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心揺さぶられたもの紹介①

ノート再開しました。記念すべき1個目の投稿は心揺さぶられたもの紹介①です。

私が日常の中で心を揺さぶられたものを紹介してそれについて語っていくという何とも自己満足的なコーナー(笑)ですが、楽しんで頂けると幸いです。

今日紹介したいのは、某番組(俳句や絵画などのスキルを競うあの番組です)で東国原英夫さんが発表されていた俳句です。

ほしかもんはなか
ジャングルジム冷し

一読しただけではなかなか掴みづらい句ではありますが、その背景を聞いたとき私はもう感極まって涙が出そうになりました。

この日の俳句のお題として課せられていたテーマは「クリスマス」でした。

この句は、クリスマスプレゼントに、何が欲しいかと両親に聞かれ、「ほしかもんはなか!!」と強がった少年についての句で、その少年こそ、東国原さんが句越しに見つめていた幼き日の自分だった、というわけです。

なぜ、少年はそのように強がったか。彼は自分の家が貧しいことを知っていたからです。両親に迷惑をかけるわけにはいかない、貧しい自分の家の状況を知っていた少年は「ほしかもんはなか」と両親の質問に答えたのです。周りの友達が持っているものを羨ましく思い、欲する気持ちもあったでしょう。
そんな少年が登っているのが、「ジャングルジム」なんです。しかも冬ですから、それがまた冷たい、というわけです。


これは人によって感じ方がかなり分かれる句かと思いますが、ぴーの家も同じくお金が無いので、とてもとても「響き」ました。
少年は幼いながらにして、いろんな意味での「諦め」を知っているんですね。人間は皆平等じゃありません。
社会は不平等で、冷たく、とても理不尽です。

欲しいものはあったのに、言わなかった、言えなかった。少年の太ももに伝わってくるジャングルジムのあの鉄の冷たさは、社会の冷たさでもあるわけです。

彼の小さな体にも、その冷たさは伝わっていて、彼はある種の「諦め」のような気持ちももうすでに持ち合わせながら、少年時代を生きているのです。
色とりどりの、ワクワクするシーンを切り取った句とは全く異なりますが、切なく、悲しく、それでいて強さも伺える味わい深い句です。

素晴らしい作品をありがとうございました。

ぴー 
2021年8月1日

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