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映画:感想『十二人の死にたい子どもたち』(※ネタバレあり)

※観る前の映画のネタバレが苦手な方はお読みにならないでください。
※観た結果この映画がお好きな場合、本レビューで不快になる可能性があることを最初にご了承ください。

…と、現代人的な前置きした上で。

「映画を観たい」と思うのは何によることが多いだろうか。

TVのCM、他の映画の上映前のCM、キャストによる番宣、SNSによるPR…相当な映画ファンでない限り、映画専門誌等はそんなに買ったり観たりは少ないのではないかと思うので、そのあたりがきっかけの人が多いのではないだろうか。

かくいう私もその一般的なひとりであり、他の映画の上映前CMで最初に観てから、あーあれ観たいな…と思っていた次第である。

公開になりしばらくしてついに観に行くチャンスが到来。
そして観に行ったわけですが…

なんでしょう、この、なんとも「モヤる」この気持ち。
そして、気持ちに何の印象も残っていない空っぽ感。

私の場合、大体の映画は、観終わってまず、
「面白かった」
「楽しかった」
「切なかった」
…等々、なにがしかの感想が一言出るものですが、今回のこの映画、とにかく、一言目に困る映画。

告知では、12人のうちの1人が先に死んでいて、きっと殺した殺人犯がいるに違いない、死にたいけれど殺されたいわけじゃない!…そんな、人生の最期の時間を共にするはずだった相手への疑心暗鬼と猜疑心、そして展開される心理戦と犯人探し…!的な、なんともミステリーファンをワクワクさせるような設定があると思うような内容なわけです、告知は。しかも堤幸彦。往年の「トリック」全作追っかけ大ファンとしては期待していました。

テレ朝ミステリーを見慣れているドラマファンとしては、その1人を皮切りに探偵と殺人鬼を残して次々に死んでいく、全滅とは行かずとも半分は死ぬでしょう…という展開を正直期待していました。ええ期待していましたとも。

ちなみに原作は読んでいませんので、原作との関係性はまるっと無視します。

確かに、役者は若手の方が多い。
確かに、若い人の集団自殺や安楽死をテーマとする場合、社会的な拡散(≒ヒット)を考えるなら、反対に、不用意に殺してはいけないし、本当に殺すならPG-12などつけるべきだし、最終的に将来に希望残したりしなくていけない、なんてこのご時世であれば、あるあるネタでしょう。

そういえば観覧における年齢制限が付いてない時点で、残忍な死に方をしたり、グロ系の画が出てこないことは気付くべきだった。

そこそこいい大人なのに、大人の策略に気づけなかった時点で、私の負けは観る前から決まっていたと言ってもいい。

そう、誰も人は死なない。
12人目もとい13人目も生きている。
なんならみんな清々しい顔で帰っていく。死にたいから一転、生きたいに変わって去っていく。1人を除いて。その1人も「次回も参加」という、少なくとも次回があるまで生きるという生の希望をしっかり持っているわけで。

え、そんな簡単に死にたくなくなっちゃう感じだったの?と言いたいところだがそれぞれがそもそも死にたい理由の展開もなんかうっすい感じにまとめられてしまっている、最終的に思いあまる原因はちょっと違うが一部は理由も被っているし…キャラ設定として、理由被りって…。原作は小説だから、12人居たとしてもある程度はしっかり書かれているのでしょう…多分。せめてそう信じておきたい。

あと、やはりトリックからのファンとしては、ミステリーの中に笑わせてくる堤幸彦テイスト…それもまったく効いておらず、結果、ユーモアミステリーとしても推理サスペンスとしてもティーンエイジ特有の死生観感動モノとしても…どの立ち位置でも不充分、どれも満たせていない。

映画を観て、このような感想を持った上で読むパンフレット冒頭の煽り文句はもはや笑えてしまう域であった。

この映画は、映画本編を支えるPR陣と、話題の若手俳優たちをブッキング出来て番宣にも稼働できたこと、センセーショナルで現代にマッチしたと見えるタイトル(PRの見せ方とも関連する)が人を惹きつけたんだろうな…と思う。

なお、観に行った翌日からこの文章をぽちぽち書いていたのだが、4日後の今日に「マスカレードホテル」を観に行ったところ、記憶が完全に上書き抹消されかけたので、慌ててこの思いを書き綴る。

営業妨害をするつもりはないのだが、そこまでの社会的影響力を幸運なことに持ち合わせていないので書いてしまう。
特に映画館に金を払って観にいく価値は感じないし、自分の近しい人が観に行きたいというなら全力で止めた上で同じ金を払って別の映画を観ることを勧めたい。どうしても観たいというなら、せめて1週間レンタルが解禁になるか金ローでやるまではせめて待ってくれ、と言いたい。それでも行きたいというなら、止めませんが…私はちゃんと止めましたよ?


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