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【連載小説】「恋するスピリチュアル」⑲~お姫様抱っこ、からの、ぐるぐる
私が大声で主張したにも関わらず、その作家は、聞こえなかったのか、無視した上に、私の本をこき下ろし続けた。
「そんなブスな大女が主人公という、設定自体がありえないわ。
一体どんなセンスしているだッ!」
と吐き捨てるように言うのだった。
そこで私もようやく目が覚めた。
彼は、嘘や冗談で言っているのではなく、本当に私の作品が嫌いなのだと。
この作家にとって、私の本は唾棄すべきものなんだと。
女が年を取って、さらに醜く太っていては、駄目なのか?
主人公にはなり得ないのか?
それこそが私が訴えたかったことだったのに……。
審査員の先生に完全に無視されている私を、
同じく候補に残った中年女性が気の毒そうに見つめていた。
しかし、そういう彼女の作品だって、この作家たちの間から、一言も発せられやしないのだ。
価値があるのは、〝若い女〟。
〝若い女〟の感性、〝若い女〟の紡ぎ出す言葉、
〝若い女〟の醸し出す雰囲気、匂い、新しさ、だけなのだ。
私はがっかりした。
学生時代から、尊敬して読み続けてきた先生方が、
この程度のものだったとは……。
こと、女性へのものの見方が、これほど旧態依然だとは……。
私は唇をかみしめた。
つづく
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