

もちろん、自閉症スペクトラムの症状がすべてなくなったわけではないし、まだ癇癪はある。でも生活が本当に楽になった。楽しくなった。

それまでは次男の癇癪に振り回される毎日で、出かけることも不安で苦痛だった。外でぎゃーっとなるのは、周りの目もあるし、本当に親としていたたまれなかった。

それが、普通に出かけられるようになった。車だけでなく電車でも。癇癪がでても、少し時間をおけばクールダウンできるようにもなった。長男の時は当たり前だった電車でお出かけが、次男ともできるようになった。

次男の地雷を踏まないように気をはりつめて生活して、失敗すると癇癪おこしちゃうから、公園でも鉄棒やボール遊びはできなかったのに。

普通のことが、普通に近い形でできるようになるって、なんてステキなことなんだろう。

服用して数か月たって、次男に聞いてみた。「お薬飲み始めてどう?」と。「ぎゃーってならなくなって、僕も楽になった」と言われた。

そうか、次男自身も癇癪起こすのは辛かったんだ、とその時気づいた。自分でもコントロールできない癇癪を起こさなくてもよくなったのは、本人も楽なんだと思ったら、服用してよかったと心から思えた。

フェイスブックで知人が「知り合いの小さな子が、発達障害と診断されて、薬を処方された。薬をこんな幼稚園の子に飲ませるなんて信じられない!幼稚園児なんて落ち着かなくて当たり前なのに。〇〇のサプリを紹介して飲み始めたら、少し落ち着いて、お母さんも喜んでいる」と投稿していて、正直、う~~~ん、と思った。

お母さんの気持ちも分かるし、でもサプリで解決するとも思えないし。こんな風に、親も迷うし、周りの声もあるし、何が正解なのか分からなくなるよね。発達障害の子供を育てるだけでも大変なのに、いろんなことを親が決めていかなきゃいけないって、本当につらい。

薬=よくない、って思わず、とりあえず飲んでみて、合わなければやめる、くらいの気持ちでトライしてみていいんじゃないかと私は思う。それで少しでも発達障害の子を育てるのが楽になるなら、笑顔になれる瞬間が増えるのなら、それでいいんじゃないのかな。

こんな子、もう育てられないって、私は何度も思った。そんな風に思っちゃう自分も嫌になった。でも今は、次男のこと、とってもかわいいし、一緒にいろいろ楽しめるようになって、家族関係も良くなったなと思っている。

ちなみに今はエビリファイ5㎎を服用している。癇癪は減ったんだけど、不安を強く感じることが多くて、様子を見ながら少しずつ増やしていった。今はだいぶ不安の感じ方が弱くなってきて、その分次男も落ち着いて生活できているように思う。

薬で性格も変わってないし、人より強く感じてしまう不安が減っただけかな。それでもまだ、普通の人に比べたら不安を感じちゃうんだけども。癇癪や不安で隠れていた次男の良さが、薬で不安が減った分、表に出てきたようにも感じている。

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