アルゼンチン・タンゴ最古の映像発見!

 アルゼンチン・タンゴ史上もっとも古い映像を見つけた‼
 従来アルゼンチン・タンゴ最古の映像は、カルロス・ガルデルが1930年に制作した「ジーラ・ジーラ」「マノ・ア・マノ」「秋のバラ」など全10曲の演唱を収めた(1曲ごとの)短編映像だとされていた。
 しかし今回発見できたのは1928年12月29日撮影という作曲家ホセ・ボールのピアノ弾き語りの映像である。ホセ・ボールは、日本のタンゴ・ファンには「小さな鈴」(カスカベリート)、「絹の靴下」(メディアス・デ・セダ)などの作品で知られる作曲家であり、また1926年のホセ・ボール楽団によるビクター盤、1927年のエバ・ボール楽団名義のコルンビア盤の名演奏で知られる人物だと思うが、実際は米国、メキシコ、南米、ヨーロッパなどで広く活躍した映画&舞台俳優として最も知られる人物であり、軽妙洒脱な歌と身のこなしから「アメリカ大陸のシャンソニエ」Chansonier de America(実際はかなりモーリス・シュバリエを意識していたと思われる)と呼ばれた才人でもあった。

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 ホセ・ボールは1901年ドイツのボン生まれで、両親はチリ人である。1921年頃からアルゼンチンに移り、タンゴ楽団で活動したが、翌年米国に渡りハリウッドで俳優として活動した。今回見つけた映像はサウスカロライナ大学のアーカイヴにあるもので、もともとはムーヴィートーン・ニュースという映像制作会社の元に残っていたフィルムを整理したもののようだ。

https://mirc.sc.edu/islandora/object/usc%3A51431

ホセ・ボールの映像は編集前の断片で、完成版はアーカイヴには収められていない。ゆっくりした英語で自己紹介をして、ピアノを弾きながらタンゴをスペイン語で歌っている。曲は彼の作品なのだろうと思うが、彼の録音に該当する曲はない。当時珍しいハリウッドで活躍する南米人俳優でタンゴの専門家でもある、ということで白羽の矢が立ったのだろう。

 同じアーカイヴには1930年1月4日撮影とされる「リオ・ラ・プラタ・ティピカ・タンゴ・オーケストラ」なるバンドでシロ・リマック&ロサリア・リマックがチリのクエッカとアルゼンチン・タンゴを踊る映像もあった。(曲は「クンパルシータ」‼)バンドネオン1人を含むリオ・ラ・プラタなる楽団は正体不明だが(ラ・プラタ・オーケストラという北米のタンゴ・バンドの録音があるか、果たしてこのバンドと同じか否か)、踊っているシロ・リマックはペルー人で早くからアメリカで活動、この映像より後に「シロ・リマックのルンバランド・ムチャーチョス」というルンバ・バンドを率いて録音も行い、それらはCD化もされている。意外なところに意外なものが残っているものだ。

https://mirc.sc.edu/islandora/object/usc%3A44633

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このアーカイヴには他にも欧米人の踊る怪しげなタンゴ・ダンスの映像などもあるので、ぜひ探してみてはいかがでしょうか。

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